ここでは、日本第三位の高峰「間ノ岳」の登山データをまとめています。
間ノ岳への登山ルートはいくつかありますが、北岳方面から山頂を目指すルートが最も一般的で危険が少ないでしょう。
白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)縦走を行う場合、逆ルートの選択肢もありますが、農鳥岳へ向かう奈良田からのルートは2100m以上の登りとなるため上級者向きとなります。
実際の登山道や眺望などの情報は、こちらの記事に詳しくまとめていますので是非ご覧下さい。
間ノ岳登山の基本データ
登山を行う上で大事な難易度を含めた基本データです。
昨今は登山地図をスマートフォンのアプリで確認することが多くなっているので、特に携帯電話の電波状況も重要。
安全を考え、紙の地図も必ず用意しましょう。
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エリア | 南アルプス(赤石山脈) | |
所在地 | 山梨県・静岡県 | |
標高 | 3189.5m(現在も年4mm隆起している) | |
携帯電話 | 広河原 | docomo(〇) au(×) softbank(×) |
白根御池小屋 | docomo(〇) au(×) softbank(×) | |
肩の小屋 | docomo(〇) au(×) softbank(×) | |
間ノ岳山頂 | docomo(〇) au(△) softbank(×) | |
北岳山荘 | docomo(〇) au(×) softbank(×) | |
計画 | 「1泊」~「2泊」 | |
推奨レベル | 中級者 | |
難易度 | ※6C(白根御池小屋~草すべり)山梨グレーディング | |
ルート | 19.1km | |
時間 | 16.0時間(休憩含まず) | |
標高差 | 高さ | 1673m(単純差) |
最高地点 | 3193m(山頂)~北岳山頂通過 | |
最低地点 | 1520m(広河原) | |
累積標高 | 登り | 約2060m(実績データから) |
下り | 約2060m(実績データから) | |
消費カロリー | 約4500kcal(実績データから) | |
名山(1冠) | 百名山 | 日本百名山 |
花百 | ||
ローカル | 山梨百名山 | |
その他 | 日本百高山(3位) | |
登山口 | 広河原 | |
レンタカーの確認 | 全国のレンタカー検索 | |
宿泊場所の確認 | こちらから
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※山の難易度についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
広河原から間ノ岳山頂へのルートは主に3つ(北岳経由)
広河原から間ノ岳山頂へ至るルートは主に3つありますが、その特徴について触れておきましょう。
なお、基本的には八本歯のコルを経由し北岳山荘へのトラバース道を利用する意外は、全て北岳山頂を通過するルートになります。
八本歯のコルを経由するルートは、北岳山頂直下までの難易度が他のルートより高いので注意!
①白根御池小屋から草すべりを経由し間ノ岳へ至るルート
シーズン中、全ての時期に利用できる最もポピュラーなルートです。
ゆっくり山を楽しみながら、北岳の奥にある間ノ岳の二座を巡る場合、白根御池小屋で1泊、北岳山荘でもう1泊の二泊コースが人気。
体力のある人は北岳山荘1泊で巡ります。
広河原から白根御池小屋まで危険個所はありませんが、いくつかのピークを通るため急登も少なくありません。
更に白根御池小屋以降に待ち構える「草すべり」ルートは名前のごとく急登続きとなりますので覚悟が必要です。
水場は白根御池小屋、北岳山荘が無料で利用可能ですが、肩の小屋は有料(天水)。
トイレは全ての山小屋で利用可能。ライフラインが最も行き届いたルートです。
②大樺沢二俣の分岐から右俣ルートを経由し間ノ岳へ至るルート
シーズンの始めは、大樺沢に雪渓が残っているためアイゼンを要する場合があります。
大樺沢二俣の分岐までは沢の横を通り、前半樹林帯、後半は日陰の少ない登山道となっているため、日焼けと暑さ対策が必要。
大樺沢二俣分岐から右俣ルートとなり、草すべりルートとの合流地点まで急登が続きます。
トイレはこの分岐点と山頂手前にある肩の小屋、間ノ岳へ向かう途中の北岳山荘で利用可能。
水場は肩の小屋まで無く有料(天水)、間ノ岳へ向かう途中の北岳山荘は無料。
③大樺沢二俣の分岐を直進して八本歯のコルを経由し間ノ岳へ至るルート
その年に降った雪の影響もありますが、シーズン前半はアイゼンとピッケルを使用して雪渓を登攀する場合も少なくありません。
一般の登山者が安全に通れるのは8月過ぎとなるルート。
大樺沢二俣から八本歯のコルへ至るルートは、急斜面と岩稜帯を越える場面があり、体力を使います。
更に八本歯のコル以降は岩場の急斜面となるため丸太ハシゴが多数設置されているので、体力とバランス感覚が乏しい登山者はこのルートは避けた方が良いでしょう。
トイレは大樺沢二俣の分岐にのみあり、水場は間ノ岳へ向かう途中の北岳山荘まで一切ありません。
また、山頂手前に北岳山荘へ向かうトラバース道があり、北岳山頂は翌日に持ち越し、北岳山荘を拠点に間ノ岳を先ず登頂するという登山者も少なくありません。
間ノ岳登山口へのアクセス
間ノ岳の玄関口である「広河原」までは、大きく二つのルートがあります。
- 山梨県側からのアクセス
- 長野県側からのアクセス
双方のアクセスについて、車を利用した方法と公共交通機関を利用した両面で解説します。
車で行く場合
自家用車またはレンタカー利用が前提となります。
駐車場までの行きと帰りの時間が自由になり、前泊や帰りの温泉などの時間が取りやすく、重い荷物の心配も不要となるのが魅力ですね。
但し、寝不足と飲酒運転にはご注意下さい!
