登山難易度の調べ方!|グレーディングを知れば過信の無い安全登山に繋がります

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大きな山を抱える主要な都道府県では、グレーディングという同じ指標で登山の難易度を示しています。

理由は遭難事故を防ぐため、初心者などが無暗に危険な登山を行わないようにするため。

しかし、多くの初心者登山者はその重要性に気づいていません。

全ての都道県が指標を設定していないことや、長い登山道の内、どの部分が難関の核心部となっているのか?

分かり難い部分が多いことも原因の一つでしょう。

もっとも、長野県や山梨県など、日本アルプスの大半を抱える主要な県では、きちんとした指標が設定されているので無視できないのも事実。

最近では、日本百名山の甲斐駒ヶ岳、日本三大急登の一つ「黒戸尾根」ルートで難関部分を地図上に細かく表す試みも実施されているので尚更です。

ただ、残念ながら剱岳などの名峰を抱える「富山県」は指標を発表しておりません(2020年にやっと発表されました♪)。

しかし、日本アルプスの大半は難易度が明確化されているため、登山者であれば知っておくべき指標であることは間違いないのです。

ここでは、これから登山を始める方や初心者のために、山の難易度を示す「グレーディング」について詳しく解説致します。

無謀な登山は最悪の場合「遭難」に繋がる可能性があるため、初心者の内にグレーディングをしっかり理解して下さい。

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登山コースの難易度を示す
グレーディング

Let's_start_climbing009

グレーディングは全ての都道府県が設定しているわけではありません。

2020年3月現在、以下の主要山脈を有す10県と1山系で同じ指標の難易度を示しています。

グレーディング
設定状況
  1. 新潟県【101ルート】
  2. 富山県【92ルート】
  3. 山梨県【123ルート】
  4. 長野県【123ルート】
  5. 静岡県【82ルート】
  6. 岐阜県【75ルート】
  7. 群馬県【93ルート】
  8. 栃木県【82ルート】
  9. 石鎚山系(四国)【50ルート】
  10. 山形県【103ルート】
  11. 秋田県【33ルート】

グレーディングは2つの基準で評価される。

基準
  1. 体力基準(体力度)
  2. 技術基準(技術度)

体力基準(体力度)

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体力度の指標は01~10の数字で表し、数字が大きくなるほど体力度が必要となり、より難易度が上がることを示します。

グレーディング推奨される行動
1〇~3〇日帰りが可能
4〇~5〇1泊以上が適当
6〇~7〇1~2泊以上が適当
8〇~10〇2~3泊以上が適当
※「〇部」には後述する技術度の指標が入る

人それぞれ体力レベルに違いがあるため、一概に数字通りとは言い切れません。

あくまでも標準的な指標と捉え、自身の体力度との差を把握する基準として利用しましょう。

体力度の計算にはルールがある

体力度の指標については計算根拠がきちんとあります

素直に考えれば全ての登山ルートが公平に体力度が計られていると言えるので、計算根拠は知っておいた方がより安全な登山に繋がるでしょう。

体力度の算定に使用されるデータ

算定データ
  • コースタイム(時間)
  • ルート全長(Km)
  • 累積上り標高差(Km)
  • 累積下り標高差(Km)

ルート定数の計算式

ルート定数の計算式は、算定データに係数を掛け、全てを足すことでグレーディングを定義する基礎数値を算出します。

STEP
コースタイム(時間)
×1.8

STEP
ルート全長(Km)
×0.3

STEP
累積上り標高差(Km)
×10.0

STEP
累積下り標高差(Km)
×0.6

算定データの意味合い

算定データについて、細かい内容を解説しましょう。

コースタイム(時間)

CT説明用

専用の登山地図には必ずコースタイム(以下:CT)が記載されています。

CTとは、地図上の登山ルートにあるランドマーク間を移動する際に必要となる標準時間

例えば、上図のA地点(仙丈ヶ岳山頂)からB地点(仙丈小屋)までは15分必要で、逆のルートであれば登りのため20分必要であることが分ります。

もし、C地点(小仙丈ヶ岳)からAを経由してBへ行き、同じルートでCへ戻る場合は合計2時間15分必要という計算結果ですね。

合計2時間15分

  1. C⇒A 1時間
  2. A⇒B 15分
  3. B⇒A 20分
  4. A⇒C 40分

出発地点から山頂を目指し再び出発点へ戻る計画であれば、登山道に記されたCTを往復分合算することで必要な時間の算出が行えるということです。

CT利用の重要な注意点

CTの算出については地図会社によって母数の設定が異なるため、使用する地図によってCTにバラつきが生じるのです。

体力的に不安が残るような山域へ出かける場合は、事前に2つの地図を比較し、より時間がかかる地図を基準に計画を立てる方が安全面でおすすめですよ。

CTの算定基準

登り
  • 標高100m上る=20分
  • 水平歩行距離100m=1分30秒
降り
  • 標高100m下る=10分
  • 水平歩行距離100m=1分30秒

更に、登山者の想定年齢や経験、パーティー、装備の重さ、天気などが考慮されます。

有名な「山と高原地図」の考え方は次の通り。

想定登山者
  1. 【年齢および経験】
    40〜50歳の登山経験者
  2. 【登山構成】
    2〜5名のパーティー
  3. 【装備の重さ】
    山小屋利用を前提とした装備
  4. 【登山時の天候】
    夏山の晴天時

CTは登山経験者が10kg前後の荷物を背負い、2名以上で天候が恵まれた日を想定していることが分ります。

登山経験者なので、初心者と比較すれば歩く速度は早いでしょうが、グループ登山なので単独で歩くよりも休憩が多いはず。

通常の登山は競争ではありません。よね?

