最初のステップアップ|先ず最初に目標とするおすすめの山

STEP08 IC 旅のエビデンス

登山のことを知れば知るほど「早く始めよう!」と思うでしょう。

でもちょっと待って下さい。

 

山へ登る前の準備は整えましたか?

山には難易度があることをきちんと理解して頂けましたか?

 

ここでは、山へ登る準備が整った「初めての登山者」を対象に、最初のステップとしておススメの山をご紹介します!

 

山へ登る前に

Let's_start_climbing043

 

靴とリュック、服装など、必要最小限の装備は整える必要があることはご説明した通りです。

装備を整えるには当然資金が必要ですが、何度も話している通り、山は普通の場所ではなく、色々な危険が潜んでおり、万一に備えた準備を怠ると命に係る場合もあります。

 

靴が大事な理由

Let's_start_climbing044

 

登山道は普通の舗装路とは違い未整備です。田舎のあぜ道みたいな未舗装路とも大きく違い、多くは木の根や石などがむき出しになっており、普通のスニーカーでは穴が空いたり、靴裏(ソール)が剥がれたりするリスクがあり、何よりも疲れやすく、足の故障を招いてしまう可能性があります。

 

歩けなくなるということは「遭難」するということで、その時点で救助が必要となります。

 

また、滑り易い登山道では、グリップの利かない靴はガケからの「滑落事故」を誘発する可能性や、足首を捻って捻挫し動けなくなる場合もあります。

 

そのため、ジョギングシューズやテニスシューズ同様に、登山に適した「登山靴」があるのです。

 

登山靴は、出来ればハイカットを選び足首の保護を行い、ソールは滑り難い専用の物が使用された製品を選ぶ必要があります。多少高価でも、無名の登山靴もどきの物ではなく、専門のメーカーから販売されている評価の高いものを必ず選びましょう。

 

服装が大事な理由

Let's_start_climbing045

 

登山はウォーキングとは比較にならないほどの強度であるため、多少寒いと思える恰好をしていても歩き出せば直ぐに汗をかきます。汗は放っておけば服に溜まり、ずぶ濡れ状態と同じ作用で汗冷えを引き起こし、最悪の場合は低体温症で「救助」が必要となります。

 

そのため、効率的に汗を外へ逃がす素材を使用した下着をベースに、中間着も同様に揃えていく必要があるのです。綿素材の下着や上着は絶対に使用してはいけません

 

また、レイアリングという重ね着の手法を別記事で説明した通り、寒ければ着る、暑ければ脱ぐという調整を行いますが、行動している時は暑くても、山頂などで休憩する際はとても寒くなるため、風を防ぐ防寒着も必ず必要です。

 

そしても最も重要なのは「雨対策」です。山の天気は変わりやすいため、雨具は常に持ち歩く必要があり、万一風が強い日でもそれを着用することで防げる効果もあります。但し、普通の雨具ではなく「透湿性」が備わった製品を選ばないと、雨具の下で汗が溜まり低体温になります

 

登山における服装で最も重要かつ高価なものが「雨具」になります。

 

リュックが必要な理由

Let's_start_climbing046

 

登山では岩場などで手を使う場面があります。その時に手提げカバンを持っていれば、色々と不都合があることは誰でも分かるでしょう。

 

リュックは手足を自由にしつつ、多くの荷物を運べる道具です。そして、雨具や救急品、行動食など命に係るものを全て託す大事な道具なのです。

 

自分自身の健康状態

Let's_start_climbing047

 

登山を行うには体力の有る無しは関係ありません。一歩一歩、自分の体力に合った登山を行えば良いのです。

 

但し、持病などを抱えている場合は、登山を行える身体なのかお医者様へ相談しましょう。

お医者様からOKの判断が出れば安心ですね。

 

決して無理はしない、危険な所へは行かない

Let's_start_climbing048

 

登山のススメでは、山によってレベルがあることを説明しました。いきなり「そこに山があるから」と行って登るのは無謀です。レベルをきちんと調べ、そして徐々にステップアップしましょう。

 

ステップアップの考え方

Let's_start_climbing049

 

山のグレーディングについて理解することが重要です。

グレーディングは一部の県で公表しており、出来ればまずは公表している県の山を登りましょう

グレーディング評価の復習

Let's_start_climbing050

 

グレーディングは10段階で体力度を5段階で技術度を表します。

体力、技術共に最も優しい評価は「1A」で、最も難しいのは「10E」という考え方です。

グレーディングの前提条件を理解する

但し、この前提は「夏山」で「天気が良い」という最高の条件での評価であり、雨や風などが絡めば一気に難易度が変化することを忘れてはなりません。

 

また、一つの山にもいくつかのグレーディングがあり、これは登山口や登山道の違いで変化しますので、この点も間違わないよう注意が必要です。

 

  • グレーディングは10段階で体力度を5段階で技術度を表す
  • 「夏山」「天気が良い」という最高の条件での評価
  • 天候が崩れれば難易度は大きく変わる
  • 同じ山でもルートによって難易度が変わる

 

