山の難易度を知る|登りたい山の体力度や技術度を理解する

STEP02 IC 旅のエビデンス

大きな山を抱える主要な都道府県では、同じ指標を基に登山の難易度を示しています。

遭難事故を防ぐため、初心者などが無暗に危険な登山を行わないようにするために、グレーディングという「体力度」「技術度」の二つの観点からルート毎の難易度を示します

 

山のグレーディングとは

Let's_start_climbing009

 

全ての都道府県が設定しているわけではありませんが、2019年3月現在、以下の主要山脈を有す9県と1山系では、同じ指標で難易度を示しています

残念ながら、立山連峰を有す「富山県」にはグレーディングが無いので注意が必要です。

 

  1. 新潟県 101ルート
  2. 山梨県 123ルート
  3. 長野県 123ルート
  4. 静岡県  82ルート
  5. 岐阜県  75ルート
  6. 群馬県  85ルート
  7. 栃木県  82ルート
  8. 石鎚山系(四国) 50ルート
  9. 山形県 103ルート
  10. 秋田県  33ルート

 

グレーディングの表し方

グレーディングは「体力度」「技術度」の二つを表します。

体力度

Let's_start_climbing010

 

体力度の指標は01~10の数字で表し、数字が大きくなるほど体力度が必要になります。

 

  • 01~03=日帰りが可能
  • 04~05=1泊以上が適当
  • 06~07=1~2泊以上が適当
  • 08~10=2~3泊以上が適当

 

人それぞれ体力レベルが違いますので、一概に数字通りとは言い切れませんが、登山には想定通りに行かない怖さ(面白さ)があることを忘れてはいけません

体力度はルート定数で計算される

体力度の指標については、具体的な計算方法があるため、これから説明する「技術度」と比較すると化学的と言えます。計算に使用される数値は次の通り。

 

  • コースタイム(時間)
  • ルート全長(km)
  • 累積登り標高差(km)
  • 累積下り標高差(km)

 

【コースタイム(時間)短縮して「CT」】

登山地図という登山専用の地図があり、そこにはルート間の標準時間が記載されています。

但し、標準時間の算定については地図会社によって母数の設定が異なることで、平均値に差がでる場合があります。

 

<計算方法>

登り(標高100m=10分)+(水平歩行距離100m=1分30秒)

下り(標高100m=05分)+(水平歩行距離100m=1分30秒)

 

有名な「山と高原地図」の考え方は次の通り。

 

  • 40〜50歳の登山経験者
  • 2〜5名のパーティー
  • 山小屋利用を前提とした装備
  • 夏山の晴天時

 

基本的には競争するわけではなく、登山計画を作成する際に目安とする重要な指標。

この数値より早いとか遅いとか自慢するものではなく、自分の体力度を知ったり、スケジュールの余裕などを把握するために使用しましょう。

 

【ルート全長(km)】

文字通りその登山ルートの距離で「km」で計算します。

 

【累積(登り/下り)標高差(km)】

山を登る際、登りっぱなしの登山道は少ないです。

 

適度にアップダウンがあるのが普通で、例えば2,000mの山であれば標高差2,000mですが、実際の登山道では一端100m降りて再び100m登ることもあります。その場合は累積2,100mの標高差となります。

 

この累積標高差を登りと下りで計算します。

ルート定数の計算式

コースタイム(時間)×1.8+ルート全長(km)×0.3+累積登り標高差(km)×10.0+累積下り標高差(km)×0.6

 

技術度

Let's_start_climbing011

 

技術度の指標はA~Eで表します。

一般登山ルートの最難関は「E」で、それ以上のバリエーションルート(一般的登山道以外)や積雪期の登山は、ロッククライミングなどの特殊技術が必要で、「E」を超える難易度となり一般的ではありません

 

指標 登山道 技術・能力
A ◇概ね整備済
◇転んだ場合でも転落・滑落の可能性は低い
◇道迷いの心配は少ない
◇登山の装備が必要
B ◇沢、崖、場所により雪渓などを通過
◇急な登下降がある
◇道が分かりにくい所がある
◇転んだ場合の転落・滑落
◇登山経験が必要
◇地図読み能力があることが望ましい
C ◇ハシゴ・くさり場、また、場所により雪渓や渡渉箇所がある
◇ミスをすると転落・滑落などの事故になる場所がある。
◇案内標識が不十分な箇所も含まれる
◇地図読み能力、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要
D ◇厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・くさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や渡渉箇所がある
◇手を使う急な登下降がある
◇ハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い
◇地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
◇ルートファインディングの技術が必要
E ◇緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する
◇深い藪漕ぎを必要とする
◇地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力や技術が必要
◇ルートファインディングの技術、高度な判断力が必要
◇登山者によってはロープを使わないと危険な場所もある

 

具体的な内容を上げていますが、曖昧な所は主観になっている場合があります。

特に「C」や「D」では個別の感覚によって感じ方が大きく変わりますので、事前調査が重要です。

 

重要なことは次の通り。

 

  • 身体能力と想定技術がマッチしているか
  • 万一の場合、自分の位置を把握出来る能力があるか
  • 登山道が曖昧な場所を的確に判断し進めるか
  • 高度感のある場所で冷静にバランスを保ち進めるか

 

日本百名山に登るために必要なグレーディング

Let's_start_climbing012

 

登山を始めると、先ず「日本百名山」に興味を示すでしょう。

百名山全てを登頂することを目標にする人も居ると思いますが、実は百名山全てを登頂するには相当な技術が必要なのです。

 

