テレビの主電源がない?どこ?見つけ難い3つの理由が故障を防止する

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昔のブラウン管テレビ(以降:アナログテレビ)は正面に堂々たる電源スイッチが存在し、リモコンで電源を切っても待機電力が勿体無いからって必ず最後に電源スイッチを切っていましたよね?

もちろん、年代にもよりますが、特に人生経験が豊富な年代の家庭では今でも液晶テレビや有機ELテレビ(以降:薄型テレビ)の主電源を切っている人も少なく無いでしょう。

でも、新しいテレビに買い替えるとテレビの主電源がない場合があったり、位置がどこなのか分からない場合があって困った経験をした人も多いはず。

アナログテレビの主電源位置は正面にある
アナログテレビの主電源位置

私も最初はテレビの薄型化によってデザイン上仕方がないと思っていましたが、実は主電源がない場合やどこにあるのか見つけ難い理由は他にあるのです。

この記事では、薄型テレビの故障を防ぐ主電源に関する正しい情報を定量的な節電効果を交え、分かりやすくテレビの基礎知識を解説します。

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長年製造業に従事し豊富な知見を活かした

分析が得意なブロガー
えだまめくん
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アナログテレビで主電源を切っていた理由

30年以上テレビと慣れ親しんだ人なら理由は明解ですが、念のため、なぜアナログテレビでは主電源を切っていたのか理由を解説します。

テレビの電源形態

今も昔もテレビはコンセントを繋げることで電力を消費し映像を映し出します。

テレビ電源の大本はコンセントへ繋げることですが、それだけではテレビは映りません。そう、主電源をONにすることで初めて画面が稼働します。

主電源をONにすればリモコンでも映像のON/OFFは可能となり、即ち、テレビ画面を稼働させるために必要な要素は3つあるということ。

テレビの電源形態3つを図式化
テレビを付ける3つの電源形態

待機電力が大きいアナログテレビ

テレビに電力を供給する限り電気代が発生しますが、大元のコンセントを抜けばテレビで発生する電力はゼロにできます。

しかし、いつでもリモコン一つで電源をONにできるようにするためには主電源を入れたままにしなくてはなりません。

テレビは主電源をつけた状態で放置すると「待機電力」が発生し、アナログテレビでも薄型テレビでも同じように電気代がかかります。

特に30年以上前のアナログテレビ時代は電源回路技術も低くいため「待機電力」が大きく、電気代を節約するために主電源を切ることが一部で推奨されていました。

具体的な節電効果を以下の表で計算すると、月あたり約60円、年間684円程度の電気代が削減できることが分かります。

前提:25円/1kWh、待機時間10時間/日


機種
待機
電力
コスト
コスト
コスト
28型前後約7.5W約2円約56円約684円
アナログテレビの待機電力コスト

一家に2台テレビを保有して、1台はあまり使わずに24時間待機している場合は更に月あたり約90円、年間1,095円程度電気代が加算されます。

前提:25円/1kWh、待機時間10時間/日


機種
待機
電力
コスト
コスト
コスト
14型前後約5.0W約3円約90円約1,095円
アナログテレビの待機電力コスト

仮に月1万円の電気代を支払っていたら、何もしていないのに1.5%も余分に電気代がかかっている計算で、節約のために他の家電製品と共にテレビの主電源を切る理由があったのです。

ポイント

アナログテレビ時代は主電源を切ることで節電効果があり、メーカーや関係団体も主電源やコンセントを抜いて節電するこを呼びかけていました。

薄型テレビの主電源を切る3つのデメリット

アナログテレビ時代を経験したテレビユーザーは、引き続き「節電」を狙って薄型テレビ移行後も主電源を切ることが家計に最適だと考えるでしょう。

また、家庭内でも節電の意義を伝えることで、主電源を切ることが世代間で踏襲され続けています。

しかし、誤った認識が薄型テレビの性能を活かせないばかりか、最悪「故障」へ繋がる可能性も…

一時は主電源が「ない」薄型テレビも発売され、現在はデザイン性も含めテレビ背面や下部の目立たない主電源が「どこ」にあるのか分かり難い場所へ設置するメーカーが大半です。

主電源が見つけにくい理由はデメリットとして3つ存在するので、順を追って詳しく解説します。

❶ 待機電力の節電メリットは皆無

最新の薄型テレビの待機電力は0.1W〜0.5W程度で、超大型サイズでも0.5W前後しかありません。

具体的に計算したのが下の表で、83V型の超大型有機ELテレビでさえアナログテレビの15分の1年間48円程度しか電気代がかからないのです。

前提:25円/1kWh、待機時間10時間/日


機種
待機
電力
コスト
コスト
コスト
BRAVIA
XRJ-83A90J
約0.5W約0.13円約3.8円約47.5円
最新薄型テレビの待機電力コスト
待機電力の節電メリットが小さいことを図式化
待機電力の変遷

