もし、あなたの業務時間の半分が会議だったら?
考えたらぞっとしますよね。
通常の業務で普通は定時間内で終わるか終わらないかがほとんどのはずです。
わたしの前職では、トラブルがあればその対応分は残業に持ち越しか、緊急性がない定常業務であれば、翌朝の頭がクリアーな時間へ持ち越してしました。
もちろん、基本は「その日の仕事はその日の内に」終わらせます。
翌日もトラブルが出れば自転車操業になり兼ねないので。
会議が長引く理由は色々ありますが、最も多いのは会議が議論の場になってしまった場合です。
本来なら会議は周知する場所と考えるべきですが、緊急性の高い問題が発生するとこのパターンに落ちる可能性が高くなります。
次に長期化する原因は、その会議に参加している「最も偉い人」の賛同を得られない、もしくは偉い人が最終判断を出せないため、同じ話題の確認を何回も行う、酷い時は訳の分からない「思いつき」を言っては参加者全員を混乱させる場合です。
トップが参加する会議の場合、少なくとも方向性が曖昧であれば、再検討または修正された方向性、即ちトップ方針を打ち出せば会議は終焉します。
ところが、起案者の能力が低い場合、何度も同じ会議をセッティングされる恐れがあるため、トップはその場で結論に結び付けようと努力してくれることもあります。
一概に最終判断が出せないトップは無能であるわけではなく、問題は「出そうと思っても出せない」というトップが居る場合、会議時間は延々と続き、最悪の場合は何の結論もなく解散してしまう場合があるのです。
会議の時間はどれだけ業務に影響するのか
「会議は議論の場所ではない」。ほとんどの企業は既にこの体制を築いている。
確認や意思統一であれば会議に要する時間はたいしたことは無いだろう。
しかし、トラブルの多い会議はどうなのか?
定期的に開催する会議でさえ、話題はいつの間にか直近のトラブルに終始し、犯人捜しが始まることもあるのだ。
具体的に「会議が多い」「会議が長い」って?
会社にとって、各位の認識を統一すべき会議を行うことは当たり前のことです。
例えば、管理職および経営者が必ず週に三回集まる定期会議があったとしよう。
打合せの意図はスケジュールの情報共有である。
しかし、毎日のように問題が発生する会社であった場合、会議時間の大半が意図から外れた議題に沿って行われる可能性が高い。
議論が白熱すれば、通常1時間程度の会議時間が、4時間かかることもあり得る。
これが週に三回あれば、最大で週換算12時間のロスが発生するという計算となる。
また、会議がこれだけのはずはなく、他にも例えば毎週1回必ず行われる会議があるとしよう。
この打合せも同様に問題点に起因し長引くことが多いことは予想がつくので、同様に最大週換算で4時間はロスが出ることになる。
更に多くの会社では、毎月1回の定期会議があるだろう。
月1回の会議は大きな会議となることが多く、会議の前に事前の会議が行われることが多い。
月に1回の会議だから会議時間は長い。
午後から行えば、午後の時間全てを奪わると考えられ、月換算で最大5時間のロスが新たに加わることになる。
1ケ月の労働時間に対し最大60%が会議の時間という会社もあり得る
製造業であれば、他にも、月2回工場の巡回や改善・技術会議なんかがあるでしょう。
これもまた問題点へ話が移ることが多いのであれば、毎回2~3時間は覚悟しなくてはならない。
月換算で最大6時間のロス。
そして最大の課題は、問題が頻発するのだから、その問題に対する会議を行わなくてはならないということへ繋がる。
それがもし、ほぼ毎週何らかの問題が発生し、そのための会議が開催されるなら、その時間は週4時間程度になるだろうか?
これらをトータルすると、「驚きの結果」である。
- 月の換算で最大96時間(週20時間、月11時間)程度になる
- 月20日稼働で8時間/日であれば、月の労働時間は160時間である。その内「60%」が会議に費やされているというもの凄い結果
- これは最大値での計算だが、その半分としても「30%は会議の時間」
日常業務だってきちんと行わないとトラブルに繋がる
会議だけで給料に繋がるわけではなく、各自当然ながら通常業務が存在する。
会議によって既に業務可能時間の50%を奪われたあと、いったいどうやって業務をこなして行くのだろう?
日常業務はどれだけの時間を費やすのか?
最悪の事態を想定してみよう。
パソコンの普及による業務の効率化が図られて10年以上経過しただろうか?
しかし、会社によっては想定外のことも起こりうる。例えば以下のようなことが起こった場合。
- 会社の業務がデジタル化されていない
- そのため、生産の実績やその他情報は各担当者の個人管理となる
- それにより、各種情報収集に費やす時間だけで毎日数時間必要
仮に会議に費やす時間が50%であれば、日々業務に当たれる時間は4時間となる。
その4時間に対し、情報収集活動だけで毎日プラス2時間前後必要となり、ルール作成などの活動へ充てる時間は定時間内であれば2時間程度しかない。
2時間程度で無から有を生み出すことは少し厳しいので、残業で補填するしかないことになる。
時間外労働で足りない時間を補填すれば仕事は可能?
想定は管理職。
ここで新たな問題。
管理職であっても名ばかりで、部下も居なければ、結果、物品の購入手配など全ての雑用を管理職が行わなくてはならない。
中途入社であれば、会社特有の物品が良く分からないためルールが頼りになる。しかしルールも無かったらどうなるでしょう?
ルールが無いがために都度現場に出向き、あちらことらに聞き歩く必要が生じる。のです。
また、デジタル化が進んでいない可能性もあります。
コンピューターリテラシーが低いため、物品の購入依頼書は全て「手書き」となれば更に手がかかるわけです。
その他、ほぼ雑用に近い、現場に係る労務管理も並行して行わなくてはならないでしょう。
結果、貴重な2時間の余裕と残業時間3時間以上を日々使い切ってしまうのです。
トラブルシューティングがルーチン化したら?
先の業務時間には、毎日発生するトラブルが入っていない。
もし、大きなトラブルが発生すれば、数日分の労働時間が無くなり、雑用業務は休日出勤で対応しなくてはならない。
管理職には残業手当は付かないが、総労働時間で把握すると、仮に毎日時間外が3時間、休日出勤を月に3回行った場合では、時間外労働時間は月84時間になってしまう。
仮に労災に当てはめると、一発労災となる160時間には達していないが、月80時間を超える時間外労働は、労災認定評価表の「心理的負荷強度Ⅱの中」に当たるため、複合要因によっては労災となる可能性が高いのだ。
このように業務の行える時間を定量的に算出した結果、「会議は業務時間に大きく影響することが分ります。
転職した際は、転職先が行っている会議の質にも目を配りましょう。