CTより早いとか遅いとかを競う指標と考えることは間違いで、自分の体力や技術との差を計る基準として活用するべきです。

CTとの差が明確であればより正確な登山計画を作成することが可能となり、結果的に安全登山へ繋がるということを決して忘れないで下さい。

距離に関する内容

体力度のグレーディングは前述の時間と合わせ、距離も重要な要素となります。

山の標高差と距離

ルート全長(㎞)

上図①では登山口から目標の山頂を示していますが、直線で山頂まで至ることはあり得ません。山あり谷ありのアップダウンや巻道を通るのが登山の醍醐味。

体力度に使用する登山距離は、実際に登山道を通った場合の距離を表します。

グレーディングを示した一覧表には、必ずルートにおける「距離」が明示されているので参考にして下さい。

累積(登り/降り)
標高差(㎞)

ルート全長の距離は横の長さを表したものと言えるでしょう。

一方で標高差とは縦の長さと考えれば分かり易いです。

上図②と③が標高差となりますが、山頂へ至るまでには登りもあれば下りもあり、これらが累積されて初めて山頂に至るのです。

登山開始の登山口が標高500mで山頂が1,500mの場合、単純に標高差は1,000m。

しかし、実際には登ったり下ったりするので、上図で考えれば3回のピークへ至る標高差の合計が累積票差となります。

登りの標高差合計は「登りの累積標高差」、下りの標高差合計が「下りの累積標高差」ということ。

ルート定数の方程式では、キツイ登りを10倍、楽な下り(とは言えませんが…)を0.6倍します。

技術基準(技術度)

Let's_start_climbing011

技術度の指標はA~Eのアルファベットで表します。

一般登山ルートの最難関は「E」で、最も優しいコースは「A」。

グレーディングで評価出来ない(行わない)場所はバリエーションルートと呼ばれ、ロッククライミングや登山上級者以外は立ち入ってはなりません。

指標登山道技術
能力
A概ね整備済転んだ場合でも転落・滑落の可能性は低い道迷いの心配は少ない登山の装備が必要
B沢、崖、場所により雪渓などを通過急な登下降がある道が分かりにくい所がある転んだ場合の転落・滑落登山経験が必要地図読み能力があることが望ましい
Cハシゴ・くさり場、また、場所により雪渓や渡渉箇所があるミスをすると転落・滑落などの事故になる場所がある案内標識が不十分な箇所も含まれる地図読み能力、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要
D厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・くさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や渡渉箇所がある手を使う急な登下降があるハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要ルートファインディングの技術が必要
E緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する深い藪漕ぎを必要とする地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある

具体的な内容に見れますが、解釈によっては曖昧に取れる箇所も多く、登山者によっては同じグレーディングでも体感に違いが生じるかもしれません。

特に「C」や「D」では山によって体感が大きく異なるので、仮に同じグレーディングでも細心の情報の収集を行って下さい。

重要なこと

  • 万一の場合、自分の位置を把握出来る能力があるか
  • 登山道が曖昧な場所を的確に判断し進めるか
  • 高度感のある場所で冷静にバランスを保ち進めるか

日本百名山に登るために
必要なグレーディング

Let's_start_climbing012

登山を始めて暫くすると、「日本百名山」に興味を示す方もいるかもしれません。また、百名山全ての登頂を目標とする人も。

そうなると気になるのが難易度です。

日本百名山と一言で言ってもその難易度はピンキリで、3A程度の初心者クラスのグレーディングから登山ルートによっては10E以上の難所もあります。

長野県の百名山

参考事例として、グレーディングの設定があり、日本アルプスを数多く有する長野県の事例で確認してみましょう。

グレーディング山の名前ルート
3A霧ヶ峰八島湿原
9E北穂高-槍ヶ岳大キレット

最も優しい霧ヶ峰
3A

霧ヶ峰は車山を有すとても美しい高原で、冬はスキーでも賑わう有名場所ですね。

ほぼ全てが良く整備されたアップダウンの少ないコースのため技術レベルは「A」。

しかし八島湿原から周遊するコースの場合、全長が13.3kmに及ぶため体力度が「3」と多少高めです。

初心者の内はこの距離を無事歩くことが目標となるでしょう。

最難関は9Eにも及び

一方、同じ長野にある北アルプスの槍ヶ岳は、北穂高から向かう登山ルートを使用した場合は「9E」と大変な難コースとなります。

技術的には滑落すれば間違い無く死に至る、緊張を強いる登山道を通らなければなりません。

更には、難易度の高い登山道を2~3泊継続して歩き続ける体力も求められるのです。

最難関ルートは富山県にある

グレーディングを設定している長野県の山なら目標を立てやすい。

具体的なグレーディングが無い山の場合は、インターネットの登山記録などで調べ、自分が挑戦可能なのかを判断するしか術はありません。

国内最難関の一般登山ルートとも言われた「剱岳」を有する富山県は、つい最近(2020年)まで山のグレーディングを発表していませんでした。

日本百名山全てに登るということは、一般登山道の技術水準をほぼ全て網羅する必要があるでしょう。

難易度の基準を理解し、先ずは無理のない目標を立て実行することが登山をスポーツとして長く続けられる秘訣です。

初めての登山は
グレーディング「1A」から!

Let's_start_climbing013

初心者に技術が無いのは当たり前です。

先ずは体力度を整え、徐々に難しい山へチャレンジしましょう♪

日本百名山だけが山じゃない

登山に興味を持ち、登山へ行きたいと考え始めたら自分が住んでいる地域に百名山が無いか調べてみましょう。

日本百名山は等しく各県にあるものではない

日本百名山は登山協会や日本政府が設定した公的なものではありません。

作家で登山家の深田久弥氏が自ら登った山々の中から、最も素晴らしいと思えた100山を選定したものです。

基本的には1,500m以上の山を中心に、特にその山容が秀逸な山が選定されているため、日本アルプスを有す中部地方に集中する傾向にあることは否めません。

もし身近に日本百名山が無くてもガッカリしないで下さい。

身近に日本百名山が無い場合

身近という概念にもよるとは思いますが、最も近い日本百名山はピックアップしておきます。

ピックアップした日本百名山までとても遠いのであれば、日本二百名山や三百名山でも良いでしょう。

また、花の百名山や地元の百名山でも構いません。

標高1,000mにも満たない低山であっても、第一歩は「1A」という優しいレベルから始め、何れ目標とする名山群に挑戦すれば良いのです。

登山は1Aでも体力は必要です

初心者にグレーディング「1A」を強くすすめる理由は、登山の苦しさを最低レベルから知って欲しいからです。

技術レベルを上げるためには経験値が必要ですが、体力度に関しては人によって異なります。

しかし、最低レベルの「1」であっても近所のウォーキングとは比較にならないほどの過酷さを有していることだけは覚えておきましょう。

不整地を歩む登山のメリットは計り知れません。

慣れない不整地を歩むのだから、仮に「1A」であっても最初は想像以上の辛さを感じます。

先ずは体力レベル「1」を肌で感じて、「2」「3」とステップアップすることがとても重要です。

体力度が同じでも難しい場所の疲労度は上がる

例えばグレーディング「1A」の山と「1C」の山があったとします。

体力度は同じ「1」で技術度は二段階違いますが、体力的には同じと考えて良いのでしょうか?

答えはノーです。

特に初心者の内は難易度の高い山の経験値が薄いため、同じ体力度の山でも技術度の高い山ほど疲労を感じるのは間違いありません。

熟練者となれば、A~Cの違いはさほど感じず、体力度による判断も可能でしょう。

経験値が少ない内は、難易度も加味した登山計画を作成することをおすすめします。

 

登山レベルへの無知が「遭難」を生む

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グレーディングが明確な山に登ることは、登山の難易度と自分のレベルを定量的に計る良い指標となります。

自分の登山レベルを理解できれば、レベルを超えるような「無理な日程」や「危険な場所」への配慮が行えるようになるでしょう。

その結果、「遭難」という最悪の事態を防ぎ、世間に迷惑をかけることなく登山を遂行できます。

大事なこと

  • 登山には「絶対安全」は無い
  • 万が一の遭難に備え必ず「保険」に加入
  • 難易度は慌てずゆっくり上げれば良い

自分の体力に見合った山に沢山登り、登山のメリットを感じてから技術を上げて行きましょう。

登山の難易度をグレーディングからきちんと理解し、自分の力を過信せず、安全で楽しい登山から開始して下さい♪

登山のグレーディングを
公表している自治体

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県・地域外部サイトへのリンク
新潟県「新潟 山のグレーディング」
富山県「富山県」山のグレーディング
山梨県山梨 山のグレーディング
長野県「信州 山のグレーディング」について
静岡県静岡県「山のグレーディング」の公表
岐阜県岐阜県山のグレーディング
群馬県群馬県 山のグレーディング
栃木県栃木県 山のグレーディング(栃木県山岳遭難防止対策協議会)
山形県やまがた百名山のグレーディング
秋田県「秋田県の山岳グレーディング」について
石鎚山系(四国)石鎚山系 公式WEBサイト
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Let’s start climbing!

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