日本のテレビメーカーに、ここ数年激震が走っていることは周知の通り。
日立製作所はSony製テレビを販売することになり、事実上テレビ事業から撤退。
また、REGZAという一大テレビブランドを持つ東芝も、テレビ事業株式の95%を中国のHisenseへ売却したことも記憶に新しいところ。
更に、SHARPは亀山に巨大液晶工場を建設したが、これが経営を圧迫する要因にもなりました。
では、Sonyについてはどうなのか?
2010年代前半はSonyもご多分に漏れずテレビ事業の不振に喘いでいたものの、主戦場であるEU市場では2018年以降復活の兆し。
画一的なテレビ市場にあり、「マネした電気」と揶揄されるもブランド力で人気のPanasonic(旧松下電器)とは若干違うバリエーションで勝負しているのはいかにもSonyらしい。
2019-2020年モデルのSony製テレビはその遺伝子を継続しているのか?
4K有機ELテレビのフラッグシップ機である「A9G」について、4つの視点から分析します。
- A9Gのセールスポイントを評価
- A9Gに合う視聴環境
- A9Gの機能を細かく分析
- A9Gの総合評価と買い時価格
今回は、「A9Gのセールスポイントを評価」。
Panasonicと人気を二分化するSonyは、単にソニーマニア向け製品であるのか?注目です!
評価を行うのはこの3人!!
価格よりも機能を重視
こだわり派
価格がいくら高くても、こだわりの機能には絶対に妥協をしないのだ。
機能と価格のバランスを重視
リーズナブル派
自分の生活にマッチした買い物に拘り、価格に見合わない製品は絶対に購入しないわ。
機能そこそこで価格を重視
コスト重視派
価格が安ければ多少機能が劣っても構わない。一般家庭でハイスペックは不要だね。
では、各人の趣向を踏まえてこの製品を評価して行きましょう♪
4K有機ELテレビ ソニーブラビア A9G とは
項目 | 内容 |
---|---|
モデル | 2019夏(19'6月) |
シリーズ | ブラビアA9G |
分類 | 4K有機ELテレビ |
サイズ展開 | KJ-77/KJ-65/KJ-55 |
2019-2020年期の新製品発表は初夏に集中しました。
Sony BRAVIA(ブラビア)ブランド、有機ELテレビのフラッグシップ機「A9G」も他社の新製品発表と同時期の6月に発売。
2019-2020年期では最も高価で、最も自信を持ってソニーが送り出した最高傑作?です。
ソニーブラビアA9Gは画面から音が出る!
某日、市場調査で大手家電量販店へ出向くと、最も目立つ場所に鎮座していたのがブラビアA9Gの65型でした。
発色の良さ、デザインの美しさはさすがソニー。一瞬で映像に引き込まれたのは言うまでもありません。
ただ、有機ELテレビの映像クオリティーはこのクラスになると、正直、各社大きな違いが無いのも事実です(格安有機ELテレビは明らかに質が落ちる)。
A9Gで気になっていたのは「音」で、A9G 65型の大画面右上にはこれ見よがしに「画面が振動するので触って」というシールが貼ってありました。
平日の午後、他には人も居ませ。思いっきりボリュームを上げて画面へタッチ!
ズン、ズン、ズン♪っと、画面が思いっきり振動して全面から音を出しているじゃありませんか「これがアコースティック サーフェス オーディオプラスか・・・」
商品配置の優位性、Panasonic GZ2000が高過ぎること、デモ映像の美しさ、そしてこのサウンド。
一部の量販店ではトップセールスになっているのも頷けます。
そんなA9Gのセールスポイントが「買い」か否か?を徹底解剖致しましょう♪
でも、こんなにパネルを振動させて壊れないのかな?
