技術を磨く中級登山!|八ヶ岳(赤岳)と乾徳山を指標に登山技術のステップアップを図ろう

STEP09 IC 登山を始めよう!
登山を始めよう!

前項で「入門~初心者」向けの山を紹介しました。

 

ここでは次のステップと言える、少し大変な山を紹介致します。

 

これまで、山の難易度についてはグレーディングという評価を中心に説明してきました。

 

実はこのグレーディング、体力度指標である数字については明確な計算式があるものの、技術度を図るアルファベットについては人によって感じ方が大きく違う。

 

特に「C」という脱初心者を図る上で重要な指標は、足場の問題やその山の山容をどう捉えるかによって難易度の感じ方が大きく変わるのです。

 

言葉だけでは少し分かり難いので、グレーディング「C」の代表的な山について「核心部」と言われるルート上の最難関を交え、実際の登山道で解説しましょう。

 

なお、技術度「C」以上の山はクサリを持つ際の滑り止めが効くグローブと、万が一のためヘルメットは常に準備することをおすすめします。

 

 

山のグレーディングをおさらい

調査

 

山のグレーディングについて、重要な部分をおさらいします。

グレーディングを公表している都道府県と地域

設定状況
  1. 新潟県 101ルート
  2. 山梨県 123ルート
  3. 長野県 123ルート
  4. 静岡県  82ルート
  5. 岐阜県  75ルート
  6. 群馬県  85ルート
  7. 栃木県  82ルート
  8. 石鎚山系(四国)50ルート
  9. 山形県 103ルート
  10. 秋田県  33ルート

 

設定の前提

想定登山者

  1. 【年齢および経験】40〜50歳の登山経験者
  2. 【登山構成】2〜5名のパーティー
  3. 【装備の重さ】山小屋利用を前提とした装備
  4. 【登山時の天候】夏山の晴天時

 

グレーディングが指し示す意味

体力度

グレーディング 推奨される行動
1〇~3〇 日帰りが可能
4〇~5〇 1泊以上が適当
6〇~7〇 1~2泊以上が適当
8〇~10〇 2~3泊以上が適当
※「〇部」には後述する技術度の指標が入る

技術度

指標 登山道 技術・能力
A
  • 概ね整備済
  • 転んだ場合でも転落・滑落の可能性は低い
  • 道迷いの心配は少ない
  • 登山の装備が必要
B
  • 沢、崖、場所により雪渓などを通過
  • 急な登下降がある
  • 道が分かりにくい所がある
  • 転んだ場合の転落・滑落
  • 登山経験が必要
  • 地図読み能力があることが望ましい
C
  • ハシゴ・くさり場、また、場所により雪渓や渡渉箇所がある
  • ミスをすると転落・滑落などの事故になる場所がある
  • 案内標識が不十分な箇所も含まれる
  • 地図読み能力、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要
D
  • 厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・くさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や渡渉箇所がある
  • 手を使う急な登下降がある
  • ハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い
  • 地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
  • ルートファインディングの技術が必要
E
  • 緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する
  • 深い藪漕ぎを必要とする
  • 地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
  • ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
  • 登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある

 

おススメの山(中級編)技術度の観点から

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登山中級者を対象とした技術度レベルは、おおよそ「C」程度の山から(人によっては「D」かもしれません)。

 

しかし、「C」の体感度は山によって結構大きく変わることは冒頭で書いた通り。

 

私が経験したグレーディング「C」の中でも比較的優しい日本百名山の「瑞牆山」を基準に、二百名山の「乾徳山」と百名山の「赤岳(八ヶ岳)」を実際に比較しましょう。

 

なお、今回の主題である「中級者として技術的におすすめな山」は、比較対象の「乾徳山」と「赤岳(八ヶ岳)」であることを申し添えます。

 

チャレンジ可能か是非判断して下さい♪

 

【参考】2C 瑞牆山(初心者向け最難関で紹介済)

