電子機器ガジェットの防水/防塵性能・IPコードとATMについて解説

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ガジェットや電子機器の防水・防塵表記の基礎知識を書いた記事のアイキャッチャー

この記事では、ガジェットや電子機器の防水性能と防塵性能について、規格の意味と想定される使用環境について解説します。

一昔前の電子機器ガジェット類は水に対する防御性能は皆無で、水や埃が一定量内部へ侵入すると動作不良が起こり、最悪の場合は使用不可能になりました。

精密でデリケートな内部構造を構築することが優先され、外部を覆うケースはデザイン性を表現する手段に過ぎなかったからです。

例えばiPhone。iPhone7以降のモデルはIPコードに準ずる防水/防塵性能を施してきましたが、それ以前のモデルは防御性能がほぼ皆無でした。

大事な電子機器ガジェットがどの程度守られているのか?

どのような状況まで使用可能なのか?

思わぬ故障へ繋がらないよう、「電子機器ガジェットの防水/防塵性能・IPコードとATMについて解説」について書きます。

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【この記事で解決する疑問と悩み】

  • 電子機器の防水・防塵表記の意味
  • 電子機器の防水・防塵性能の目安
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長年製造業に従事し豊富な知見を活かした

分析が得意なブロガー
えだまめくん
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防水と耐水

防水と耐水って、頭の「防」と「耐」の違いだけで、単なる言葉遊びだと思った人は要注意です。

ここに大きな落とし穴があって、普通の人は水が入らない仕様や入っても大丈夫な仕様全般を「防水」と勘違いしてしまうんですね。

雨の日に使用するレインコートを例に挙げると、「防水」と「撥水」という性能表記を見たことありませんか?

どちらも同じ意味に感じてしまうかもしれませんが、絶対に雨が染み込まないという性能を有しているのは「防水」表記だけ。

「撥水」表記は表面に着いた水を「弾く」効果があるという意味で、合わせて「防水」表記が無ければ、使用中に何れ水が染み込んできます。

電子機器ガジェットでは「防水」と「耐水」の役割を理解することで、安全な使用環境が想定できます。

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電子機器に使われる防水・防沫・耐水・防塵規格について

現在流通している電子機器ガジェットで、防水・防沫・耐水・防塵の対策を施した製品には、主に2つの規格でその性能を示しています。

IP(International Protection)コード

昨今の電子機器ガジェットでよく目にする規格で、人体の接触保護、塵などの外来固形物や液体の侵入保護を等級化したもの。

IEC(International Electrotechnical Commission=国際電気標準会議)という国際標準化団体の規定の一つで、エンクロージャによる保護等級であるIEC規格 60529に基づきます。

製品のスペックを見ると「IPXX」とXX部分に数字ある表記を見かけますが、この部分で防沫・耐水・防塵性能について表しています。

理解すべき重要なことは、IPコードは「防沫・耐水・防塵」性能であって、「防水」性能では無いということ。

IPコードの見方

水と塵から電子機器ガジェットを守るレベルは、以下ようにIPコードから読み解きます。

「X」部分に入る数字が大きほど、耐水や防塵性能が高くなります。

電子機器の保護規格IPコードの解説
IPコードの見方

メーカーの表記方法によっては、IPX5のように防塵レベルを明記していない場合がありますが、これは防塵性能が0という訳ではありません。

使用する上で、特に記載の必要性が無いため「X」のままにしているのでしょうが、耐水性能レベルに合わせた何らかの対策は施されていると理解して下さい。

IPコードによる耐水・防塵性能

以下の表で、IPコードの保護レベルを解説します。

0〜4の保護レベルはあまり意味が無いので、耐水・防塵性能が発揮される5以上のレベルで表を作成しました。

粉塵への対応レベル
表記防塵レベル想定使途
IP0X

IP4X
保護無し〜直径1㎜のものが侵入しない清潔な屋内で使用
IP5X防塵形
ほぼ粉塵は入らないが少し入っても機器の動作を妨げない
普段使い
軽い屋外運動
IP6X耐塵形
粉塵は全く入らない
ハードな運動
砂埃が舞うフィールド
IPコード 粉塵対策
液体への対応レベル
表記防水レベル想定使途
IPX0