5年先にならないと誰にも分かりませんね。
4K有機ELテレビ ソニーブラビア A9G のセールスポイント
- BS4K/110度CS4Kダブルチューナー内蔵
- 処理能力が約2倍の次世代高画質プロセッサーX1 Ultimate+アコースティック サーフェス オーディオプラス
- テレビ本体のスピーカーで3次元の立体音響を体感「ドルビーアトモス」
1.4Kダブルチューナー内蔵
各記事でご紹介の通り、2019-2020年モデルでは「4Kダブルチューナー」搭載を各社がアピールしていますね。
メーカーは4Kチューナー内蔵テレビの出し惜しみをした結果、シングルチューナー内蔵というステップが中途半端になった感じです。
4K放送発表時は結構盛り上がったけど、実際に視聴できる内容はNHKも民放もBS放送の内容と大して変わらないよね。
さっき久しぶりに4K放送見たけどテレビショッピングやってた。BSで同じ放送局を見たらそっちも同じ内容で、画質も全然変わらなかったわ。
まともに4K映像流してるのはNHKだけですね。ここに価値を見出せないとせっかくのダブルチューナーも無駄になります。
年末の紅白は面白かったぞ。地デジと4Kでカメラが違うからアングルが全然違うのだ。4Kの美しさも比較出来るし、将来性を考えてダブルチューナーは必須なのだ。
評価:5.0
機能が豊富なのはウエルカムなのだ。
評価:3.0
他社に追随しないとね。使わないけど機能が無いってことで敬遠されたらメーカーとしては大変でしょうし。
評価:2.0
力を入れる所が違うだろ?こんなところのチューナー数増やすなら地デジを3チューナーにしなよ。ソニーって変だよな。
せっかく4Kダブルチューナー搭載のソニーブラビアだから、テレビ録画用外付けハードディスクも同時に揃えたいですね。
A9Gに適合するHDDの情報は「HDD【2020版】ソニーブラビアにおすすめのテレビ録画用外付けハードディスク」で詳しく解説しています。
ハードディスクを強化して裏録に備えましょう♪
2.最新の映像技術と音響技術
ブラウン管テレビ全盛の時代、ソニーはトリニトロン (Trinitron)という技術で一世を風靡。
音についても、世界初の持ち運び可能なポータブルステレオオーディオプレイヤー、ウォークマン(WALKMAN)を発表しています。
ウォークマンブランドは現在も継続していますね。
映像と音にこだわりがあるメーカーの代名詞として、他の家電メーカーとは一線を画するソニーのテレビは期待通りの仕上がりなのか?
4K高画質プロセッサーへのこだわり
テレビもデジタル化時代に入り、各社の映像品質は独自の4K高画質プロセッサーでほぼ決定づけられます。
但し、どれだけ良い4K高画質プロセッサーを使用しても、メーカー開発者や決定権のある経営サイドのセンスで色づくりが違ってくるので注意は必要。
また、パソコンのCPUはパフォーマンス評価が可能ですが、独自技術で開示性の低いテレビの4K高画質プロセッサーは比較出来ません。
「能力値」の差をメーカー間で比較出来ないため、ひとつの目安として同じメーカー内の旧製品からの成長性で計るしかないでしょう。
ブラビアA9Gの4K高画質プロセッサーは「X1 Ultimate(エックスワン アルティメット)」。
セカンド機(A8G)に搭載の「X1 Extreme(エックスワン エクストリーム)」との違いは次の通りです。
- リアルタイム処理能力が約2倍
「X1 Extreme」からの変化
高精細
変化 | 新規 |
内容 | オブジェクト型超解像 |
どのように | 従来では失われてしまうような質感も、現実に近い質感で再現 |
変化 | 向上 |
内容 | デュアルデーターベース分析 |
どのように | ノイズ低減のデータベースを追加し、X1 Ultimateの解像処理用のデータベースと合わせシナジー効果を狙う |
高コントラスト
変化 | 向上 |
内容 | HDRリマスター |
どのように | 処理能力が向上したX1 Ultimateで、より細かく被写体のコントラスト調整が可能 |
豊かな色彩表現
変化 | なし |
内容 | Super Bit Mapping 4K HDR |
どのように | 微妙な色合いもリアルに再現 |
あくまでも自社内製品との比較なので、他社との違いは自分の眼で確かめるしかありません。
少なくともセカンド機(A8G)よりも、映像のセールスポイントは向上していると捉えるようにしましょう。
アコースティック サーフェス オーディオプラス
ソニーはプライドがあるのか、音場作りには非常に力を入れていますね。
先ず目につくのが「画面から映像を送り出す」仕様。
別の記事で紹介しますが、ソニーのテレビが他社と大きく違うの点が画面サイズのバリエーションがより大型化寄りであること。
画面サイズが大きければ、当然画面へ向き合う面積は大きくなるため画面から聞こえてくるような音場作りはとても重要です。
