実際に登山を開始するとなれば、地図読みやコンパスを使用する技術が求められます。
しかし、いざ登山へ出かけると、紙の地図を頼りに登山を行わなければならない理由に「?」マークが付くんですよね。
理由は簡単!!
本格的なクライマーでは無い限り、道なき道へ行くことや厳冬期で道が分からないような雪山へ行く必要が無いからです。
ここで推奨する登山は、あくまでも「健康」を維持することを目的とし、整備された登山道を歩くことが基本。
では、登山道の整備が行き届いた山を登る人には地図の情報は必要無いのでしょうか?
答えは「Noノー」です。
登山にはリスクがあることを解説した通り、登山は街中のウォーキングとは比較にならないほど危険な場所を歩くスポーツです。
ウォーキングでケガをしても、通りがかりの人が助けてくれるでしょう。しかし、山の中ですれ違う人の数は街中とはまったく異なります。
有名な人気がある山であればそれなりの人が居ます。しかし、里山や低山であっても人気の無い山であれば、全く人とすれ違わずに往復して来ることは珍しくありません。
それが街のすぐ横にあるような里山であっても…です。
遭難の主たる原因は「道迷い」。
有名な高尾山のような登山道が明確な山でも「道迷い」による遭難が発生しているんですよ!
自分が居る場所を把握することや、登山道を見失うことが無いように位置情報の把握はとても重要なのです。
実際に整備された山を登る登山を経験して地図の必要性を感じなかったとしても、いつ間違った道へ進むか分かりません!
紙の地図が最もおすすめですが、現在はスマホアプリを使用して登山を楽しむのが主流。
そんな登山地図アプリのメリットを最大限に活かす方法と、怖いデメリットを解説します。
登山における地図の役割

有名どころで人気のある登山道は、関係者の尽力によりよく整備されています。進むべき方向も標識が明確に導いてくれるでしょう。
そんな親切な登山道でも地図は必要です。
登山道は常に変化している
一度でも登山へ行かれた方なら分かりますが、登山道は自然の中にあるため、台風や大雨などで崖崩れや倒木などが頻繁に発生します。
その影響で登山道の崩落や標識の倒壊へ繋がることも珍しくありません。
何の知識も無く山へ入り、崩落した登山道を避けて行くうちに森の奥へ進んで行く場合や、標識が倒壊しており、間違った登山道へ進み戻れなくなるケースは少なくないのです。
登山道は足もとに意識が集中すると道迷いする
私自身、明確な登山道であるにも係わらず、大きな石を登って行く際に足もとばかりを見ていて、気付けば明らかに登山道を外れた森の中⁉
登山道が明確であっても、意識が別の場所へ集中していると思わぬ方向へ進むことがあるのです。
その時の行動は、無暗に歩き回らず、先ずスマートフォンを取り出し自分の位置を確認。登山道がある方向へトラバースし事なきを得ました。
登山では「もしもの時」は自分だけが頼り
登山初心者はグループでの行動が多く、大抵は地図読みが出来るリーダーと共に行動することが多いでしょう。
リーダーのおかげで道迷いせず楽しい登山が行えたと思いますが、もし「ソロ(単独)」であったらどうします?
多くの判断を自分一人で行わなくてはなりませんよね?
標識の無い登山道の分岐や悪天候で荒れた曖昧な道など、一歩間違えれば単純なミスが「命」に係わるような場面でも「自身で」判断を行わなくてはなりません。
- 自分が今居る場所や行動が計画通りであるのか?
- 万一道迷いし、進むべき道の先に危険は無いのか?
地図が唯一の情報となるのです。
紙の地図は登山に絶対必要か?

