新品で買った革の登山靴(オールレザー)や、古くなった登山靴にワックスを施しても、山へ行けば嫌でも汚れるし傷も付きます。
もちろんそれを想定してのワックス加工でしたが、せっかく磨いたピカピカの登山靴が汚れるのはやっぱり悲しい。
でも大丈夫です。
家に帰って適切な処理を行えば再びピカピカな姿に元通り♪
多少の傷はハードな山行の思い出と大目に見て下さいね。
これからが味わい深い登山靴へ変貌するスタート地点なんだから。
山行後の「革の登山靴」
メンテナンス心得
山行に備え、十分にメンテナンスを行ってきた革の登山靴。
正確なメンテナンスのお陰で、何もしない靴よりも汚れやキズが少ない筈です。
そして十分な撥水処置のお陰で、家の水道で表面の汚れを浮かせながらスポンジでゴシゴシすれば大分綺麗になるでしょう。
そしていよいよ山行後のメンテナンスを行います。
メンテナンス前に
時間をかけて行うこと
ズバリ、水洗いです。
登山靴が汚れたままメンテナンスを行ってはダメなことは当たり前ですが、登山道で付着した「土」や「砂」などを放っておくこと自体、革への悪影響を与えます。
撥水加工済の登山靴なので、思い切って「ザブザブ」洗いましょう!
水洗いは丁寧に。土や砂、ホコリを完全に洗い流すことが重要
メンテナンスは毎回
フルコースで行わなくて大丈夫!
ここで重要なのが「防水が弱っている部分が無いか?」注意を払うこと。
山行後の洗浄工程では、登山靴を綺麗にすることでワックスを浸透させ易くしたり、土に混ざったバクテリアなどの細菌を落とすという目的があります。
そして、同じように大切なのは「防水性」のチェック!
水洗い時には「防水性」が弱っていないか?効いてない場所が無いか?チェック!
消耗品は賢く使いましょう革製(オールレザー)ワックス手順
防水性が悪くなった場所は水弾きが弱くなっています。
それが一部の部分であれば、場合によっては全体にワックスや防水クリームを施す必要はなくなり、防水が弱った場所だけの施工で十分です。
きちんと見極めて、消耗品の過剰消費を抑えましょう。
フルコースメンテナンスの
サイクルを決めておくことが大事革製(オールレザー)ワックス手順
但し、初めての山行であれば、念のため一通りの処理を行います。
一通りの処理については、状況を見て定期的に行うことがおすすめ♪
例えば、頻繁に山へ出かける人であれば5回に1回で行うとか、月一登山であれば毎回行うなど、ワックスの劣化を考え、頻度と時間の相関で決めましょう。
革の登山靴
メンテナンス前(山行後)の状況
写真は、岩場がほとんど無い2000m以下の山へ登ったあとの状況。
それでも側面は木の根や小石などで結構傷ついていました。
また、梅雨時期で、湿った土壌は容赦なく新しい登山靴を汚して行きます。
果たして、本当に再度美しい姿へ戻ることが出来るのでしょうか?
結構ダメージが大きいのが、シューレース(靴紐)があたる「ベロ」の部分ですね。
これは内側ですが、結構擦りキズがあります。
写真はありませんが、外側は更に酷い状態でした。
ソールの溝には土と石が密着。
ここを丁寧に落とすことも大事です。
では、お家に帰って山行後のメンテナンスを行いましょう!
革の登山靴
山行後のメンテナンス手順
山行後、革製登山靴のメンテナンスは大きく分けて2つ。
- 水洗いおよび水拭きで靴全体の汚れを落とす
- 防水処置を施す(メンテナンスサイクル、防水レベルによってやり方を変える)
先ず最初に行うこと
- 中性洗剤(必要に応じて)
- 綺麗な布
シューレース(靴紐)を外しましょう。もし、酷く汚れているようなら中性洗剤で洗います。
次にインナー(中敷き)を外します。
インナーは良く絞った濡れた布で綺麗に拭きましょう。
そして、登山靴の中に異物が無いかを確認し小石などの異物は取り除きます。
登山靴を水で洗う
- バケツと水
- 靴用ブラシ
- マイナスドライバーなど小石を取り除けるもの
ブラシで軽く汚れを落とす。と言いたい所ですが、ブラシキズで汚れが表面に入り込む可能性があるので、状態を見て判断しましょう。
外に水道があれば流水で、無ければバケツなどに水を貯え、水をかけながら表面の汚れを浮かせて行きます。
先ずはアウトソールに入り込んだ土や石をブラシでゴシゴシ落とします。
合わせてランドラバーも綺麗にしましょう。
ソールパターンの間に入って取れない石は、ソール面を傷つけないよう注意しながらマイナスドライバーなどで取り除きます。
ソール汚れ落としの目標は「家の中に入れても汚くない」程度までを目指しましょう!
撥水状況で次の工程を判断
- 綺麗な水に入れ替えたバケツの水
- 乾いた布
- 綺麗なスポンジ
ソールの洗浄が終了したら、いよいよ革の部分を洗浄します。
撥水は十分効いているはずなので、ジャブジャブ水をかけて先ずは汚れを浮かせます。
そしてスポンジでゴシゴシ洗ってしまいましょう。
縫製部や段差のある部分は汚れが溜まり易いので重点的に。
また、金具部分の脇もきちんと洗って下さい。
もし、汚れが酷い場合は専用の洗剤を使用して洗いますが、余程のことが無い限り必要は無いと思います。
そして重要なのは防水性のチェック。洗いながら注意深く確認!