同じサイズの薄型テレビをもう一台所有し常時待機状態でも、合計で年間120円以下で済むためアナログテレビとは比べものにならないほど省エネ性能が進んでいます。

また、主電源を切っても待機電力の差は微々たるもので、後述する「利便性」を考えたら主電源を切るデメリットの方が大きいと言えるでしょう。

ポイント

「待機電力」による電力の無駄遣いが世間に浸透した結果、メーカー側も問題解決のために待機電力を大幅に削減しました。技術は年々進化しているので、10年以上前に製造された薄型テレビはこの数値よりも大きい場合があります。

但しテレビ単体の待機電力だけで考えないこと

新しい薄型テレビの待機電力だけを見ると大幅に進化していますが、デジタル化によって外付けHDDなどの外部接続オプションが充実しそれらの使用電力も考慮する必要があります。

また、録画準備テレビ番組表の取得などの作業で一時的に電力使用量が増加します。

外部接続品の数によって電力使用量は大きく左右されますが、概ねアナログテレビの待機電力量以内となるため、次に解説する「利便性」を優先させる方がメリットは大きいでしょう。

デジタルテレビの消費電力を削減するには、使用中の消費電力を抑える省エネ設定を使用する方が効果は高いです。

❷ 利便性のメリットの方が大きい

私自身、つい最近まで主電源を切ることが節電に繋がると思い込んでいました。

主電源でONにしてテレビをつけ番組表を確認するといつも「歯抜け」状態で、これは仕様だと信じて疑わなかったのです。

また、ちょっと古いSONYの薄型テレビでは外付けHDDの録画が行えないという不具合も発生…

アナログからデジタルへの進化に追従出来ていたはずなのに、主電源をOFFにする習慣は抜けきれず、正しいデジタルテレビとの付き合い方が出来ていませんでした。

現在のデジタルテレビは主電源をOFFにするとメリットである利便性が享受できません。

主電源を切るメリットより利便性のメリットが上回る

番組表の表示が速くなる

ある朝テレビを見ると待機電力中のランプがついていることに気づき、リモコンでテレビをONにし、いつものように番組表を確認すると歯抜け無く全ての情報が表示されました。

待機電力の無駄遣いは勿体無いと思い込んでいましたが、デジタル放送では待機電力時間にもきちんと仕事を行なっていることを理解した瞬間でした。

ちなみに、コンセントを抜いた状態から番組表を再取得すると更に多くの電力を消費するので注意しましょう。

外付けHDDの録画確認も直ぐに行える

テレビの録画は外付けHDDで行うことが当たり前の時代ですが、これも主電源でテレビのON/OFFを行なっていると機器の準備で微妙なタイムラグが発生しますよね?

具体的には主電源でテレビをONにし、直ぐに録画一覧を確認しようとしても「機器の準備中」などのアナウンスが表示され少し待たされる状態です。

リモコンのON/OFFを励行することで、外付けHDDの録画内容を確認する際のタイムラグが解決でき、完全に電源が切れた状態から再稼働するよりも節電効果のメリットは大きくなります。

また、薄型テレビの仕様によっては、主電源をOFFにすると外付けHDDの録画が行えない場合もあるので注意しましょう。

デジタルテレビを最新状態に保つ

テレビはデジタル化によって、映像を司るオペレーション機能もPCと同じようにソフトウェアが必須になりました。

アナログテレビはアナログ電波を拾い単純に映像化するだけでしたが、デジタルテレビはデジタルデータを映像へ変換するだけでなく、多くの便利機能もソフトウェアを介し利用可能になっています。

待機電力時間にソフトウェアを最新情報へアップデートすることで、知らないうちに不具合の改善利便性の向上が図られます。

古い薄型テレビでは利便性と節電性のバランスを考える

最近の薄型テレビでは改善されていますが、古い薄型テレビの場合、テレビに付帯する時刻などの情報が主電源を切ることでリセットされる場合があります。

また、録画機能付きの古い薄型テレビでは、予約した番組が録画されない機種もあるので注意が必要です。

更に、古い薄型テレビは待機電力の改善が中途半端な場合もあるので、きちんとカタログ値を確認し、節電性と利便性のバランスを見極めましょう。

ポイント

デジタルテレビは情報家電となり、アナログ時代には考えられなかった多くの便利機能を具現化しました。利便性は「待機電力」と大きな関わりがあり、外付けHDDの運用やソフトウェアの更新など、実際はカタログ値以上の待機電力を消費しますが、それでもトータルでアナログテレビの待機電力と大差無い数値です。

