充電器の小型化に驚きを隠せない「えだまめくん(@edamamekun_ns)」です。
機器によって専用の充電器を用意したり持ち歩く時代は終わったと感じさせてくれたのが、今回購入レビューを行う「Anker Nano Ⅱ 45W」。
発売当初よりガジェットマニアの間で話題となった充電器は、GaN(窒化ガリウム)という新技術を更に昇華させた独自技術の「Anker GaN II」で性能向上と大幅な小型化に成功。
ラインナップは30W、45W、65Wの3種類の中、サイズ対効果では45Wの使い勝手が最も良さそうなんです。
実際に使用した感触と充電速度について面白い結果が出たので、充電器を検討中の人は要注目です!
もちろん、大は小を兼ねるので「65W」もベターな選択かもしれないですが、これから注目される「あの機能(詳細後述)」が無いので現在の機器では45Wがおすすめの最適解なのですよ。
【この記事で解決すること】
- Anker nano Ⅱ 45W充電器の詳細
- 実際の出力と充電時間
- Anker nano Ⅱ 45Wのメリットとデメリット
長年製造業に従事し豊富な知見を活かした分析が得意なブロガー
えだまめくん
edamamekun
Anker nano Ⅱ 45W充電器の外観と付属品
「Anker Nano Ⅱ 45W」はUSB-C 1ポートで、充電は1台にしか対応していません。しかし、充電が早いので、1つあれば外出先で困ることはありません。
もちろん、コンセントの無い山奥への登山では使用不可なので、事前に「Anker Nano Ⅱ 45W」でバッテリーを充電して持って行きましょう。
製品名 | Anker Nano Ⅱ 45W |
---|---|
サイズ | 厚さ38x幅35x長さ41㎜ |
重さ | 68g |
出力ポート数 | USB Type-C x 1 |
USB-Cの出力 | 5V-3A/ 9V-3.0A/15V-3A/20V-2.25A |
最大出力 | 45W |
異常とも言える出力に対する筐体の小ささですが、実際に他の充電器と比較するとその凄さが分かります。
実際に使用していても壁のコンセントへ直付けしても、電源タップのコンセント密集地帯で使っても、他の充電器などと干渉することもなく何処にでも自然に溶け込む充電器です。
「Anker Nano Ⅱ 45W」には更に大きい65Wのバリエーションが存在し、45Wでは通常充電となるノートパソコンにも急速充電が可能です。
しかし、Anker Nano Ⅱ 65WはPPS規格に対応していないことが大きなネックで、今後の対応機種を考えると選択に迷う所です。
参考までに「Anker Nano Ⅱ」のラインナップはこちら。
比較 項目 | Nano Ⅱ 30W | Nano Ⅱ 45W | Nano Ⅱ 65W |
---|---|---|---|
サイズ | 厚32㎜ 幅30㎜ 長32㎜ | 厚38㎜ 幅35㎜ 長41㎜ | 厚42㎜ 幅36㎜ 長44㎜ |
重さ | 47g | 68g | 112g |
PD対応 | ○ | ○ | ○ |
PPS対応 | ○ | ○ | ❌ |
発売時定価 | 2,990円 | 3,390円 | 3,990円 |
単価/W | 99.7円 | 75.3円 | 61.4円 |
Anker Nano Ⅱ 65W
- スマホ、タブレット、ノートPC全てで急速充電を行いたい人
- PPS規格の有無にこだわりが無い人
- プラグを折り畳んで軽快に持ち歩きたい人
Anker Nano Ⅱ 45W
- ノートPCは通常充電でもOKで軽さにこだわりたい人
- PPS規格の製品を所有しているか将来性に期待している人
- プラグを折り畳んで軽快に持ち歩きたい人
Anker Nano Ⅱ 30W
- タブレット、スマホだけで急速充電を行いたい人
- PPS規格の製品を所有しているか将来性に期待している人
- コンセントプラグの収納機能が不要(不安)な人
PPS規格とは?
急速充電を可能にするUSB-C「PD 3.0規格」のオプション機能で、機器に合わせたより最適な電源供給を可能にする技術として今後の拡大が予想される。iPhone13発売時点ではiPhone13への適応は無く、Samsung(Galaxy)の一部機種がPPSに対応している。
PD規格とは?