画面裏にアクチュエーターという振動をもたらす装置を設置し、独自の音作りをする姿勢はとても面白いですね。
そして、音には厚みを付ける必要があります。
そう、「臨場感」を上げる施策が無ければ、単に画面から音が聞こえるだけの薄っぺらい機種となるでしょう。
「臨場感」を上げるソニーの施策は3点。
- S-Force フロントサラウンド
- センタースピーカーモード
- ドルビーアトモス
「S-Force フロントサラウンド」は、映画館で使われているマルチサラウンドスピーカーシステムの音場を再現するソニー独自の技術。
横から後ろへと音が移動する立体的な音場をテレビのスピーカーだけでバーチャルに再現します。
そして、「センタースピーカーモード」はサラウンドシステムを構成している際に、テレビ側をセンタースピーカーへ切り替えるシステム。
オプション豊富な構成を好む、マニアックなユーザーが多いソニーらしい配慮です。
音作りのこだわりで大きなセールスポイントはもう一つ!そこはもう一つのセールスポイントとして解説致します。
評価:4.0
映像、音、共にこだわりは高評価なのだ♪
評価:3.0
Panasonic有機ELシリーズの中間機より少し上って感じかしら?でも、有機ELテレビの不安は相変わらず払拭できないわ。
評価:3.0
液晶で十分な気持ちは変わらないね。でも、新製品が出るたびに有機ELテレビは少しづつ進化していることは評価できるね。
大型テレビの画面って直ぐに汚れます。
3.ドルビーアトモス搭載
ドルビーアトモスについては第3のセールスポイントと致しました。
Panasonicの有機ELテレビ、GZシリーズのセールスポイントでもあるこの世界基準の音響技術が付いているのは嬉しいですね。
ドルビーアトモスとは?
ドルビーアトモスとはどんな技術なのかを解説しましょう。
- 立体音響方式のひとつで、映画館などで感じる立体感のある音を再現
- 例えば空から来る音のイメージ(雨やヘリコプターなど)を再現出来ちゃいます
- そんなことから別名「イマーシブサウンド(没入型)」とも言われます
映画館やシアタールームでドルビーアトモスが使用されているって分かるの?
はい、よく音響設備で「4.1ch」っていう言葉を聞きますよね?これを理解すれば設置状況を確認出来ますよ。
- 「4.1ch」=4はスピーカーの本数で1はサブウーハーの本数
- ドルビーアトモスでは更にもう一つ追加し「4.1.2ch」という標記になる
- 「4.1.2ch」の2は天井のスピーカー数を表す
天井にスピーカーが無いんじゃ、メーカーの標記は嘘じゃないの?
確かに、一般家庭では天井スピーカーの設置は難しいですね。ただ、イネーブルドスピーカーという技術を用いれば再現は可能です。ドルビーアトモスの再現方法は主に3つあります。
- 厳密には通常のスピーカー配置に加え「天井」にもスピーカーも配置
- 天井に設置出来ない場合はイネーブルドスピーカーで代替えする
- イネーブルドスピーカーが無いTVは音声処理技術でドルビーアトモスを再現
ソニーBRAVIA A9Gのスピーカーシステムは「2.2ch」。即ち、2つのスピーカーと2つのサブウーハーの構成です。
上へ行くほど完璧な内容で、一般的なテレビの大半は一番下の「疑似再現」です。それでは、ドルビーアトモスの評価をお願いします。
評価:4.0
Panasonic有機ELテレビの中間機並の機能なのだ。イネーブルドスピーカーが無いから減点1なのだ。
評価:3.0
やっぱりフラッグシップ機、高水準な内容ね。映像は好みによるけど、音響技術は比較し易い内容だわ。
評価:3.0
輸入パネルで独自の味付け。疑似サラウンド(アトモス)。スペックでは見えないものばかりなのは相変わらずだね。
番外.Bluetoothの拡張性
PanasonicとTOSHIBAのテレビ評価で酷評されたのが「Bluetooth」の活用方法。
両社はリモコンの音声機能程度でしか使えなかったけど、Sonyではきちんとワイヤレスでヘッドフォンやサウンドバーと接続可能です。
但し、念のため動作確認済の機器を確認して下さい。
サウンドバー HT-X8500 が秀逸!A9Gをセンタースピーカーとして活用する
パナソニックビエラGZ2000のように、テレビ本体へイネーブルドスピーカーが搭載されていないのは残念ですが、そこはソニー。
中途半端な対応よりも、サラウンドシステムを構成することを暗に促しているのでしょう。
しかしながら、ドルビーアトモスという今流行りの技術をきちんと採用しているのは嬉しい限りです。
評判の良い、ソニー純正のサウンドバーHT-X8500と組み合わせれば、A9G本体はセンタースピーカーとなり更にパワーアップ出来ますね。
このソニー純正のサウンドバーHT-X8500って、ソニー以外のテレビでも相性抜群とAmazonでの評価が非常に高い。
ドルビーアトモスが無いテレビでも、ソニー純正のサウンドバーHT-X8500で実現可能!