- 水弾きの悪い個所はありませんか?
- 水を染み込んだ跡がありませんか?
全体が問題なく水を弾いているなら、ワックスなどの処理は不要です。
水気を十分拭き取って、次の工程を最後に風通しの良い場所で十分乾燥させて完了しましょう。
一方で、次の状態であれば各々の処理を施工します。
- 水弾きの悪い個所が一部ある
- 全体の弾きが悪くなった、メンテナンスサイクルの時期、初めての山行後
登山靴の中を拭く革製(オールレザー)ワックス手順
- 綺麗な水に入れ替えたバケツの水
- 綺麗な布
- 綺麗なスポンジ
良く絞った濡れた布を使用し、登山靴の中を綺麗に拭き上げます。
もし、中の汚れが酷いようなら思い切って水を流し込み、綺麗なスポンジで軽く擦って洗ってしまいましょう。
内部は傷みやすいので、決して硬い物でゴシゴシ洗わないようにして下さい。
最悪ゴアテックスを傷つけてしまいます。
洗った後は中の水分を十分拭き取り、十分な乾燥時間を設定し保管して下さい。
水弾き(撥水性)に問題が無い場合はここで終了してOKです。
①「水弾きの悪い個所が一部ある」場合の施工革製(オールレザー)ワックス手順
(写真は新品加工時のものです)
- Collonil(コロニル)ヌバック+テキスタイルボトル
- Collonil(コロニル)アクティブ レザーワックス
- Collonil(コロニル) 防水クリーム ナノ クリーム
- 馬毛ブラシ、硬いブラシ
- 拭き布、磨き布
施工方法は新品の登山靴へ施した「3回目」と同じです。
靴全体の洗浄が終了したら、全体に「Collonil(コロニル)ヌバック+テキスタイルボトル」を塗って防水性と革の表面を強化します。
水弾きが悪かった場所には特に念入りに塗りましょう。
(写真は新品加工時のものです)
次に「Collonil(コロニル)アクティブ レザーワックス」を3cm程度、登山靴全体に馬毛ブラシでムラなく広げます。
全体に行き渡ったら、手のひらで擦る(手の温度でワックスを溶かすイメージ)~ブラッシングを交互に行いましょう。
水弾きが悪い場所は特に重点的に。
(写真は新品加工時のものです)
最後に「Collonil(コロニル) 防水クリーム ナノ クリーム」を施工して終了ですが、ここでも水弾きが悪かった場所への施工を漏らさないように注意します。
一通り施工が終了したら、十分にブラッシングを行い、余分なクリームを布で拭き取り乾かします。
1~2日後に再度丁寧にブラッシングし、磨き布で仕上げれば元の輝きに戻るでしょう。
②「全体の弾きが悪くなった、メンテナンスサイクルの時期、初めての山行後」の場合革製(オールレザー)ワックス手順
- Collonil(コロニル)レザージェル
- Collonil(コロニル)ヌバック+テキスタイルボトル
- Collonil(コロニル)アクティブ レザーワックス
- Collonil(コロニル) 防水クリーム ナノ クリーム
- 馬毛ブラシ、硬いブラシ
- 拭き布、磨き布
これは今までに無い、フルコース対応となります。
簡単に言えば、新品時の1回目+ナノクリームの施工という流れ。
靴全体の洗浄が終了したら、表面が濡れた状態にし「Collonil(コロニル)レザージェル」を2プッシュ程全体に広げ、馬毛ブラシで水気が飛ぶまで丁寧にブラッシングを行います。
続いて「Collonil(コロニル)ヌバック+テキスタイルボトル」を塗って防水性と革の表面を強化します。
そして「Collonil(コロニル)アクティブ レザーワックス」を3cm程度、登山靴全体に馬毛ブラシでムラなく広げ、手のひらで擦る~ブラッシングを交互に行います。
最後に「Collonil(コロニル) 防水クリーム ナノ クリーム」を施工してクリームの施工は終了です。
その後、十分にブラッシングを行い、余分なクリームを布で拭き取り乾かします。
1~2日後に再度丁寧にブラッシングし、磨き布で仕上げれば元の輝きに戻るでしょう。
どうですか?
側面の傷も消え、最初の加工時よりも更に深みが増しました。
革の状態を見ながら、定期的にフルコースメンテナンスも行いましょう!
革の登山靴メンテナンスのまとめ
山行後の汚れた状態と、メンテナンスフルコース後の状態を比較してみました。
ほとんど元通りで、革の登山靴が如何にが高いか分かります。
今後も安心ですね。
革の登山靴を購入するか迷っている人は、この記事を見れば意外とメンテナンスが楽なことを理解出来たと思います。
是非革の登山靴を購入候補に入れて下さい。
雑感
(実際にメンテナンスを行って感じたこと)
今回は初めての山行後ということで「フルコースメンテナンス」を行いました。
メンテナンスを行って感じたことですが、「クリームの量」は杓子定規に規定量を守る必要が無いということ。
はっきり言って、新品時に行った規定量と同じ量のクリームを塗ると多過ぎてベタ付きます。
これは既にある程度クリームが革に浸透している証拠で、塗り過ぎによる栄養過多を引き起こし兼ねません。
おススメとしては、半分程度の量を使用し必要なメンテナンスを行うことです。
消耗品の節約にもなりますし、何より登山靴の命である「剛性」を損ないません。
皆さんをの参考となれば幸いです。
良い山行を。
革の登山靴メンテナンス方法記事一覧
革の登山靴へワックス処理を施す前に必要な知識と準備アイテムを解説しています。
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