グレーディングを利用したステップアップ

それでは、実際にどうのようにステップアップするのかを説明します。

◆入門:体力度「1」技術度「A」
  • 必ずこの最低レベルを経験
  • 初心者の多くがこの段階でも苦しくってビックリします
◆初級:体力度「2」技術度「A~C」
  • 1Aを経験しているとあまり「B」の変化を感じません
  • 岩を超える場面などが増え手を使うことが多くなります
  • 技術度Cではクサリ場を越えます(Cはレベル差がとても大きい)

 

—ここまではレクリエーション登山

 

◆中級:体力度「3~6」技術度「B~C」
  • 体力の有る人は日帰りも可能
  • 3Cレベルになると八ヶ岳(赤岳)も登山可能
  • クサリ場や滑落したら無事で済まない場所もある
  • アルプスの縦走も可能な目指すべきレベル

 

—ここまで行けばほとんどの山は登れる

—これ以上はマニアックな世界

 

◆上級:体力度「5~8」技術度「D」
  • 技術度「D」になると死に直結する緊張する場所も多発
  • 高所に弱い人はこの段階は諦める方が安全
  • 登山に必要な知識が必須
◆最上級:体力度「9~10」技術度「D~E」
  • 命がけの場所(技術度E)
  • 技術、体力双方が求められ度胸も必要なため一般的ではない
  • 登山に必要な知識が必須

 

なんとなく分かりますか?

 

入門~初級の辺りでも十分に登山の効果も含め楽しめます。中級程度になると、落ちたら無事では済まないようなガケのある登山道をクサリ頼りに歩む場所も多発します。しかし、中級程度の山まで行けるようになれば、ほぼ全ての山を踏破出来ると思って良いでしょう。

 

更に高見を目指し、技術度「D」以上に挑戦しようとしても、クサリのような補助が無い切り立ったガケを進むには、度胸だけではなく、バランス感覚に長けた技術も必要です。

 

一般的な登山者は「中級レベル」である”体力度「3~6」技術度「B~C」”を目指しステップアップすれば良いでしょう。体力度「6」はほとんどの場合は一泊が必要で、技術力以上に二日間歩ける体力が問われます。

 

即ち、二日間歩ける体力と技術レベルCが問題無く熟せるのであれば、アルプス縦走も夢では無いということになります。

 

グレーディングが無い場合(近くにそんな山が無い)

Let's_start_climbing051

 

自分の住む都道府県に山のグレーディングが無い場合でも、出来れば公表している県の山へ行き、そのレベルを一度確認することをおススメします。

 

理由は、具体的に数値化しているその背景をきちんと理解し、グレーディングの無い山へ登る際の比較材料として欲しいからです。

 

グレーディングの無い山を主戦場とする際は、必ず以下の内容をインターネットで調べましょう。

 

  • どの登山口、どの登山道の情報か
  • 全体の距離
  • 登山口からの標高差、累積標高差
  • アップされた写真から難易度が高い場所が無いかを特定する

 

また、登山アプリで登山地図をダウンロードし、標準CT(コースタイム)と水場、危険個所を確認します。

どの登山口、どの登山道の情報か

難易度は登山口と登山道で変わります。必ず情報として確認しましょう。

全体の距離

歩行距離では難易度は計れませんが、標高差も含め考える材料としましょう。

登山口からの標高差、累積標高差

全体の距離が短くても、標高差が大きければ「急登」が多いことになります。

また、標高差に対し累積標高差が大きく違う場合は、いくつかのピークを登ったり降りたりするハードな行程であることが分ります。

アップされた写真から難易度が高い場所が無いかを特定する

YAMAPなどの登山アプリに投稿された記事には、必ず写真が添付されています。その写真に、登山道で苦労した場所や危険個所などがアップされている可能性があるので必ず確認しましょう。

 

親切な投稿者であれば、前段の説明文中や写真へのコメントも載せている可能性もあるので、もし、同じ地域の山へ多数行くような投稿者であればフォローすれば情報交換も可能です。

 

危険な場所へは行かない(近づかない)

Let's_start_climbing052

 

いくつかの山を登ると、自分への過信が産まれる可能性があります。

技術も体力も整わない内に無理をすれば、多くの人に迷惑をかける結果もあり得ます。

 

難易度の高い場所での事故は意外と低く、実は最も事故が起きやすいのは、緊張する場面を過ぎ「安心」した瞬間だそうです。

 

自分の実力が「体力と技術」のみでなく「精神的」にも備わってからでも遅くありませんよ。

 

入門~初級におススメの山

Let's_start_climbing053

 

前置きが長くなりましたが、最初のステップとなる「入門~初級」の方におススメの山をご紹介致します。残念ながら、グレーディングが設定されている日本百名山には「1A」が無いため、「1A」のみ百名山以外から選定させて頂きました。

 

最も優しい「1A」~「2A」でおススメの山

ここでご紹介する山は、登山の苦しさもそれなりの味わえ、山頂からの大絶景(特に富士山)で有名な名山です。まずは天気の良い日に、自分の体力を確かめるつもり登ってみましょう!

