2021-2022モデルのソニー4K液晶ブラビアの最高峰である「X95J」の気になる進化ポイントを、前モデルX9500Hとの違いを比較しながら解説致します。
でも、最初に書いちゃうと前モデルX9500Hとは明らかに「格」が違っていました。
ソニー4K液晶ブラビアX95Jは、ハイエンドモデルではなく、4K液晶ブラビアのフラッグシップモデルへ進化したのです。
そして、ソニーブラビア最大の不満も払拭させました。
ソニー4K液晶ブラビア「X95J」(ソニーブラビア公式)
- 85v 6月12日発売
- 75v 6月19日発売
- 65v 7月31日発売
長年製造業に従事し豊富な知見を活かした分析が得意なブロガー
えだまめくん
edamamekun
X95Jの価格評価と買い時
X95Jは大きく進化(詳細は後述)したにもかかわらず、前モデルとの価格差はほとんど無くリーズナブルと言えます。
先ず、最大サイズの85型(XRJ-85A95J)ですが、前モデルには同様のサイズ展開が無かったため2世代前のX9500Gと比較しました。
見ての通りスペックは大きく相違するのに価格は大きく下がっています。
これは大型液晶パネルの価格が下がっていることも要因ですが、その背景にはやはり大型サイズのシェアー拡大も寄与しているのでしょう。
次に2番目の大きさとは言え、こちらも超大型サイズの75型(XRJ-75A95J)も前モデル並みの価格推移なので、機能アップの大きさを考慮すればお買い得だと言えます。
最小サイズ(とは言え大型)の65型(XRJ-65A95J)も75型同様の動きで、前モデルの同時期価格を下回っていれば迷わず「買い」で良いと判断できますね。
しつこいようですが、X95Jは前モデルから大幅に進化しているので、先モデルよりも価格的に有利ならそこが買い時となります。
X95JとX9500Hの違い(認知特性プロセッサー「XR」)
今回のソニーブラビアで最も大きな進化が、心臓部とも言える高画質プロセッサーが上位機種で更新され、完全なるフルモデルチェンジを果たしたと言えるでしょう。
究極の没入体験を実現するために、認知特性プロセッサー「XR」は開発されました。人がどのように世界を見ているのか、どのように音を聴いているのか - これら、人の認知特性をプロセッサーに取り入れることで、これまでにない没入体験をあなたにもたらします。
ソニーブラビア公式サイト
前期話題となった東芝レグザの「クラウドAI」は記憶に新しいところですが、まさにテレビ業界もAI戦争の様相を呈してきました。
言い回しや解釈に違いはあれど、膨大なデータをディープラーニングし、あたかも人間が感じる「認知特性」を自動的に高画質テレビに再現させる試みとその真価が当面の注目点であることに間違いありません。
前モデルの「X1 Ultimate」プロセッサーを含め、本来なら「画質」をつかさどる高画質プロセッサーですが、認知特性プロセッサー「XR」は「音質」まで制御する新しい考え方となっているのが大きな特徴。
- 高画質化=「XR Picture」
- 高音質化=「XR Sound」
密接な関係である音と映像を同時に制御することで、4K液晶ブラビアX95Jでは圧倒的かつ感動的な没入感が期待できるでしょう。
「XR」を基軸とした性能アップは製品品番のみならず、新機能に「XR」が冠してあることで関連機種の大幅なモデルチェンジであることを告げています。
この最も重要な心臓部の進化がX9500Hとの最大の違い。
X95JとX9500Hの違い(画質の進化)
認知特性プロセッサー「XR」よって画質に関連する新機能は、前モデルX9500Hとは全くの別物。
美しさはもちろん、見やすさまで徹底的に改善を施してきました。
ソニー4K液晶ブラビアの最高技術を結集した、定評のある「直下型LED部分駆動VAパネル」の美しさの次元が大きく変わります。
- 高画質化を実現する4つの「XR」
- パネル反射対策「エックス アンチ リフレクション」
❶高画質化を実現する4つの「XR」
認知特性プロセッサー「XR」の映像面をつかさどる「XR Picture」は4つの技術を備えています。