既に初心者向けの山で紹介していますが、「C」という技術度の比較を行うために再掲します。

 

技術度「C」の中心として語られる「クサリ場」について、瑞牆山が如何に簡単なものであるかを確認して下さい。

 

みずがき山荘側登山道から望む「瑞牆山」(著作権=筆者)

IMG_5140

 

隣接する県 標高 名山選定 山塊 登山口 距離 CT
山梨 2,230m 日本百名山 奥秩父 みずがき山荘 5.8km 5:00

 

登山道に表れる「核心部」~ハシゴ

先ずハシゴですが、瑞牆山の場合は最初の写真のように木段の手摺がある普通のハシゴがあります。

 

このレベルであれば、特に技術を要するものではありません

 

みずがき山荘側登山道「瑞牆山」(著作権=筆者)

IMG_4512

 

一方、下の写真の階段は山頂直前のある鉄製のハシゴですが、角度もあるため多少の技術を求められます

 

難易度の高い山では、同じような角度のハシゴでも大分長くなりますね。

 

みずがき山荘側登山道「瑞牆山」(著作権=筆者)

IMG_4535

 

登山道に表れる「核心部」~クサリ

登山道途中のクサリ場については、1枚目の写真のような場所が途中数か所ありますが、天候が良く、岩が乾いていれば特段クサリを利用しなくとも越えられる場所が大半

 

みずがき山荘側登山道「瑞牆山」(著作権=筆者)

IMG_5151

 

しかし、山頂直下にある下の写真のクサリ場については、常に湿っており、初春などは凍っていることも多く、また、ステップの手がかりが少ないため瑞牆山の「核心部」とも言われています。

 

確かに、女性などは足掛かりが無く、腕力も期待できないため苦労しているケースが多く見受けられる場所です。

 

みずがき山荘側登山道「瑞牆山」(著作権=筆者)

IMG_5157

 

急登が多い瑞牆山ですが、技術度的に要求される場所は高度感も無く、最後のクサリ場を除けば比較的簡単であると言えます。

 

 

3C 乾徳山

乾徳山は以下の写真の山容でも分かる通り、山頂は尖がった形をし、非常に険しい山であることが伺えます。

 

技術度は瑞牆山同様の「C」ですが、実際の難易度は大きく変わります

 

次のステップアップには最適な山でしょう。

 

黒金山方面からの「乾徳山」(著作権=筆者)

IMG_5009

 

隣接する県 標高 名山選定 山塊 登山口 距離 CT
山梨 2,031m 日本二百名山/新花の百名山/山梨百名山 奥秩父 徳和駐車場 10.5km 6:36

 

登山道に表れる「核心部」~ハシゴ

乾徳山の登山道は随所に切り立ったガケの部分を通り、高所恐怖症の人には結構な負担を強いられる山です。

 

その中でも最初の写真は、髭剃り岩という奇石がある場所を起点に、岩を登り左側から右にに巻く場所で、奥は断崖絶壁のため非常に高度感がある場所。

 

瑞牆山では先ず感じられない高度感です。

 

「乾徳山」登山道(著作権=筆者)

IMG_4950

 

この登山ルートを右側へ行くと、次の写真にある一端降りるハシゴが現れます。岩に囲まれているため高度感はさほどありませんが、高さは3m前後あります。

 

「乾徳山」登山道(著作権=筆者)

IMG_4951

 

3枚目の写真は山頂から下山する際のハシゴ。

 

大半の登山者は、登りとは違う下山道を選択するためこのハシゴを降ります。ここも多少の高度感があります。

 

「乾徳山」登山道(著作権=筆者)

IMG_4986

 

登山道に表れる「核心部」~クサリ①

乾徳山のクサリ場は多数ありますが、「核心部」となる難易度の高い場所は主に二つ

 

一つ目は、カミナリ岩といわれる場所から1枚目の写真にあるクサリを8mほど登り、更に2枚目の写真にある2つのクサリの何れかで更に上へ向かう場所です。

 