IPX4
保護無し〜水の飛まつに対して保護水のない環境で使用
IPX5噴流に対して保護
3mの距離から全方向に30kpaで12.5ℓ/分の噴流水に3分間耐えられる
普段使い〜軽い屋外運動
小雨で短い使用時間
IPX6暴噴流に対して保護
3mの距離から全方向に100kpaで100ℓ/分の噴流水に3分間耐えられる
大汗をかく夏場の運動
雨中で中程度の使用時間
IPX7水に浸しても影響がないように保護
水面下15㎝〜100㎝に沈め30分間耐えられる
IPX6並みの使徒
万一シンクに落としてもOK
IPX8潜水状態の使用に対して保護
メーカーと機器の使用者間の取り決めによる
IPX6並みの使徒
メーカーの指定レベル
IPコード 防水対策

iPhoneを例に挙げると、iPhone14では「IP68」という防塵・防水性能で、規格上最高ランクの仕様です。

iPhone14でのIPX8レベルは「最大水深6mで最大30分間」大丈夫という内容ですが、Appleは意図的な水没は勧めていないので、あくまでも「耐水」性能と捉えて下さい。

そう、「最大水深6mで最大30分間」という定義はあくまでも「静止」した状態であって、水中で動かすことにより水圧で数値以上の負担がかかってしまうことを覚えておきましょう。

また、耐水性能は機器の年次劣化で性能が下がるので、長く使用した電子機器ガジェットほど耐水性能は低くなります。

チェックポイント
  • 最高レベルのIP68でも「防水」と言えるレベルではない
  • 汗や雨の影響を長時間受けるならIPX67以上の性能が理想

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ATM(気圧)

電子機器ガジェットの中でも、特に耐水性能が必要なスマートウォッチなどは防水等級をATMで表す場合があります。

ATMとは気圧のことで、1ATMごとに水深10mの相当する圧力に耐えることを表していますが、IPコード同様、あくまでも「静止」状態という前提なので注意しましょう。

仮に10ATM(10気圧防水=100m防水)の防水性があっても、100m潜水して行動は行えませんし、プールや海などで遊んでいても10気圧以上の圧力がかかれば浸水します。

この規格に当てはめると、iPhone14の耐水性能はたったの「0.6ATM」なので、決して防水では無いことが理解できたと思います。

ATMの防水性能

防水性能を有する電子機器ガジェットには、技術標準規格EN13319に準拠したATM表記があります。

ただ、下表を見れば分かる通り、10ATM以上ないと防水性能としては不安になります。

また、同じ10ATMでもメーカーによって推奨するアクティビティレベルも変わるため、購入する製品の情報をしっかり確認することが重要でしょう。

液体への対応レベル
表記防水レベル想定使途
3
ATM
日常生活防水レベル
静止状態で水深30mの水圧に耐える
普段使いの腕時計
5
ATM
日常生活強化防水レベル
静止状態で水深50mの水圧に耐える
水に触れる程度の行動や作業時
水飛沫、雨、水圧の低いシャワー
10
ATM
強化防水レベル
静止状態で水深100mの水圧に耐える
水泳やウォータースポーツ
但し、メーカー推奨状況による
20
ATM
超強化防水レベル
静止状態で水深200mの水圧に耐える
高強度の水泳やウォータースポーツ
但し、メーカー推奨状況による
30
ATM
ダイビング可能レベル
静止状態で水深300mの水圧に耐える
スキューバーダイビング
但し、定期的な防水テストが必要
ATM表記の防水レベル
チェックポイント
  • 10ATM以上が防水と理解すればOK
  • ATM表記の防水レベルと適合内容はメーカーによって見解が違うので注意(メーカー情報を必ず確認)

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電子機器ガジェットの防水/防塵性能まとめ

この記事では「電子機器ガジェットの防水/防塵性能・IPコードとATMについて解説」について書きました。

都合の良い解釈で、間違った使用方法により電子機器ガジェットを使用すると故障に繋がるのは当然。

防水と防塵に関わる対応も同じで、先ずはIPコードとATM表記を理解して正しい環境で使用する必要があります。

ただ、目安であるIPコードでも、あるメーカーはIP67レベルでシャワーにも耐えると記載されていても、別のメーカーではおすすめしていない場合もあります。

表記だけを鵜呑みにせず、メーカーが推奨する内容も同時に確認することで無駄な故障を回避できるでしょう。

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