安全な登山が最重要!|登山リスクは自己研鑽とリスクマネジメントで回避しよう

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前回の記事では、山のグレーディング(難易度)について解説しました。

グレーディングを把握していれば、自分に合った山を選択し、安全な登山が行えます。

でも、本当にそれだけで大丈夫なのでしょうか?

グレーディングはあくまでも客観的に山の難易度を数値化した指標に過ぎず、この指標に挑むのは登山者自身です。

設定された危険度とも取れるグレーディングに対し、自身のレベルがマッチしているかどうかを正確に判断しなくてはグレーディング指標は何の意味も持たないのです。

また、山には登山の難易度以外にも多くの危険が潜んでいることも忘れてはなりません。

真摯に自分自身のレベルを見つめ直し、山へ入るというリスクを今一度しっかり理解しましょう。

ここでは、一般生活と登山の難易度が混同しないよう、心に刻んで欲しいことを解説します。

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安全登山に必要な体力レベルについて

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ネットに氾濫する登山記録などを見ると、キチガイじみたスピードで登山を行う方が散見されます。

トレイルランという前提があれば納得できますが、スピードハイクという分野もあり混同し易く、自分の登山スタイルとの違いを見極めることが重要です。

特に、標準コースタイム(CT)が甘いとか、大幅に短縮したなどの記事はノイズとなり兼ねません。

目的や目標が全く違う山行については鵜呑みにはせず、ゆっくりと自然を楽しむという心構えで登山に臨みましょう

基本的には標準コースタイム(CT)を目標に行動することが重要で、求める方向が違う人たちを参考とすることは危険な行為であることを理解して下さい。

標準CTは体力の基準値となる

前記事で標準コースタイム(CT)については詳しく解説しました。

想定登山者
  1. 【年齢および経験】
    40〜50歳の登山経験者
  2. 【登山構成】
    2〜5名のパーティー
  3. 【装備の重さ】
    山小屋利用を前提とした装備
  4. 【登山時の天候】
    夏山の晴天時

再度読めば分かる通り、想定的には「若く」「単独」であれば上回って当たり前なのです。

重要なのは標準CTとの差

単独(ソロ)であれば、自身ペースで歩けるため一般的には標準CTを上回ることが多いでしょう。

しかし「標準」である以上、それぞれの「経験」や「体力」によって結果は左右され、必ずしも標準CTを上回るとは限りません

重要なこと
  • 自分がどの程度遅いのか(早いのか)?
  • 登り(下り)のどっちが苦手か?

標準CTに対し毎回遅くなる場合でも、毎回同じ割合で遅れているのなら「何パーセントくらい遅れるのか?」を把握すれば次の山行の大きな武器となります。

標準CTは競争の道具ではなく、自身の体力との誤差を埋める重要な基準値であることを忘れてはなりません。

標準CTより早くても過信しない

少し体力に自信があり多少の経験があれば、特に技術を必要としない山の場合、標準コースタイム(CT)を上回る時間で下山することも多くなります。

そこで多くの初心者は自分の体力を過信するのです。

常に標準CTを上回ることが当たり前になると、いつしか安全よりも時間が優先となり大事故へ繋がるリスクが高くなるかもしれません。

登山スピードを上げるため、狭く危険な登山道でも人を追い越してしまうかもしれません。

標準CTを気にするあまり十分な休憩を取らず、疲労によって石や木の根に躓くかもしれません。最悪の場合は躓いた後に滑落するかもしれません。

体力があることは大きな武器です。

しかし、常にどんな山でも、どんな日にでも同じように上手く行くとは限りません。

大切なことは普通に歩いてどの程度早いのかを把握し、自分のペースを維持することを忘れないことです。

事故は体力の限界で起きることが多い

日本百名山である東京都で最も高い山「雲取山」での事故が絶えません。そして、2018年10月の滑落事故3件(1名死亡)全て登山道入口近くで発生しました。

雲取山のグレーディングは最も短いルートで「4B」となっており、標高2,017mの山頂へ向かうルートの長さは往復で「19.2km」、標高差1,367mです。

標高差の割に距離が長いため、急登よりもなだらかな斜面が続く登山道であることが数値で分かるでしょう。

しかし、19.2kmという長さは一般的にはとても長く、体力レベルは1泊を推奨する「4」が設定されており、登山者の大半は山頂近くの小屋へ宿泊します。

体力ギリギリの標準CT

体力に自信がある、もしくは時間が無い人は日帰りで登るパターンも少なくありません。

ちなみにコースタイム(CT)は8時間42分なので、朝5時に出発すれば14時前後には下山出来る計算です。

この数字がギリギリの人にとっては危険なのです。

雲取山の遭難事故は登山道入口に集中

3件の滑落事故は下山時、登山口まであと10~20分以内の所で全て起きており、「疲労の限界」が事故の原因であったことは否めません。

また、10月という季節は日が短く、コースタイム(CT)が遅れれば登山道は暗闇に包まれ、疲労と共に滑落の危険が明らかに高くなります。

事実、3件の内2件は18時を過ぎており、自身の体力と計画がマッチングしていなかったことが悲劇を呼んでいます。

安全登山に必要な技術レベルについて

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登坂の難しさについては、人の感性で大きく変わるところです。特に岩場などで高度を感じる場所は、高所恐怖症の人と高い所が好きな人では天地ほどの違いが生じるでしょう。