Power Deliveryの略で、USB Type-Cケーブルで最大100W(20V/5A)の電力供給が可能な高速充電規格。従来は最大7.5W(5V/1.5A)の供給能力しかなかった。USB Type-Cへ規格統一することで20VのACアダプターが不要となり、データのやりとりも可能となりました。但し、供給電力/データ対応に合わせたケーブルを使用しなければ本来のポテンシャルは発揮できません。
「Anker Nano Ⅱ 45W」には付属品は無く、本体のみで販売されています。
使途に合わせ、別途機器に合わせたケーブルの購入が必要です。
USB-Cケーブル
USB-C to Lightningケーブル
Anker nano Ⅱ 45W充電器の充電能力
「Anker Nano Ⅱ 45W」は、USB-C PD 3.0でiPhone 8以降のモデルを最大20Wで充電し、USB-C PD 3.0 PPSでは対応機種を最大25Wで充電します。
更に、MacBook Pro13インチの様な60Wの急速充電が必要なPCでも「通常充電」ができて、30Wの急速充電仕様のMacBook Air13と同等のPCなら急速充電が可能。
なお、2021年にリリースされたMacBook Pro14インチの付属充電器は67Wへ変更されているので動作は不明ですが、2020のM1チップ搭載機種では問題なく通常充電が可能です。
残念ながらPPS対応の機種が手元に無いため検証不能ですが、iPhone13 proとMacBook Pro13の給電能力を検証しました。
- iPhone13 pro
- バッテリー残量20%〜25%時点のデータ
- Apple純正、Amazon、belkinの各ケーブルで検証
- MacBook Pro
- 2020のintel Core i5チップ搭載機種を使用
- バッテリー残量は10%〜30%時点のデータ
- ケーブルはApple純正品を使用
iPhone13 pro 接続ケーブルの違いによる電力量検証
先ず、Apple純正(iPhone13 proに付属)のケーブルを使用した場合。
19Wから20Wの電力量でしっかりと充電が行えています。0%から50%まで約30分で充電可能。
次にAmazonベーシックケーブルと、シガーソケット充電器に付属していたbelkinのケーブルで充電した結果がこちら。
双方ともに「MFi認証ケーブル」なので純正と同じ結果でした。
数値はコロコロ変わり、最大で20Wを超える数値も出たので、これらの組み合わせは急速充電におすすめです。
W(ワット)とは?
電圧(V) x 電流(A)で算定できる数字で、実際に使用(投入)された電力エネルギー。大きな数字に対応できる機種ほど急速に充電が可能となる。
V(ボルト)とは?
電気を押し出す力で、電圧が高いほど多くの電気を流せる。用水路で例えるなら水路の角度で、角度が大きいほど多くの水が流れるのと同じ。
A(アンペア)とは?
電流の流れる大きさを表す単位で、1秒間に何個の電子が通り抜けるかを示している。通常、1Aは100Wの電力が使用可能。用水路で例えるなら水の量で、水の量が豊富でも水路の角度が小さければ流れる水量は小さくなる。
MacBook Proへの給電(電力量)検証
MacBook Pro13インチ 2020 intel Core i5への給電能力をApple純正61W充電器と比較しました。
先ず、付属のApple純正61Wの状況ですが、55W-60Wの間で給電を行なっています。
次に「Anker Nano Ⅱ 45W」の給電能力ですが、最大出力(電力)の45Wに近い数字で頑張って充電しています。
電圧(V)的には同等、電流(A)の違いで電力量が違っていることが分かります。
では、実際にどれくらいの時間で充電できるのでしょうか?