❸ テレビが故障する可能性が高まる

主電源のON/OFFを頻繁に繰り返すことで2つの故障リスクが高まります。

主電源起因の故障リスク
  1. 電源回路の故障
  2. 主電源ボタンの陥没

1.電源回路が頻繁なON/OFFを想定していない

薄型テレビではデジタルデータ更新を行うため常に待機電力状態にする必要があり、テレビのON/OFFはリモコンを使用することを前提に設計されています。

デジタルテレビの主電源はリモコンでのON・OFFを想定

そのため、待機電力の大幅な省電力化対策が図られた一方で、電源回路は頻繁な操作を想定しない設計へ置き換わりました。

例えば待機電力中、古いアナログテレビの発熱が大きく新しいデジタルテレビでは小さく、明らかに電力負荷の違いを感じさせます。

発熱や効率を前提とする場合、半導体をスイッチ回路として使用するため頻繁なON/OFFには適さない設計となったのです。

2.主電源ボタンも耐久性を求めていない

電源回路同様に主電源ボタンも頻繁な操作を想定していないため、陥没抜け落ちなどの故障リスクが避けられません。

アナログテレビの様に物理的な電力遮断ではなく、デジタルテレビでは下図のようにスイッチングハーネスによって主電源のON/OFFを行うことがその理由です。

デジタルテレビの主電源ボタンが耐久性に乏しい理由

アナログテレビのような物理的な電気遮断ではなく、図のように先端のスイッチ部を押して電気信号を送るだけなので主電源ボタンに強度を持たせる設計が難しく、少しグラつき気味かラバーで覆われているパターンが多い。

物理的なスイッチ機能と比較して耐久性は劣り、ハーネスのズレや強く押し込むことでスイッチが陥没する不具合へ至る可能性が大きいと言えるでしょう。

主電源を切る3つのデメリット
  1. 待機電力の節電メリットは皆無
    1. テレビ本体の待機電力は15分の1
    2. 外部接続機器の待機電力は別
  2. 利便性のメリットの方が大きい
    1. 最新のデータ情報取得
    2. 外部機器との連携
    3. ソフトウェアのアップデート
  3. テレビが故障する可能性が高まる
    1. 電源回路の故障
    2. 主電源ボタンの陥没

主電源を切るメリット・デメリット

主電源を切るメリットとデメリットについて、古いアナログテレビとデジタルテレビに分けて比較します。

古いアナログテレビ

古いアナログテレビは主電源を切る節電効果が大きく、主電源を切らないデメリットは特に見当たりません。

メリットデメリット
年間750円前後の節電効果特になし
アナログテレビで主電源を切ると

デジタルテレビ

デジタルテレビは主電源を切っても節電メリットは低く、逆にデメリットの方が多いことが分かります。

機種によってデメリットの内容は変わりますが、主電源部の故障についてはどの機種も注意が必要です。

メリットデメリット
年間40円程度の節電効果データ情報の遅延
外部機器との再接続(機種による)
ソフトウェアアップデートの遅延
主電源部の故障回避
デジタルテレビで主電源を切ると

主電源の節電効果が小さいデジタルテレビ

最新の主電源設計では、主電源を切っても微電力が流れ続けるため節電効果の幅が更に小さくなっています。

具体的には、標準的なサイズの液晶テレビの場合、待機電力は概ね0.5W程度で、主電源を切っても0.1W程度の電力が流れています。

主電源を切ることで0.5Wの節電効果を期待しますが、実質は0.1Wを引いた残り0.4Wが節電されるため年間40円程度の効果しかありません。

主電源を切るデメリットの方が大きいことが分かりますね。

コンセントを抜けば電気代ゼロ?

主電源を切っても節電効果が皆無のデジタルテレビですが、コンセントを抜けば全ての電力がゼロとなり、究極の節電が期待できるはずですが、実はこれも危険な行為

デジタルテレビでは主電源同様に、コンセントを頻繁に抜くことは非推奨です。

その理由は、電源を入れるたびにテレビのシステムが再起動され、新しいデータ情報や周辺機器の連動など、待機電力以上の電力と負荷がテレビにかかるためです。

エアコンなど、最新の省エネ家電と同じように、テレビのコンセントを頻繁に抜くことは逆に電力を消費するだけでなく、故障の原因となるため避けましょう。

主電源やコンセントはいつ抜くの?

では、デジタルテレビで主電源やコンセントを抜くのはどのようなタイミングなのでしょうか?

主電源を切るタイミングは長期で家を空ける時やテレビを長期間使用しない場合です。

コンセントについては、引越しや全く使用予定が無く押し入れなどに保管するタイミングのみと考えましょう。

但し、長期で留守となる場合でも録画を継続する際は、テレビ本体が主電源に関係無く録画可能かを事前に確認しましょう。

メーカーや機器によって仕様が異なるためで、他の機器や機能でも同様に確認が必要です。

テレビの主電源を切らない理由まとめ

この記事ではテレビの基礎知識である「テレビの主電源がない?どこ?見つけ難い3つの理由が故障を防止する」について書きました。

節電を行うことは家計にも環境にも優しく、実践する心構えは非常に大切なことは間違いありません。

しかし、古いアナログテレビと最新のデジタルテレビでは技術の進化を踏まえ別物と理解すべきです。

機器の進歩に合わせ、正しい使用方法を理解することで最適な節電効果を生むだけでなく、故障による思わぬ出費が避けられます

主電源部が故障した場合1万円〜2万円の修理費が一般的で、主電源を切る節電効果では回収に250年以上

正しい知識でテレビとお付き合い下さい。

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