テレビを選ぶ時って大きさが重要な選択基準ですが、最近のテレビはサイズの後に「V型」って表記があるけど「インチ」や「型」表記と大きさが違うのでしょうか?
テレビに関する情報を見ると、サイズ表記で以下の三つをよく見かけます。
- ◯◯インチ
- ◯◯型
- ◯◯V型
全部同じテレビサイズなら違う表現を行う必要は無いので、間違いなくこれらの表記には違いが存在するはずです。
この記事では、普段あまり疑問を持たない「テレビの大きさ表記」について分かりやすく解説します。
長年製造業に従事し豊富な知見を活かした
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えだまめくん
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テレビサイズの表し方
ブラウン管方式からテレビのサイズ表記は「インチ」と「型」が存在していました。
でも何故メートル法の「センチ(㎝)」を使用しなかったのでしょうか?
テレビのサイズを知る上で、このサイズ表記の起源を理解することが大きなカギとなります。
テレビ普及の順序がサイズ表記に影響
テレビの起源はブラウン管技術の発明に遡りますが、この基礎技術を発明したのが日本人であることは意外と有名です。
しかし、量産化に成功し、広く普及させたのはアメリカで、テレビはアメリカから輸入された工業製品でした。
アメリカは「ヤード・ポンド法」で長さを表すため、テレビのサイズは「インチ(inch)」が今も一般的な表記となったのです。
1インチ=2.54㎝
テレビのサイズはどこの大きさ(長さ)
テレビのサイズ表記に用いられる大きさは図を見れば分かる通り、対角線の長さをインチ表記で表します。
ブラウン管テレビが最初に普及し始めた頃はテレビ画面はほぼ円形で、画面サイズは直径の長さで表していました。
技術開発によって徐々に四角の形状へ変化しましたが、大きさについては直径を図る時と同じ方法を踏襲したため、対角線の長さが現在もテレビサイズとして採用されています。
地デジ買い替え時のトラブル
テレビサイズが画面の対角線の長さということが思わぬトラブルを招き、テレビ買い替えに失敗した人も居るのではないでしょうか?
ブラウン管テレビの画面サイズは主に「4:3」の比率でほぼ四角い形状でしたが、地上デジタル放送以降、テレビの画面形状は「16:9」というワイドな比率へ変わりました。
例えば、32インチのブラウン管テレビを使用していた人が同じ32インチの液晶テレビへ買い替えた場合、画面の縦方向の長さが9㎝近く短くなり、同じサイズなのに小さく感じるのです。
テレビのサイズ表記を理解していれば失敗を避けられたかもしれません。
32インチのブラウン管テレビからの買い替えなら、42型以上の液晶テレビなら違和感なく使用出来ることが以下の表を見れば分かります。
インチ | テレビサイズセンチ表記 | テレビサイズブラウン管 高さ(㎝) | 液晶 高さ(㎝) |
---|---|---|---|
32 | 81.3 | 48.8 | 39.9 |
42 | 106.7 | 64.0 | 52.3 |
「型」と「インチ」は同じ
「型」と「インチ」は同じ意味で、テレビの画面サイズは全く同じものです。
表記をわざわざ変える理由は、メートル法の日本では「インチ」に馴染みがなく、よりテレビのサイズ感を分かりやすくするため「型」という表現を使用しました。
新しいテレビサイズ表記「V型」の意味
テレビサイズの表記方法である「インチ」と「型」の意味を理解しましたが、最近のテレビで使用される「V型」表記も同じ大きさ(長さ)を表すものなのでしょうか?
「V型」のVとは
先ず、「V型」で使用される「V」の意味ですが、「Visual Size」を表しています。
日本語で表現すると「可視できる大きさ」?
よく使われる「見た目」的な意味ではなく、「見える範囲」を表現するための「V」であると理解すれば分かり易いでしょう。
なお、大きさ(長さ)の表し方は「インチ」をそのまま使用しています(インチ=型)。
見える範囲を表す「V型」は「インチ・型」表記より有効
「V型」と「インチ・型」の違いはサイズを計測する基準点で、ブラウン管方式のテレビが比較対象となります。
「V型」表記された画面サイズは実際に映像が映る範囲で計測され、「インチ・型」はブラウン管の外径対角寸法を表します。
薄型テレビ同士は違いが生じません。何故なら測り方が同じだからです。
ちょっと分かり難いので、違いを図式化しました。
図の通り、ブラウン管方式のテレビはテレビ枠に隠れる部分が多く、ブラウン管の外径対角寸法よりも小さい範囲しか実際には見ることができません。
一方、薄型テレビの場合は実際に見えている部分がサイズ表記されるので、ブラウン管方式のテレビよりも一回り大きく感じ、より分かり易くテレビの大きさを表現しています。
「インチ」「型」の時代による変化
「V型」の意味を言及すると「インチ」と「型」の表現はブラウン管方式のテレビ時代で終わっているように感じた人も居るのはないでしょうか?
「V型」表記時代でも「インチ」と「型」表記は生き続ける
「V型」表記のサイズ表記の基準は「インチ」のままで、「型」も同じ意味で使われています。
唯一の違いである「V」表記は地上デジタル化による薄型テレビ普及のゲームチェンジから始まりました。
地上デジタル化に伴い「V」の意味を比較すべくブラウン管方式のテレビは無くなり、全てのテレビが「Visual Size」となった現在は「V」を省いた表記でも意味は通じます。
当サイトでも、テレビ評価時は「V」を省いて「型」や「インチ」のみで表記する場合がありますが、既に比較対象のブラウン管方式のテレビが市場に無いことが理由です。
テレビのサイズ表記の違いまとめ
この記事では「テレビの大きさで「V型」と「インチ」「型」はサイズが違うの?」について書きました。
テレビの大きさを表す「インチ」「型」「V型」三つのサイズ表記は、ブラウン管方式のテレビと比較した際に画面の大きさで差が出ることが分かりました。
一方で地上デジタル化以降の薄型テレビだけで比較した場合は、全て同じ意味として捉えることができます。
気になり出したら止まらない雑学的な内容ですが、液晶テレビや有機ELテレビから買い替えを行う場合は三つの表記に違いは無いと思って問題はありません。
ただ、画面サイズ表記が同じでも、画面周りのフレームの厚さでテレビ本体の寸法が変わることがあるので注意して下さい。
- 「インチ」表記はアメリカ基準のためヤード・ポンド法が採用された
- テレビの大きさは画面の外径対角寸法のサイズ
- ブラウン管方式ではテレビ枠に隠れる部分があり実際のサイズより小さい
- 現在の薄型テレビは実際に見えている範囲の寸法なのでより現実的
- 「型」表記は日本人に分かりやすくするためで「インチ」と同じ意味
- 「V型」の「V」は現在の薄型テレビのサイズ表記で誕生
- 「V型」と「インチ」でサイズ差が出るのはブラウン管方式のテレビと比較した時だけ
- 現在は薄型テレビ主流なので三つの表記方法に違いは無い