技術レベルを読み解くには経験が必要となりますが、少なくとも一般道とは違う山に対する畏怖の念を持ち、過信しないで対処する心構えと地図読みや判断力はしっかり養う必要があります

登山の技術レベルを自分勝手に解釈しない

登山のグレーディング指標は、あくまでも「登山道」という特殊環境についての難易度を示してます。

仮に「A」であっても、一般道とは比べものにならない険しさになると考えて下さい。

登山道全てに危険が潜んでいる

未舗装で、石がゴロゴロしているのは当たり前であり、場所によっては滑落する場所もゼロでは無いのです。

この前提は「登山装備」をした登山者へのレーティングであり、普通の服装では更に危険度が増す場所であることを認識して下さい。

先の「雲取山」は「B」ですが、滑落の相次いだ登山道は狭く、足元の整備は悪くは無いもののガケに沿って歩くような道なので注意が必要なのです。

そこを疲労困憊になりながら、暗い道を歩めば事故が起きない方が不思議でしょう。

登山道と一般道は根本的に違うのです。

大事なことはレベルだけを鵜呑みにせず、しっかりとした計画と準備を行い、慎重な行動を心がけることです。

技術レベルは最も条件の良い環境限定

これは体力レベルと同じ考えです。

夏山の晴天時で、最も山が優しい時の難易度を示しているので、天候が崩れた場合は大幅に難易度が変わる事を理解しましょう。

また、大雨の後や残雪が残っている時期も同様のことが言えます。

登山に必要なテクニックを習得する

地図読みやルートの判断の他、基本的な技術の習得が重要。

それは、一般道を歩く方法と登山での歩行方法は違うということです。

同じ10kmを歩く場合でも、舗装された道路と不整地の登山道では体力の消耗が大きく違いますよね?

整地は爪先で路面を蹴って早いペースで歩き続けられますが、不整地の登山道はそういう訳には行きません。

登山の歩き方は省エネで

整地を歩くような歩き方では最悪の場合、下山出来ないほど疲労してしまいます。

登山ではスピードよりも、いかに省エネで進むことが重要

ウォーキングではつま先を蹴って踵で着地するという、ふくらはぎを使った歩き方になりますが、同じ足運びを行っていたら登山では直ぐにバテてしまうのです。

登山中の疲労は遭難に繋がる大きなリスク。

地面との接地方法が登山基本

登山の足運びの基本は「フラットフィッティング」という方法が理想的。

ふくらはぎではなく太ももで足を運び、歩幅は小さく、前足を靴裏全体でフラットに置き体重を入れ替えます。後ろ足も蹴らず、フラットに足を持ち上げる。

重心は中心に保ち、決して踵から地面に着かないようにしなくてはなりません。

特に下りの場合は踵から降りると滑り易くなり、更に膝への負担も大きくなるため途中で歩けなくなるリスクも発生します。

下りでは意識的に爪先から地面に接地することを心がけましょう。

先ずは足運びに慣れることが長距離を歩くために必要な技術で、危険を未然に防止する最大の防御なのです。

リスク(危険)を理解し安全登山へ出かけよう!

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自然の中を歩く登山のリスクは一般道とは違うことが理解頂けたでしょうか?

とは言え、登山道として指定された人の手が入った場所を歩くので、まったくの手つかずの自然を進むよりは安全です。

大事なことは、普段歩いている道を基準に安全度が決まっているのではなく、元々リスクのある登山道の中で、体力度や技術力を設定されているということを理解すること。

そして、登山に必要な準備を怠らないことです!

登山におけるその他のリスク(危険)

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登山は自然の中を行くため、自分自身の問題だけでは済まない状況も発生します。例えば、火山が爆発したら人間は何も出来ないでしょう。

それでも、事前にリスクを想定し、準備を行うことが可能なものもありますので、先ずはリスクマネジメントを行うことが重要なのです。

リスク回避
  • 熊や獣との遭遇
  • 虫対策
  • ヤマビル対策
  • 転倒などケガをした時の応急処置
  • 万が一のビバーク準備
  • 気温の変化に対応する
  • 天候の変化に対応する
  • 水の確保
  • 自分の位置を把握する

他にも上げたらキリがないのですが、最低でもこれくらいの準備は必要です。

だって、そのために重いリュックを背負うのですから。

「登山のススメ」記事一覧
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  11. Step11
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