実際の充電時間
一般的によく勘違いされるのが、急速充電の場合30分で50%の充電が出来るという言葉が一人歩きしていること。
この数字だけを見れば、100%の満充電は60分で行えるという計算となりますが、実際はそんなに単純なことではありません。
現在一般的に採用されている「リチウムイオンバッテリー」は、出力密度が高くて軽く、耐久性が高いという特徴がある一方、熱に敏感でフル充電・放電に弱いというデメリットも。
急速充電はバッテリーに熱を与えるため、バッテリー容量80%まで急速充電に対応し、その後は微電流でゆっくりと優しい充電(トリクル充電)を行います。
また、無駄な放電でバッテリーを劣化させないため、バッテリー容量100%では給電を止めます。
バッテリーの寿命を伸ばす5つのポイント
- 充電は80%で止めるのがベストで最悪でも90%に収める
- 1度に大量の充電を行うより小まめに継ぎ足し充電する方が良い(充電深度を浅くする)
- 充電しながら高不負荷のコンテンツを利用しない(特に満充電時)
- 極端な高温状態で利用したり保管しない
- 長期間使用しない場合でも50%前後のバッテリー容量を維持する(20〜80%内)
iPhone13 proのテスト結果
先ず、iPhone13 proのバッテリー残量「20%」を起点に、3つの充電器で充電時間を比較した結果です。
■iPhone13 pro の充電時間
充電 | Anker 45W | belkin 25W | Apple 61W |
---|---|---|---|
30% | 5分10秒 | 5分00秒 | 4分50秒 |
40% | 9分50秒 | 9分40秒 | 9分30秒 |
50% | 15分10秒 | 14分40秒 | 14分30秒 |
60% | 21分10秒 | 21分00秒 | 20分50秒 |
70% | 28分50秒 | 28分40秒 | 28分00秒 |
80% | 39分20秒 | 39分00秒 | 39分10秒 |
90% | 54分40秒 | 55分00秒 | 55分10秒 |
100% | 110分00秒 | 95分00秒 | 104分00秒 |
💡分かったこと
- 充電量70%までなら50%の充電は30分以内に完了する
- 充電量70%を超えるとバッテリー保護のため充電時間が遅くなる
- 100%に近いほど電力量は低下し充電時間が長くなる
- 20W以上の出力があるPD規格充電器なら充電時間に大差ない
「Anker Nano Ⅱ 45W」はMax 45Wの給電能力であるため、20W前後で推移するスマホの充電ではほんのり熱を帯びる程度で、不安になるような熱さは感じられませんでした。
着目すべきは90%から100%の充電にかかる時間で、1W前後の給電体制が続くため100%到達までに時間を要します。
即ち、過充電の保護性能が強く、バッテリー負荷を軽減する対策がキチンと取れている証と言えるでしょう。
iPhoneとPPS規格対応のandroidスマホ双方で完璧な急速充電を行える、スマホ用としてベストな充電器とでした。
参考までに、充電量(%)に対する給電量(電力W)は次のように推移しています。
■バッテリー容量と給電量の関係
充電量 | 給電電力量 |
---|---|
0〜50% | 18〜20W |
50〜60% | 15W前後 |
60〜75% | 10W前後 |
75〜80% | 10Wから徐々に5W付近へ |
80〜90% | 5〜7W |
90〜95% | 3〜5W |
95〜100% | 1〜3W |
iPhoneの場合、Appleの公式では「バッテリー容量の80%までは高速充電し、その後、低速のトリクル充電に切り替わる」と明言していますが、実際は50%を過ぎた辺りから出力が調整されているようです。
PDの謳い文句である「0%から50%まで30分」と言うのは、急速充電時10%を5分強で充電するという結果から見て間違いなく、バッテリー容量20%から70%までの充電量50%まで当てはまりました。
バッテリー寿命を伸ばす考えに沿う充電なら、20%から80%まで毎回40分で充電可能ですね。
MacBook Pro13インチ(2020 intel Corei5)のテスト結果
次に、MacBook Pro13インチ(2020 intel Corei5)のバッテリー残量「10%」を起点に、3つの充電器で充電時間を比較した結果です。
なお、テスト時点のMacBook Proでは、Chromeブラウザのタブを50ページ程度開き、パワーポイントとエクセルが開いた状態でそこそこメモリーを消費した状態。
■MacBook Pro の充電時間
充電 | Anker 45W | Apple 61W |
---|---|---|
20% | 10分30秒 | 8分00秒 |
30% | 21分00秒 | 16分20秒 |
40% | 33分00秒 | 23分50秒 |
50% | 43分40秒 | 31分30秒 |