一般常識的には「必要」だと答えるしかありません。
しかし、一般的な登山道ルートを歩むのであれば、スマートフォンアプリの地図で十分だとも考えます。
登山地図をスマートフォンで代替えする際の絶対条件
登山地図の絶対条件
登山地図と一般の地図で最も大きな違いは詳細な等高線とコースタイムの記載です。
一般地図でも等高線が描かれている場合もありますが、実際の地形にマッチした細かい部分まで確認できるのが登山地図でしょう。
道迷いした際、自分が居る周辺の地形と等高線を見比べ、現在位置や移動予定方向の安全性を等高線を見れば分かります。
また、移動予定方向の目指す地点までの時間は、コースタイムによって図ることが可能になるのです。
登山で求められるスマートフォンの能力
単に画面が大きいものがスマートフォン(以下スマホ)ではありません。
スマートとは賢いという意味で、ミニPCのような機能がある携帯電話をスマホと呼びます。
多機能なスマホですが、登山で最も重要視しなくてはならないのがGPS機能と連続使用可能時間だと思って下さい。
GPS機能は人工衛星を利用して正確な位置情報を得るために必要な機能で、万が一地図読みに自信が無くとも自分の位置を把握できます。
一方、命に係る機能を使用できるスマホはバッテリーの電源で稼働しており、言うまでもなく、出来るだけ長時間使用できることが望ましいでしょう。
万が一に備え、予備のバッテリーを持ち歩くのが現代登山の常識です。
以下のような山小屋でも充電が容易なコンセント付きの大容量バッテリーが便利。
登山用スマホアプリの能力
スマホの機能、電源持続時間を満足しても、使用する登山地図のアプリケーションに問題があれば全ての条件はご破算になってしまいます。
深い山の中では電波の届かない場所が多く、電波を拾わないと機能しないアプリでは使用する意味がありません。
登山用のアプリで望まれる能力は、電波が届かない場所でも正確な位置情報を捉えることができ、バッテリー消耗が少ないこと。
私が使用するYAMAPはこの条件に合致しており、電波が届かない場所でも位置把握でき、使用時は電波を遮断する機内モードでバッテリーを節約できます。
バッテリーを消耗させる最大の原因は、電波が無いところで電波を探し続けることなので、最初から電波を遮断する設定で使用出来ることが、登山アプリでは最低限必要な仕様でしょう。
スマホ使用のデメリット

登山地図をスマホで利用する最低条件を理解できたと思います。
しかし、スマホが使用不可となる条件はバッテリー(電源切れ)だけではありません。
スマホは機械なので、破損や故障で使用が出来なくなるリスクも当然想定されます。
登山で安全の最善策を考えれば紙地図とコンパスも携帯することが、やはりベストな選択肢となるのです。
登山でスマホアプリを使用するメリット

地図読みというのは、方位や周辺情報を観察し、その状況と地図の内容を照らし合わせて位置を特定しますが、実際はそんなに簡単なものではありません。
それなりの知識と経験が必要な技術であり、状況把握するまでに多少の時間が必要になるでしょう。
そこで、手軽に正確な位置情報を把握できるスマホアプリが活躍するのです。
登山用スマホアプリは正確な位置情報を瞬時に捉える
スマートフォンアプリであれば、GPSデータを基に位置情報を瞬時に把握し確認出来るという最大のメリットがあります。
また、事前に登山計画を作成し、そのルート通りに進んでいるかというトレースと時間進捗のズレも容易に把握できます。
万が一時間的に遅れが生じている場合は、ビバーク(宿泊)を行うべきかの判断が即時に行えるでしょう。
登山用スマホアプリは大事な山行の記録が残せる
更に、せっかく始めた登山、どんな山へ行って、どんな写真を撮ったのか?山行に費やした時間や時期などを残しておきたいですよね。
そして、そんなデータを共有すれば、他人のデータを参考に次の計画を立てたり、自分のデータが他の人が安全に登山を行う助けになるかもしれません。
デジタル化によって、データの共有や保存が容易に行えるものスマホ用登山アプリのメリットです。
- GPS機能で瞬時に自分の位置が把握出来る
- 事前に登山計画を立てられ、その内容に沿って行動確認が行える
- 登山記録が残せる
- 他の人が行った山行を参考に出来る
- 自分のデータで他の人が安全に登山を行える
代表的な登山アプリとおススメするアプリ

代表的な登山アプリ4点を紹介します。
各社特徴的な機能を備えており、自分のスタイルに合わせた選択を行うと良いでしょう。
しかし、登山初心者はスタイルや目指すべき方向が明確では無いと思うで、その場会は私も使用している「YAMAP」がおススメです。
代表的な登山アプリ4点
私の注釈無しで、各社公式サイトへのリンクと各社設定の売り言葉を載せました。
YAMAP
山と高原地図ホーダイ
ジオグラフィカ
ヤマレコMAP
各アプリの特徴と合致する登山スタイル

