転職先でコンプライアンス違反を発見したらどうしたらいいの?
しかもそこを管理する責任者として採用されたら自分もヤバい?
CSRって皆さんご存知でしょうか?
企業の社会的責任(きぎょうのしゃかいてきせきにん、英: corporate social responsibility、略称:CSR)とは、企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的(ボランタリー)に社会に貢献する責任のことである。
Wikipediaより抜粋
現在、多くの企業が提唱する活動ですが、内容は非常に広義にわたります。
その広義の中には、コンプライアンス違反に対応する取組みが必ずあり、会社が社会的な責任を果たす上で重要な位置づけとなります。
中小企業や零細企業にはCSRの考えは必要無いのか?
答えはノーです。
倫理的観念は、企業の大小に関係なく、一個人でさえ意識する必要のある問題でありモラルなのです。
もし、あなたがコンプライアンス違反を犯している、もしくは犯しつつある企業に転職したらどう対処すべきか考えましょう。
決して行ってはいけませんが、一般社員であったら見て見ぬふりをするかもしれません。
しかし、自分がそこの責任者であれば、何らかの責任を負う可能性があるのです。
零細企業で起こりうる身近なコンプライアンス違反
コンプライアンス違反とは、一般的には「法令順守」のことを指します。
しかし実際は法令だけではなく、会社を取り巻く全てのルールに適用されるものと考えましょう。
会社の就業規則についても、法律ではありませんが、その会社にとって立派なコンプライアンスのひとつです。
しかし、ここでは「法令順守」のみにフォーカスしたいと思います。

環境に関するコンプライアンス違反の実例
これは多くの事例が存在します。特に経済成長期に起きた企業による環境破壊は有名です。
- 四日市ぜんそく
- 水俣病
- イタイイタイ病
など、多くの問題が発生しました。
企業による環境破壊は被害者への救済だけにとどまらない
これら多くの環境破壊は、その影響で体調を崩したり、お亡くなりになった人への補償問題のみが大きくピックアップされますが、実は企業責任として最も大きくのしかかるのは、環境を元へ戻す施策なのです。
水俣病の例
水俣病については、メチル水銀を含んだ排水を海へ垂れ流したことにより、周辺で取れる魚介類は水銀の犯されてしまい、それを食べた住民が水銀中毒になったという出来事ですが、患者への保障は元より、周辺環境の復帰のため485億円(会社負担306億円)という巨額を投じ埋め立て工事を行うことになったのです。
その後、この会社は中核子会社へ業務を全て移管し、現在は水俣病の補償業務のみを専業とする会社となって今も存続していますが、事実上、コンプライアンス違反により潰れたも等しい状況です。
イタイイタイ病の例
また、同じく四大公害病のひとつである「イタイイタイ病」についても同じです。
原因を作った会社は、イタイイタイ病が発生した上流で亜鉛鉱山を営んでいました。
亜鉛精錬所からカドニュウムを含有した排水を行ったことで、周辺の水田土壌へ流入し堆積。
また、河川にも流出したことで、下流の水田にも堆積し、その結果、米や野菜がカドニュウムに汚染され、それを食べた住民が発症してしまったのです。
原因企業は発症者への補償は当然のこと、汚染された土地の土壌改良を行うという大工事を行うことになります。
その額は定かではありませんが、数百億単位であると推測できます。
これだけのお金を使っても、この企業は倒産しませんでした。
その理由は数十年にわたって問題解決を図る必要があったため、いわゆるローンのような状態だったことが幸いしたようです。
もし、一発で数百億円支払うことになれば、財務体質にもよりますが、普通の大手企業では耐えられないはずです。
環境に関するコンプライアンス違反は会社を潰す
即ち、企業のコンプライアンスの内、環境問題を引き起こすことは一発でその会社を吹き飛ばす力があるということです。
それを知っている経営者は、目先の利益を優先せず、長い目で有利な対応を行うのです。
それがコンプライアンス順守。
一般の零細企業でも、近隣の河川に油を流してしまったらその復旧を迫られます。
それだけでも数千万円から数億のコストがかかれば、企業規模によっては吹き飛ぶでしょう。
最も身近な残業の問題
製造業に残業はつきものです。受注量に対し毎回人を増員することは不可能であるため、残業により生産増に対応することは必要となるのです。
しかし、ものには限度があります。残業を強要しなくてはならない立場になったらあなたはどうしますか?

人員計画が立てられない零細企業
大手企業であっても簡単に人材を確保出来ない昨今、中小企業となれば必要な人材を確保することはとても難しい状況です。
それでも受注が増えれば、納品のため生産数を増やさないとなりません。
常識的な残業時間で済めば問題ないが、休日出勤も含め、気づいたら大半が月間80時間以上、一部は100時間超えなんてことになれば、いつ労働基準監督署が来てもおかしくない状況となります。
大企業のように、元々人員に余裕があれば交代で対応も出来るが、零細企業はギリギリの人員で生産を行っているため、残業増加で対応しなくてはならないのです。
一方で経営者は、受注が減少した時のことしか考えていません。
その結果、人員補充を検討するのは実際に増産になった時で、その時には既に死人が出てもおかしくない残業時間を数か月続いている可能性が高いのである。
残業への注意喚起は生産減少時だけ
先に書いた通り、経営者は受注減少時のことしか考えていません。
受注増加の時は既存人員で対処すればそれだけ儲かるという気持ちが強く、逆に減少した時にはそれに合わせ残業を削減することの方が重要なのです。
インテリな社長であれば、労働衛生の最新情報を常に捉え対処しますが、青カビが生えるような昔の知識で生き抜いているような社長であれば、そんなことを知らない人もいるかもしれません。
そんな会社に転職したら不幸だと思って下さい。そして直ぐに辞める準備をしましょう。
気が付いたらトカゲのしっぽ切のように、あなたが労基違反の首謀者にされかねません。
コンプライアンスはとっても重要な時代です。