大卒と高卒の年収を比較した記事では、大卒の収入パフォーマンスに度肝を抜かれました。
今回は「ダメ大卒」と「優秀高卒」という極端な例を比較してみました。
果たしてどちらが有利だったのか?
進学設計を考える際、子どものために色々な状況を想定することが必要です。ハッピーなことばかりではありません。
コンテンジェンシープランも含め道筋を設計することが肝要。
データの前提は次の通り。
- 一部上場の一般的な製造業を仮定
- グラフデータには「残業代」は含めない
- 60歳定年とし、60歳時点で退職金を生涯所得に加算
では、どのような結果になったのでしょうか?
できる高卒の年収推移と生涯所得
※左の数字は年収、右の数字は生涯所得 単位:万円
年収の考察
年収は30歳までは400百万円前後(普通の高卒より高い)。
40歳過ぎで早ければ管理職へ昇格、年収900万円へ。
50歳手前では更に昇格し、1,000万円の大台。
大卒同様、管理職は55歳から年収が減額されるが900万円を維持し退職。
残業を含めた年収で再計算すると。
毎月20時間程度の残業を行い、その手当が出ると仮定。
- 20歳台でプラス36万円~45万円/年
- 30歳台でプラス45万円~65万円/年
- 40歳台でプラス65万円/年
残業の生涯所得は「約1,000万円」
最終的な年収は管理職の給与で、ピークで1,170万円前後まで行く可能性があり。
生涯所得の考察
グラフでは分かり難いですが、実際の数値は次の通りです。
- 年収の累積=28,000万円(2億8千万円)
- 退職金加算=3,000万円(3千万円)
合計で「約31,000万円(3億1千万円)」で終結という算定結果。
ここに、「年収の考察」で記載した「残業手当」が入ります(グラフには含んでいません)。
管理職昇格までの残業手当を含めると。
20時間/月の残業を管理職昇格まで続けたとしたら、概算で1,000万円前後、生涯所得の加算となる。(その他「手当」は割愛)
普通の高卒就職成功組と比較して、プラス7,000万円(7千万円)。
ダメダメな大卒の年収推移と生涯所得
※左の数字は年収、右の数字は生涯所得 単位:万円
年収の考察
年収は30歳までは400~500百万円前後(まだ他の大卒との差が少ない)。
40歳中盤で遅れて管理職へ昇格、年収900万円へ。
50歳手前でいったん1,000万円の大台へ手が届くが、ここがピーク。
その後、出世は止まる。
管理職は55歳から年収が減額され、800万円程度の年収で退職。
残業を含めた年収で再計算すると。
毎月20時間程度の残業を行い、その手当が出ると仮定
- 20歳台でプラス36万円~45万円/年
- 30歳台でプラス45万円~65万円/年
- 40歳台でプラス65万円/年
残業の生涯所得は「約1,200万円」
最終的な年収は管理職の給与で、ピークで1,000万円前後まで行く可能性があり。
生涯所得の考察
グラフでは分かり難いですが、実際の数値は次の通りです。
- 年収の累積=26,500万円(2億6千5百万円)
- 退職金加算=2,800万円(2千8百万円)
合計で「約29,300万円(2億9千3百万円)」で終結という算定結果。
ここに、「年収の考察」で記載した「残業手当」が入ります(グラフには含んでいません)。
管理職昇格までの残業手当を含めると。
20時間/月の残業を管理職昇格まで続けたとしたら、概算で1,200万円前後、生涯所得の加算となる。(その他「手当」は割愛)
最終的な生涯所得予想は 約30,500万円(3億5百万円)。
普通の大卒と比較して、マイナス7,200万円(▲7千2百万円)優秀な高卒と比較して、マイナス1,500万円(▲1千5百万円)。
それでも大卒
上記の結果だけを見ると、「行くべき価値のある大学」へ行っても「仕事力」がなければ、優秀な高卒にも劣るということになる。
しかし、本当にそうなのか?
ダメダメな大卒ってどれくらいいるの?
もし、読者が上場企業にお勤めなら、ダメな大卒を思い浮かべて下さい。
好き嫌い、自分の得意分野と比較してではダメ。
会社から完全に干された人です。
多分、そんなにいないと思う。
例年採用される新卒に内、数年に2~3名程度。
教育にもお金がかかっていますし、会社としても本音は「使えるように」したい。
それでも「行く価値のある大学」を選択
本当にダメなら、会社は退職へ追い込むか、子会社へ移籍させる。
そうなればもっと悲惨ですが、上記の例までをダメと仮定。
ダメでも3億円は稼げる。
優秀な高卒となる確率とほぼ同じくらいだと考えれば、行く価値のある大学を卒業することには、大きなアドバンテージがあると言える。
今回の比較は極端な例になります。
進学設計はきちんと自己責任で行って下さい。