そして意外と面白いのが、Bluetoothでスマホのスピーカーにもなっちゃうってところ。
価格もそんなに高くないし、Amazonだとたまにこの商品のクーポンが出るから細目にチェックするのをおススメします♪
なお、ソニー純正のサウンドバーHT-X8500は独自の「Vertical Surround Engine」でドルビーアトモスや立体的な音響を実現しています。
物理的に考えた「イネーブルドスピーカー」本体とは違うので、誤解の無いようにして下さい。
ちなみに、HT-X8500はVGPで金賞とテレビシアター大賞を受賞しています。
4K有機ELテレビ ソニーブラビア A9Gの受賞歴
Sony BRAVIA 有機EL「A9G」はさすがのフラッグシップ機。
AV機器を専門家が評価する「Hivi」「VGP」の権威ある二つの団体から高い評価を受けています。
2019 SUMMER(2019年度「夏」)
2019年夏モデルとしては双方の団体から受賞。VGPでは特別大賞に輝きました。
評価の中心は映像技術で、新世代プロッセッサーの評判がとても高いですね。
Hivi ベストバイ 2019夏 | 【ディスプレイ部門】 ◆ 有機EL60型以下④位 ◆有機EL61型以上②位 前期モデルに比べて暗部の階調推移がいちだんとなめらか。S/Nも上がるなど、有機ELパネルの勘どころをずばり押さえたナチュラルな画調が素晴らしい。画面と音の一体感も秀逸。 |
VGP 2019夏 | 【特別賞】特別大賞 膨大な映像分析処理ができる新世代プロセッサー「X1 Ultimate」によって、あらゆる映像コンテンツを高画質で楽しませる、有機ELテレビに対して。 開発賞 高音質スピーカーシステムの開発に対して。 【ディスプレイ部門】 ◆有機EL(70型以上)金賞 ◆有機EL(60型以上70型未満)入賞 ◆有機EL(50型以上60型未満)金賞 |
2019 WINTER(2019年度「冬」~2020年度)
2019年冬の評価では「Hivi」で各サイズステップアップ。
一方の「VGP」では、他社にバリエーションの無い77型のみがディスプレイ部門で「金賞」に輝いたものの、競争の激しい55型、65型は入賞に留まっています。
Hivi ベストバイ 2019冬 | 【ディスプレイ部門Ⅳ】 ◆有機EL60型以下①位 ◆有機EL61型以上③位 受賞理由 深みのある色再現性と凝縮感のある映像。ソニー独自の映像プロセッサーの最新型にして最高峰のパワーを備える、X1 Ultimateの使いこなしも巧みで、S/N感と階調表現の改善に貢献。画面から音が鳴る「アコースティック サーフェス オーディオプラス」はより進化している。 |
VGP 2019冬 | 【ディスプレイ部門】 ◆有機EL(70型以上)金賞 ◆有機EL(60型以上70型未満)入賞 ◆有機EL(50型以上60型未満)入賞 |
有機ELテレビ A9Gの「セールスポイント」総合評価
では、これまで確認した有機ELブラビア A9Gのセールスポイントについて総合評価を行ってもらいましょう。
評価:4.7
ソニーらしい有機ELパネルの色と、世界で評価される音のレベルに期待なのだ。
評価:3.3
新プロッセッサーが映像作りへの執念を感じる製品。音もふくめてフラッグシップ機らしい内容だわ。
評価:3.0
値段の割に・・・。って思っちゃう僕は、安い液晶派。
Sonyのフラッグシップ機として堂々の内容でした。ここまでは各社ほぼ横一線。次回は設置スペースなどの「視聴環境」について評価しましょう。以下のリンクかこちらから移動して下さい。
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