手前のクサリはほぼ直登のイメージで、ほとんどの場合は奥にあるクサリを使用します。

 

ここからは更に高度感を増した岩登りとなり、高所恐怖症の人にとっては大きな関門となるでしょう。

 

「乾徳山」登山道(著作権=筆者)

IMG_4954

「乾徳山」登山道(著作権=筆者)

IMG_4955

 

登山道に表れる「核心部」~クサリ②

最後の写真は、乾徳山で最も有名な場所かもしれません。

 

山頂手前にある最後のクサリ場ですが、写真で分かる通り20mはありそうな一枚岩を直登する場所となります。

 

スタンスは岩の亀裂に足を入れ進みますが、初心者の場合は恐怖で焦り、腕力で登ろうとすると滑り易い岩でとても危険な場所。

 

この場所に限り、右側に巻くルートもあるので逃げることも可能です。

 

「乾徳山」登山道(著作権=筆者)

IMG_4966

 

如何でしょう、同じ技術度「C」でも瑞牆山とは難易度が大きく違うのが分って頂けましたか?

 

グレーディングを指標として使うのは重要なことですが、技術レベルは同じでも、山によって大きく差があることをしっかり認識してステップアップを図るべきです。

 

なお、乾徳山については都心からのアクセスも良く非常に人気のある山。

 

人気がある所為か、岩場は全てツルツルの状態になっています。

 

雨などが降れば難易度は大きく変わるので注意して下さい。

 

訪れる山については自分の力量に合うかどうかを先ずグレーディングで選択し、実際の登山道の様子などを登山アプリの投稿内容などで必ず確認しましょう。

 

 

3C 八ヶ岳の最高峰「赤岳」

八ヶ岳と言えば上級者のイメージがあります。しかも最高峰である「赤岳」なら尚更。

 

しかし、赤岳であってもルートによっては「3C」というレベルでチャレンジが出来ます。

 

しかし、本当に乾徳山と同じレベルなのでしょうか?

 

ここにある登山道の写真を見れば、「C」という技術レベルの範囲は非常に大きいということが分ると思います。

 

間違いなく赤岳は技術度「C」の最高峰レベルと言えるでしょう。

 

また、体力度的に見ても日帰りが可能な範囲ですが、人によっては日帰りが出来ない可能性もあるギリギリの場所であるとも言えます。

 

自身のレベルを図る上で、赤岳は最もおススメできる場所です。

 

但し、落石や滑落の危険が常に付きまとう山なので、滑り止めのグローブとヘルメットの装備をお忘れなく!

 

 

 

八ヶ岳「赤岳」山頂直下から(著作権=筆者)

IMG_5443

 

隣接する県 標高 名山選定 山塊 登山口 距離 CT
山梨/長野 2,899m 日本百名山/新日本百名山/山梨百名山 八ヶ岳 美濃戸

(赤岳山荘)

10.6km 7:20

 

「3C」の前提として、美濃戸(赤岳山荘駐車場)をスタート/ゴールとし、ルートは南沢~文三郎道を往復(ピストン)する行程

 

ルートを北沢~地蔵尾根とし往復する場合は「4C」となります。

 

今回紹介する場所は、核心部が集中する「地蔵尾根」と「文三郎道」の両方を解説します。

 

登山道に表れる「核心部」~ハシゴ

ハシゴに関しては「地蔵尾根」の名物と言って過言ではなく、1つ目の写真のようなハシゴが沢山かけられています。

 

また、2枚目の写真の様に普通の階段よりも明らかに急な階段も随所に出現するのが特徴。

 

八ヶ岳「赤岳」地蔵尾根(著作権=筆者)
IMG_5405

八ヶ岳「赤岳」地蔵尾根(著作権=筆者)

IMG_5413

 

一方で、「文三郎道」は山頂直下の急登を除き比較的整備状況が良く、3枚目の写真の様な階段を永遠に歩むことになります。

 

既に乾徳山のレベルを超えているのが伺えるでしょうか?