いきなりアルプス縦走を行う人もいないでしょうが、将来的な目標は意識する必要はあるでしょう。
そう考えれば、初心者から上級者まで幅広い人たちが使用出来るアプリが理想的です。
地図の内容
YAMAP | 山と高原地図 | ジオグラフィカ | ヤマレコ | |
---|---|---|---|---|
詳細表現 | 〇 | ◎ | △ | 〇 |
網羅性 | ◎ | △ | △ | 〇 |
他ユーザーの登山情報確認
YAMAP | 山と高原地図 | ジオグラフィカ | ヤマレコ | |
---|---|---|---|---|
確認可 | ◎ | ◎ | △ | 〇 |
見やすさ | ◎ | △ | △ | 〇 |
網羅性 | 〇 | 〇 | △ | ◎ |
合致する登山スタイル
YAMAP
おススメ度:★★★
一般登山道を行く初心者から上級者まで網羅し万人向け
- 地図は「水場」「危険個所」「コースタイム」などの必要な情報を網羅
- 里山や低山などの網羅性も高く初心者には優しい山にも対応
- 活動記録が使いやすく横の繋がりなどのコミュニティも充実
- ソフトの不具合は迅速に対応~まだまだ機能UPを継続中
山と高原地図
おススメ度:★★☆
名山を中心に登る人向き
- 地図情報の豊富さと更新頻度は他の追従を許さない
- 有名どころの情報は過剰なほどだが、マイナーな山は網羅していない
- 活動記録の数は多いが写真を拡大すると画面が変わるので面倒
- 紙地図を使用経験者が乗り換え
ジオグラフィカ
おススメ度:★☆☆
雪山や破線ルートを好む玄人向け
- 音声ガイド機能が唯一ついており画面の確認が必要ない
- 登山計画のオリジナル性が高い
- 他人に頼らない玄人向き
- 逆に登録されたルートは少なく低山登山者には向かない
ヤマレコ
おススメ度:★★☆
初心者から玄人まで網羅するが情報は玄人向けが多い
- 他の人が歩いた足跡を参考に出来るため幅広いルートが楽しめる
- 「山と高原地図」と地図を連携
- オンライン登山届「コンパス」と連携
- 活動記録は比較的使いやすいが広告が多い
登山用スマホアプリのまとめ

登山用アプリは日々進化しており、この記事以降も情報は変わっています。
現在は各社内容に差がありますが、将来的には大きな差は無くなるかもしれませんので、気になるアプリは最新の内容をご確認下さい。
但し、はっきり言えることは、アプリ開発に対しマンパワーをどれだけ注ぎ込めるか!ということ。
その点ではYAMAPが一歩抜きん出ており、不具合の打上げ後、翌日には改善するという迅速性が素晴らしいという印象です。
自信の山行スタイルに合わせ、適切なアプリを選択し安全な山行を目指しましょう!
でもその前にスマホの能力を確認し、予備のバッテリーを用意することと、万一に備え「紙の地図」を携帯することもお忘れなく。
楽しい山行を!!
- Step01:登山のススメ!|登山は痩せるだけじゃない!脳や精神力を健康に保つ効果が高いって知ってる?
- Step02:登山難易度の調べ方!|グレーディングを知れば過信の無い安全登山に繋がります
- Step03:安全な登山が最重要!|登山リスクは自己研鑽とリスクマネジメントで回避しよう
- Step04:登山には目標が大切!|登山の目的を継続させる「てんくら」の紹介としっかりとした目標の立て方
- Step05:初心者に最低限必要な登山装備!|価格がピンキリな登山道具のマストアイテムからあると便利な道具まで徹底解説
- Step06:遭難防止の登山計画!|スマホアプリで登山を行うメリットとデメリットとおススメアプリの安全な使用方法
- Step07:ウォーキングは痩せない!|登山は消費カロリーが大きくダイエットに最適だからこそ自分の体力を知ることが大事
- Step08:初めての登山は絶景を見よう!|初心者におすすめな国師ヶ岳・大菩薩嶺・瑞牆山
- Step09:技術を磨く中級登山!|八ヶ岳(赤岳)と乾徳山を指標に登山技術のステップアップを図ろう
- Step10:体力を知る中級登山!|雲取山登山は中級者の体力度で選ぶ山。無理なく安全に挑戦しよう
- Step11:総合力が必要な中級登山!|八ヶ岳の縦走/周回ルートが技術と体力を計るには最適の登山コース
- Step12:登山の心構え!|登山では100%安全な場所は無い。だからこそ謙虚で真摯な態度を思い出してから山へ向かおう
Let’s start climbing!