 

なお、この難易度はご紹介の登山口と登山道です。

それ以外のルートは難易度が変わることを理解して下さい。

1A 国師ヶ岳(こくしがだけ)

国師ヶ岳山頂からの富士山(著作権=筆者)

IMG_5835

 

接する県 標高 名山 山塊 登山口 距離/CT
山梨/長野 2,592m 日本三百名山/花の百名山/山梨百名山 奥秩父 大弛峠 2.2km/1:42

 

自家用車で登れる最高峰の峠である「大弛峠」から登山が行え、登山道は木道の整備が行き届いており初心者には最適。また、2,500mを超える高山であるにも係わらず、整備された林道によりアクセスが容易であることは非常に珍しいこと。

 

入門者では絶対に行けない場所へ容易に登れ、圧巻の眺望を見てしまうと、もう登山から離れることは出来なくなるでしょう。

 

2A 大菩薩嶺(だいぼさつれい)

大菩薩嶺の稜線と富士山(著作権=筆者)

IMG_4390

 

接する県 標高 名山 山塊 登山口 距離/CT
山梨 2,057m 日本百名山/花の百名山/新花の百名山/山梨百名山 奥秩父 ロッヂ長兵衛 7.4km/3:30

 

小説「大菩薩峠」でも有名となった「日本百名山」の山。百名山の中では最も登り易い山の一つで、山頂の雷岩から大菩薩峠に続く稜線は圧巻

登山初心者がこの眺望を見てしまったら、のめり込むのは必至の名山です。

 

同じような稜線歩きでも、アルプスの景色ならもっと凄いのでは?とその先を考えずには居られなくなる、山の醍醐味を味わうには最高の場所

 

次のステップへの序章「2C」でおススメの山

大菩薩嶺の稜線歩きでは、大きな岩を超える場所もあり、ほぼ「B」の難易度も味わえます。

そこで、次に紹介するのは技術度「C」の山とします。

技術度「C」の入門編である「瑞牆山」を登れれば、その先も見えてきますよ。

2C 瑞牆山(みずがきやま)

みずがき山荘側登山道から望む「瑞牆山」(著作権=筆者)

IMG_5140

 

接する県 標高 名山 山塊 登山口 距離/CT
山梨 2,230m 日本百名山 奥秩父 みずがき山荘 5.8km/5:00

 

この山は前日の二山と比較して技術度が格段に上がります。技術度「C」の基準として、「クサリ」の補助が設置されている所を通過できる体力が必要という要件があり、そのクサリ場を始めて経験するには最適な「日本百名山」です。

 

また、技術度「B」で言う「手を使って登る場所」は豊富にあり、正に双方の技術を経験するには最適。人によっては、この山で限界を感じてしまう場合もありますが、それはそれで一つの目安になる貴重な体験となるでしょう。

 

眺望は山頂の切り立ったガケまでお預けですが、多くの奇石とタフな登山道が飽きさせません。

但し、ここで過信は禁物。瑞牆山のクサリ場はあくまでも入門程度のクサリ場なのです。

 

まとめ

Let's_start_climbing054

 

如何でしたか?

ここでご紹介した山を私は実際に登っています(写真もその時に撮影)。その上で自信を持っておススメしていますのでご安心下さい。

 

いきなり最後は「2C」の瑞牆山を紹介しましたが、この山を登る前に1A~2Bの山をいくつか登っておくことを前提に載せています。それだけ人によっては瑞牆山が大変だと感じてしまうからです。

 

実際に、運動が苦手な人は瑞牆山を限界に考える人も居ます。しかし、実際に行けば分りますが、意外と高齢の女性も自分のペースで登られているのです。無理せず、落ち着いて、ペースを乱さずに行けば、誰にでも登れる場所です。

 

最後に、ここでは紹介しきれなかった初心者に最適な「日本百名山」を載せておきますので、興味のある方は調べてみて下さい。

 

山名 場所 標高 山塊 難易度 登山口
乗鞍岳 岐阜/長野 3,026m 北アルプス 2B 畳平
美ヶ原 長野 2,034m 美ヶ原 2B 三城牧場
蓼科山 長野 2,530m 蓼科山 2B 七合目登山口

 

ステップ01:登山のススメ!|登山は身体も心も健康に保つ最高の運動方法って知ってる?

ステップ02:山の難易度を知る|登りたい山の体力度や技術度を理解する

ステップ03:安全な登山|登山には多少のリスクがあることを理解する

ステップ04:登山の目標|登山を継続する目標の立て方

ステップ05:道具を揃える|自分の登山スタイルを固めて準備を整えよう

ステップ06:登山計画|登山に便利な地図アプリを使いこなす

ステップ07:自分の体力を知る|簡単な山でも登山とウォーキングでは大きな違い

ステップ08:最初のステップアップ|先ず最初に目標とするおすすめの山

ステップ09:次のステップアップ(技術度)|少し大変な山にも安全第一で挑戦しよう

ステップ10:次のステップアップ(体力度)|少し大変な山にも安全第一で挑戦しよう

ステップ11:次のステップアップ(複合)|少し大変な山にも安全第一で挑戦しよう

ステップ12:この先はあなた次第|自分の力量や山への愛着度によって変わる方向性