芦安ルート
日本第二位の高峰「北岳」の玄関口である「市営芦安駐車場」を使用するルート。
芦安から広河原は車両規制があるためバスの移動となり面倒な様ですが、都内からのアクセスはこちらの方が格段に上です。
芦安駐車場情報
バス、タクシーの乗車口に最も近いのが「第二駐車場」。
次に近いのが「第三駐車場」となります。これらが満車の場合は、第三駐車場側に下った「第四・第五駐車場」を利用します。
■駐車場 | 市営芦安駐車場(約600台・無料) |
■マップコード | 167 163 505*88 |
■住所 | 山梨県南アルプス市芦安芦倉1570 |
■最寄りのIC | 中部横断自動車道「白根IC」から23分(12.8km) |
■googleマップのリンク | “https://goo.gl/maps/CtxFfSVtAkpkWgJs7” |
芦安駐車場から広河原まで
■バス | 芦安~広河原¥1,230(タクシー¥1,300)協力金¥200含む |
■時刻表 | 山梨交通バス |
奈良田ルート
早川町の奈良田に車を駐車し、広河原へ向かうルートです。
最も利用度の高い山行は、奈良田を起点に「白峰三山(白根三山)」を縦走するのが人気。
しかし、奈良田までにアクセスがあまり良くないので、十分な計画を練る必要があります。
奈良田駐車場情報
駐車場は2つあるが、第二駐車場がメインで第一駐車場は20~30台程度しか停められない。
■駐車場 | 奈良田第二駐車場(約350台・無料) |
■マップコード | 167 163 505*88 |
■住所 | 山梨県南巨摩郡早川町奈良田 |
■最寄りのIC | 中央道「甲府南IC」から1時間35分(66.9km) |
■googleマップのリンク | “https://goo.gl/maps/oZGvP8rihfGLaNVe9” |
奈良田駐車場から広河原まで
■バス | 奈良田~広河原¥1,230(協力金¥200含む) |
■時刻表 | 山梨交通バス |
長野県側からのアクセスは、伊那市の仙流荘前バス停近くの戸台駐車場へ車を停めバスで移動しますが、間ノ岳へ向かう場合は一般的では無いので参考程度にご覧ください。
北沢峠からは広河原行きのバスへ乗換えます。
北沢峠から仙丈ヶ岳を登り仙塩尾根を利用し間ノ岳へ至るルートもありますが、上級者向けのルートなのでここでは割愛します。
仙流荘(戸台)ルート
仙流荘からのアクセスは、北沢峠までバスの乗換えがなく、また、広河原経由よりも早い時間に北沢峠へアクセス出来ることで大変人気です。
東海地区の登山者も多く集まる場所となっており、シーズン中は大変混雑するので注意。 広河原には北沢峠でバスを乗換えます。
仙流荘(戸台)駐車場情報
■駐車場 | 戸台仙流荘前駐車場(約400台・協力金¥200) |
■マップコード | 171 056 797*68 |
■住所 | 長野県伊那市長谷黒河内1847 |
■最寄りのIC | 中央自動車道「伊那IC」から37分(23.6km) |
■googleマップのリンク | “https://goo.gl/maps/o5dstE8V2JprQFqe6” |
仙流荘(戸台)駐車場から広河原まで
■バス① | 仙流荘前~北沢峠¥1,220+¥210(手荷物) |
■バス② | 北沢峠~広河原¥1,000 |
■時刻表① | 伊那市 |
■時刻表② | 山梨交通バス |
公共交通機関を利用する場合
山梨県側の広河原までは、中央線のJR甲府駅から直通バスが出ていてとても便利です。
長野県側についても、新宿、名古屋からの接続を考慮した期間限定のバスなどもありますが、時間の選択肢を考えると、伊那駅からローカルバスを利用する方法が主流となるでしょう。
JR甲府駅ルート
車両規制中の林道を通行できる期間は限られており、その中でも繁忙期と閑散期でバスの本数が半減されます。
事前に最新のバスを確認するようにしましょう。
JR甲府駅から広河原まで
■バス | JR甲府駅~広河原¥2,150(協力金¥200含む) |
■時刻表 | 山梨交通バス |
JR伊那駅ルート