60% | 54分10秒 | 40分40秒 |
70% | 64分40秒 | 51分10秒 |
80% | 75分40秒 | 63分20秒 |
90% | 86分50秒 | 79分40秒 |
100% | 98分20秒 | 100分00秒 |
💡分かったこと
- 急速充電で最大のメリット(充電時間差)が出るのは充電量70%時点(13分30秒差)
- 100%満充電までの時間はAnker Nano Ⅱ 45Wの方が早いためバッテリー負荷に注意が必要
- バッテリーの保護性能はApple純正充電器の方が高い
「Anker Nano Ⅱ 45W」は常にMax 45W近辺の給電能力を発揮し、筐体も小さく放熱性能が低いため熱を持った状態が続きます。
一方のApple純正充電器も、急速充電時はほんのり熱を持ちますが「Anker Nano Ⅱ 45W」ほどの熱さにはなりませんでした。
着目すべきは充電量90%時点へ到達する時間で、差は7分程度と思ったよりも小さいこと。
作業中の充電であればもっと大きな差が出るのでしょうが、ちょっとした隙間時間に充電を行うのなら超小型の「Anker Nano Ⅱ 45W」には携帯性という大きなメリットが生じます。
スマホ、タブレット、PPS規格の機器、更にはノートPCまで1台で賄える最も小さな充電器であることが立証されました。
Anker Nano Ⅱ 45W充電器のメリットとデメリット
「Anker Nano Ⅱ 45W」のメリットとデメリットについて考察しましょう。メリットの方が大きいと感じた人が、この充電器をおすすめできる人。
- 45W PD 3.0 PPS規格対応で守備範囲が広い
- 45Wレベルの充電器として最小クラス(他のコンセントに干渉しない)
- コンセントプラグが収納可能で携帯性が高い
- 60Wクラスを要求する機器でも充電可能
- 超小型タイプなので放熱性能が低く高負荷時に熱を持つ
- 収納可能なコンセントプラグが劣化し保持性が落ちる可能性あり
- 1プラグ対応なので複数の機器を同時に充電できない
- 60Wの急速充電器よりも充電時間が長い
メリットについて
45Wと言う余裕のパワーを要し、より安全に高速充電を可能にする「PD 3.0」のオプション規格PPS(Programmable Power Supply)にも対応し長く使える充電器でしょう。
最もおすすめしたいのが外でノートPCを使用する機会の多い人で、超小型の筐体でコンセントプラグが収納できるデザインは充電器の収納性を高めます。
また、1台で多くの機器に対応可能な45Wという出力が充電器を1台に集約させるでしょう。
もちろん、PPS規格が不要で多少大きくても構わないのなら「Anker Nano Ⅱ 65W」もおすすめ。
デメリットについて
充電器の放熱性能を高める最も簡単な手段は大型化で、逆に高出力で超小型された「Anker Nano Ⅱ 45W」は放熱性能が不利で熱を持ちやすい充電器と言えます。
特に60W相当を要求するノートPCなどへ充電する際はフル出力となり、通常充電で若干長く高温のまま充電が続くので注意。
また、コンセントプラグの収納は携帯性を高め便利な反面、長く使用している内コンセントプラグが緩み、最悪の場合は自重でコンセントから落ちる場合もあります。
とは言え、充電器本体が軽く小さいため「Anker Nano Ⅱ 45W」ではデメリットにならない可能性もあるでしょう。
充電が必要な機器を多く所有する場合、1ポートでは不便な場合もありますが、45Wまでの機器なら高速充電でアッという間に充電できるので工夫をすれば問題は無さそうですね。
Anker Nano Ⅱ 45W充電器レビューまとめ
「Anker Nano Ⅱ 45W」を充電器として選んだ理由は「多様性」でした。
出力と筐体の大きさはトレードオフの時代は終焉し、45Wと言う充電のコアゾーンで従来の5W充電器とさほど変わらない大きさの充電器が発売されたインパクトは大きい。
60W急速充電のノートPCを視野にいれた場合、ワンラク上の「Anker Nano Ⅱ 65W」と悩む人が多いはず。
「出力の違い」「大きさ(重さ)の違い」「価格の違い」「PPS規格の有無」という4つの大きな違いがこの2つの充電器の格差です。
- 出力の違いは前述の実験通り、MacBook Proを90%まで充電しても7分しか時間の差は生まれませんでした
- 大きさは一回り大きいだけですが、重さは倍近く違うのは少し気になるところ
- 価格の差は600円と意外に小さいですが、Nano Ⅱの基本価格が他社と比べて若干お高めですよね?
- PPS規格はほとんどの人には無用ですが、将来的には拡大する可能性があります
「Anker Nano Ⅱ 45W」は自分の環境に対し「多様性」をもたらしてくれるか?それが重要です。
iPhoneをApple Storeでキャリア契約した方法と割引券とポイントに関する疑問はこちらの記事で!
iPhone関係の関連記事もお楽しみ下さい♪