- XR Color
- XR Contrast
- XR Clarity
- XR Motion
XR Color
ソニーブラビア伝統のトリルミナスディスプレイの改善が「XR Color」。
認知特性プロセッサー「XR」への置き換えに伴い従来のトリルミナスディスプレイは「XR トリルミナス プロ」へ置き換わったのです。
色再現領域の拡大、なめらかな色表現が更に向上しました。
XR Contrast
高照度技術は前モデルの「X-tended Dynamic Range PRO XDR」から、X95Jは「XR コントラスト ブースター 10」へアップデート。
高性能エンジン認知特性プロセッサー「XR」のポテンシャルを最大限活かし、HDRレベルのコントラストまでアップコンバートします。
XR Clarity
超解像エンジンも「4K X-Reality PRO」から「XR 4K アップスケーリング」へ進化。
映像はFHDから4Kへ高精細になればなるほど制御技術の負荷が上がるため、認知特性プロセッサー「XR」の性能を最大限発揮するアップコンバート技術が不可避。
映像分析に対する最適な処理スピードを発揮することで、前モデルX9500Hを凌駕する4K映像美がX95Jでは期待できます。
XR Motion
「XR Motion」はスピードのある映像を乱れることなくクリアーに再現する技術です。
倍速機能「X-Motion Clarity」は前モデルX9500Hでも十分な性能でしたが、認知特性プロセッサー「XR」と融合した新しい「XR モーション クラリティー」は更なる滑らかさが期待できます。
❷パネル反射対策「エックス アンチ リフレクション」
ソニーブラビアも堂々とパネル映り込み対策を実施し公開してきました。
「表面に低反射な新素材」を採用することで反射を抑えます。
X95JとX9500Hの違い(音質の進化)
ソニー4K液晶ブラビアX95Jでは映像技術と同様に音質技術についても、認知特性プロセッサー「XR」を基軸とした2つの「XR」が性能を進化させています。
- XR Sound Position
- XR Surround
前モデルX9500Hから進化した機能は以下の4つ。
- 「スピーカー基本性能」のアップデート
- 新機能「3D サラウンド アップスケーリング」
- 「自動音場補正」機能の強化
- ボイスズームから「ボイスズーム2」へ
❶「スピーカー基本性能」のアップデート
「XR-Sound」技術をバックアップする「XR Sound Position」がX9500Hとの違いにあたります。
Acoustic Multi-Audio(アコースティック マルチオーディオ)という独自技術はそのままに、立体音響に適した仕様と出力へ大きくアップデートしてきました。
内容 | X95J | X9500H |
---|---|---|
トゥイーター | 2 | 2 |
フルレンジ | ー | 2 |
ミッドレンジ | 2 | ー |
サブウーファー | 1 | ー |
出力 | 50W | 30W |
構成としてはサブウーファーの追加のみに見えるが、そのサブウーファーを追加することでフルレンジスピーカーをミッドレンジへ置き換えたことと、出力アップによってより豊かな音が期待できる。
単純に見ると「2.1ch+2スピーカー」の構成ですが、次で解説する「3D サラウンド アップスケーリング」によって、擬似的に「5.1.2ch」レベルの立体音響が楽しめます。
これは「+2スピーカー」部分のトゥイーターが大きな役割を担います。
❷新機能「3D サラウンド アップスケーリング」
「XR-Sound」技術をバックアップする「XR Surround」の核となるのが「3D サラウンド アップスケーリング」機能で、X9500Hとの大きな違い。
ステレオ技術を使用したあらゆるコンテンツが、認知特性プロセッサー「XR」によって3次元、即ち横だけではなく上からも降ってくるような立体音響へアップスケーリングされます。