JR伊那駅から仙流荘前への直通バスは無いため、一度「高遠駅」で乗換ます。
面倒な部分もありますが、本数が最も多いことが強み。 最後に、北沢峠で広河原行のバスへ乗換えます。
JR伊那駅から北沢峠まで
■バス①(JRバス高遠線) | 伊那駅~高遠駅¥520 |
■バス②(長谷循環バス) | 高遠駅~仙流荘¥310 |
■バス③ | 仙流荘前~北沢峠¥1,220+¥210(手荷物) |
■バス④ | 北沢峠~広河原¥1,000 |
■時刻表① | 伊那市 |
■時刻表② | 山梨交通バス |
JR茅野駅ルート
JR茅野駅から期間限定のバスで仙流荘前まで移動し、北沢峠行のバス乗換えます。
バスの運行期間に注意が必要。
最後に、北沢峠で広河原行のバスへ乗換えます。
JR茅野駅から北沢峠まで
■バス① | JRバス「南アルプスジオライナー」:¥1,750(仙流荘) |
■バス② | 仙流荘前~北沢峠¥1,220+¥210(手荷物) |
■バス③ | 北沢峠~広河原¥1,000 |
■時刻表① | 伊那市 |
■時刻表② | 山梨交通バス |
JR木曽福島駅ルート
茅野駅と同様、JR木曽福島駅から期間限定のバスで仙流荘前まで移動し、北沢峠行のバス乗換えます。
JR木曽福島駅から北沢峠まで
■バス① | JRバス「パノラマライナー」:¥2,000(仙流荘) |
■バス② | 仙流荘前~北沢峠¥1,220+¥210(手荷物) |
■バス③ | 北沢峠~広河原¥1,000 |
■時刻表① | 伊那市 |
■時刻表② | 山梨交通バス |
レンタカーを利用する場合
最近の登山でおススメなのが、最寄の駅まで公共交通機関で移動し駅前でレンタカーを借りて移動する方法です。
もちろん、都心部からレンタルする方法も良いでしょう。
メリットとデメリットを上げておきますので、検討みては如何でしょうか?
レンタカー使用のメリット
- バスなどの時間に左右されない
- 重い荷物の心配が無い
- 温泉などに立ち寄り出来る
- 公共交通機関ではアクセス出来ない登山口にも行ける
- 朝一番で登山が開始できる(バス利用の無い山)
デメリット
- 一杯飲んで帰れない
- 寝られない(仮眠の時間が無駄)
- 事故を起こす危険が付きまとう
広河原から登山を行う場合のレンタカー利用
南アルプス林道は一般車の通行が禁止されているので、この記事で紹介している「駐車場」までの利用に留まります。
しかし、最寄のバス停までの移動を考えれば使用する価値は大きいでしょう。
例えば芦安駐車場の場合、繁忙期の始発バスは「5:15」ですが、甲府駅発のバスが芦安を通過するのはその次となる「5:30」。
甲府駅の始発時間は「4:15」なので、前日移動で宿泊するか甲府駅に野宿することになります。
バス代の差額は片道¥920で、4名などのパーティーであれば、往復換算で宿泊費と合わせ同等か多少のメリットが出る計算。
一度、レンタカーの価格比較を行ってみても損は無いでしょう。
間ノ岳登山ルートのトイレと水場の設置状況
登山に際してトイレと水場は重要な場所です。
広河原から間ノ岳を登る一般的ルート内にある、トイレと水場の情報を必ず確認して下さい。
北岳への登山は、どのルートでも最低1ヶ所にトイレが設置されています。
しかし、水場については、八本歯のコルを通過するルートにはありませんので注意!
北岳から間ノ岳の間には北岳山荘があり、水は無料、トイレも設置されています。
場所 | トイレ | 水場 |
芦安駐車場 | 第二、第三駐車場 | 水道(バス停) |
広河原 | あり | センター、広河原山荘 |
広河原山荘 | あり | あり |
白根御池小屋 | あり | あり |
北岳肩の小屋 | あり | あり(天水) |
大樺沢二俣分岐 | ※あり | なし |
北岳山荘 | あり | あり |
※大樺沢二俣分岐の仮設トイレはシーズン限定ですが、シーズン初めは未設置の場合がある
さあ、間ノ岳へ登ろう!
間ノ岳を単独で登ることは少なく、大半は北岳と共に登頂を目指します。
間ノ岳へ実際に登山したレポートはこちらの記事で。