 

八ヶ岳「赤岳」文三郎道(著作権=筆者)

IMG_5477

 

登山道に表れる「核心部」~クサリ(地蔵尾根ルート)

クサリ場は無数に存在するため、ここでは全てを紹介しきれません。

 

各ルートのイメージと乾徳山を比較してみれば、赤岳の険しさを理解して頂けると思います。

 

最初の1枚は「地蔵尾根」の途中で、八ヶ岳特有の岩場地帯をクサリを頼りに進み、その先のハシゴに取り付く場所です。

 

ハシゴの奥にも永遠にクサリが続いているのが見て取れますか?

 

八ヶ岳「赤岳」地蔵尾根(著作権=筆者)

IMG_5415

 

2枚目は急登場所の様子が良く分かる場所で、上部から見て下が分からないような急登をクサリを補助に進んで行きます。

 

八ヶ岳「赤岳」地蔵尾根(著作権=筆者)

IMG_5417

 

3枚目も「地蔵尾根」からのルートで、山頂直下の急登は延々とクサリが続くほど急です。

 

八ヶ岳「赤岳」地蔵尾根(著作権=筆者)

IMG_5444

 

登山道に表れる「核心部」~クサリ(文三郎道ルート)

1枚目は山頂から下山する際のクサリ。

 

こちらから登るルートの方が体力的には優しい指標ですが、山頂へ至るにはこの急登を登る必要があるのです。

 

八ヶ岳「赤岳」文三郎道(著作権=筆者)

IMG_5459

 

2枚目の写真は中岳への分岐に至る中間部にあるクサリ場で、奥に少しだけ見えているのが中岳。

 

文三郎道で登る場合、中岳の分岐までは階段地獄が続き、分岐以降はクサリ場の急登が山頂まで続きます。

 

八ヶ岳「赤岳」文三郎道(著作権=筆者)

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瑞牆山を経験した人も、赤岳(八ヶ岳)の荒々しさを見てしまうと二の足を踏むかもしれませんね。

 

でも、それで良いと思います。

 

恐れを知らず飛びこむことが決して勇気ではなく、畏怖の念抱くことも大人としては大事なことです。

 

若い人ならどうにかなることも、年を取ると膝が曲がらず苦労する場面も生じます。

 

無理をして危険な場所へ行きケガをしてからでは遅いので、もしチャレンジする場合は、きちんと装備と体調を整えて臨みましょう!

 

 

まとめ

IMG_5365

 

紹介の三山は何れも技術度「C」の山で、標記上は同じレベルですが実際の内容は大きく異なることが分って頂けたと思います。

 

特に瑞牆山は「C」と言っても特段緊張する場所もなく、ルート選択の知識と簡単なクサリ場対応で対処出来るレベルであることは間違いありません。

 

一方で他の二山、特に赤岳については一歩間違えば「滑落」の危険があり、滑落すれば大ケガでは済まない場所が随所にあります。

 

ベテラン登山者となれば、赤岳はまだまだ安全な山と言うかもしれませんが、初心者にとっては簡単に対応できるレベルではなく、体力的にも削られる場所。

 

この様に、同じ技術レベルであっても難易度が異なることを理解し、また、難易度が上がれば行動時間も増えることも想定することで、自身のレベルを適正に測ることを忘れてはいけません。

 

赤岳は人によっては1泊を必要とするでしょう。

 

技術面が「C」であっても体感する難易度が高かったり、緊張を強いられる場所が多ければ体力は通常以上に消耗します。

 

経験値が低い内は、単にグレーディングだけで判断せず、山の特徴を事前に調査した上で余裕を持った計画を立てることがとても重要である理由がここにあります。

 

多くの経験で感じ方は変わり、体力の使い方も上手になりますので、多くの山を経験し、対応出来る山を増やして行くことが長続きのコツですね。

 

 

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