グレーディングを発表している長野県にある、有名ところのピンキリを見てみましょう。

 

グレーディング 山の名前 場所
3A 霧ヶ峰 長野
7D 塩見岳 長野他

 

霧ヶ峰は車山高原を有す、スキーで有名な場所です。

ほぼ全てが良く整備されたハイキングコースであるため技術レベルは「A」となりますが、基準のコースが13.3kmと長く、体力度が「3」必要となります。

 

最初はこの距離を無事歩くことが目標となるでしょう。

 

一方、同じ長野にある塩見岳という日本百名山は、最も優しいルートで登山を行っても「7D」の体力と技術が必要となります。「D」という難易度は、滑落の可能性が高い場所を有し、滑落した場合は死に直結するような厳しいルートを通る必要があります。

 

また、1~2泊を要すため、その日数を維持できる体力と、体力を温存した歩き方の技術も必要となってきます。

日本百名山で最も難しい一般ルートはグレーディングの無い富山県にある

グレーディングを設定している長野県の山なら目標を立てやすいですが、一般登山道で最も難しいと言われる山は富山県の「剱岳」です。

 

具体的なグレーディングが無い山の場合は、インターネットの登山記録などで調べ、自分が挑戦可能なのかを判断するしか術はありません。

 

日本百名山を全て登るということは、一般登山道の技術水準をほぼ全て網羅する必要があることを理解し、先ずは無理のない目標を立て実行することを考えましょう。それだけ登山は長く続けられるスポーツとなるわけです。

先ずは「1A」の山を知ることから始めよう!

Let's_start_climbing013

 

初心者に技術が無いことは当たり前です。

先ずは技術以前に体力を図ることをおススメします。

日本百名山だけが山じゃない

自分が済んでいる地域に百名山が無いか調べてみましょう。

日本百名山は基本的には1,500m以上の山を基準に構成されており、同じく二百名山、三百名山とありますが、後から追加した山は更に難易度が高い山が多くなります。

 

しかし、長野(信州)や山梨などグレーディングを設定している県の百名山では、1,000mにも満たない低山も豊富にあり、「1A」という最も優しいレベルから登山を開始できます

1Aでも最初は苦しい

知って欲しいのは登山の苦しさです。

不整地を歩む登山のメリットは前記事で説明した通り計り知れません。その分、最初の内はとても辛いのも事実。先ずは体力レベル「1」を肌で感じて、「2」「3」とステップアップしましょう。

同じ体力度でも技術力が増すと疲労度は上がる

技術レベルを上げず、体力レベルを上げて行く方法以外にも、同じ体力度で技術レベルの違う山を登るという方法もあります。

体力の消耗状況を把握するには良い試みになるでしょう。

 

自分のレベルを知って世間に迷惑をかけない

Let's_start_climbing014

 

グレーディングが明確な山を登っていれば、自分のレベルに合った登山を行うことに繋がります。無茶な登山は危険度を上げ、最悪の場合は遭難し救助を要請しなくてはならない事態へ繋がります。

万が一に備えることも必要

どんなに簡単な山へ登っても「絶対安全」はありません

万一遭難すれば、捜索費用は数百万円必要となるため、必ず保険に加入しましょう。

慌てずゆっくり

ここでお話している登山の目的は、技術力を早く上げて難しい山へ挑戦しよう!ではなく、登山によって健康を取り戻したり維持することにあります。その結果、自然と技術力が上がり、バリエーションを増やしても遅くはありません。

 

少しづつ自分の体力の合った山を出来るだけ沢山登り、登山のメリットを感じて下さい。

 

グレーディングを発表している自治体へのリンク

Let's_start_climbing015

 

県・地域 外部サイトへのリンク
新潟県 「新潟 山のグレーディング」
山梨県 山梨 山のグレーディング
長野県 「信州 山のグレーディング」について
静岡県 静岡県「山のグレーディング」の公表
岐阜県 岐阜県山のグレーディング
群馬県 群馬県 山のグレーディング
栃木県 栃木県 山のグレーディング(栃木県山岳遭難防止対策協議会)
山形県 やまがた百名山のグレーディング
秋田県 「秋田県の山岳グレーディング」について
石鎚山系(四国) 石鎚山系 公式WEBサイト

※リンクが古い場合は最新の情報へアクセスし確認して下さい

 

 

ステップ01:登山のススメ!|登山は身体も心も健康に保つ最高の運動方法って知ってる?

ステップ02:山の難易度を知る|登りたい山の体力度や技術度を理解する

ステップ03:安全な登山|登山には多少のリスクがあることを理解する

ステップ04:登山の目標|登山を継続する目標の立て方

ステップ05:道具を揃える|自分の登山スタイルを固めて準備を整えよう

ステップ06:登山計画|登山に便利な地図アプリを使いこなす

ステップ07:自分の体力を知る|簡単な山でも登山とウォーキングでは大きな違い

ステップ08:最初のステップアップ|先ず最初に目標とするおすすめの山

ステップ09:次のステップアップ(技術度)|少し大変な山にも安全第一で挑戦しよう

ステップ10:次のステップアップ(体力度)|少し大変な山にも安全第一で挑戦しよう

ステップ11:次のステップアップ(複合)|少し大変な山にも安全第一で挑戦しよう

ステップ12:この先はあなた次第|自分の力量や山への愛着度によって変わる方向性