嬉しいのはドルビーアトモス以外のコンテンツソースでも3Dサラウンドが実現可能なこと。
前モデルX9500Hには無い機能で、X95Jで立体音響技術は更に進化しました。
❸「自動音場補正」機能の強化
「XR-Sound」技術をバックアップする「XR Surround」の二つ目の機能が「自動音場補正」。
これは前モデルX9500Hにも採用されていましたが、補正基準が「部屋環境補正」のみでした。
新モデルX95Jでは「部屋環境補正」に加え「位置補正」技術が追加され、自動調整がより細やかかつ的確になることが期待できます。
❹ボイスズームから「ボイスズーム2」へ
全モデルでも搭載されたボイスズームは、アナウンサーの声をより聞きやすく増幅したり、スポーツ中継では逆に実況の声をだけを小さくすることができました。
この手の機能は、他社製品の場合は人の声をクリアに聞き取りやすくすることがメインで、実況の声を逆に下げることが出来ない場合が多いため普通の「ボイスズーム」でも十分な内容です。
「ボイスズーム2」では、認知特性プロセッサー「XR」の性能と特徴を活かし、人の声の特徴を検出し、母音・子音の違いまでも認識して声の主にマッチした明瞭度アップを図ります。
違和感の無い補正が期待できる点がX9500Hとは違う点ですね。
X95JとX9500Hの違い(機能の進化)
認知特性プロセッサー「XR」への移行は、総合的に見てX95Jで最も大きな変化です。
しかし、庶民的な見地では、ソニーブラビアと言えばチューナー数が他社よりも劣ることが大きな不満であったことも事実でしょう。
今期のフルモデルチェンジで、この不満が解消されたことは大きなニュースと言えます。
- 最大の不満が払拭された「チューナー数」の強化
- 「Google TV」の採用
- HDMI2.1「4K/120fps・eARC・VRR・ALLM」への対応
- サイズバリエーションの刷新
- デザインと設置性に優れた卓上スタンド
❶最大の不満が払拭された「チューナー数」の強化
私的な評価では、前期モデルを一通り見た結果、最も画質に優れた4K液晶テレビはブラビアX9500Hだと考えます。
また、音質面でも十分な装備を有し、デザイン性も含め総合的に見てもブラビアX9500Hはトップクラス。
しかし、いつまで経ってもソニーブラビアはチューナー数がBS/CSはおろか、メインの地デジでも2チューナーという他社とは明らかな差がありました。
レコーダーを売りたいのか?技術的な問題なのか?技術者の頭が固いのか?
理由ははっきりしませんが、今や標準となった外付けハードディスクを使用した録画を行う場合、同時録画数に支障をきたしていたことは消費者としては購入を躊躇させる要因でもありました。
しかし、今期の製品からは他社同様の録画が可能になったのです!
購入検討時に迷う要素が少なくなったことは喜ばしいことですね。
但し、相変わらず「2画面」には対応していないのでその点は残念です。
チューナー数の増加は、X9500Hとは大きく違う大進歩。
❷「Google TV」の採用
ご存知の通り、テレビのデジタル化に伴い、システムを動かすためにPC同様にオペレーティングシステム(OS)が必要となりました。
ソニーブラビアではOSとして「Android」を使用していることは周知の通りです。
でも、「Google TV」と「Androide TV」の違いって何?
AndroidはスマートフォンのOSとして有名ですが、展開しているのはGoogleです。ちなみにAppleのiphoneはiOSですね。
結局は名前が変わっただけの様に感じますが、違いを羅列すると…
- ベースOS(中身)はAndroid
- Google TVはAndroid10を使用
- Google TVはインターフェースの刷新
そう、基本的な心臓部はAndroidのままですが、全く違う外観、即ちインターフェースによって新しく使いやすい仕様へ変貌したのです。
開発にはソニーも参加しているので相性は最高。
基本OSの進化がX9500Hとの違い。
❸HDMI2.1「4K/120fps・eARC・VRR・ALLM」への対応
外部との接続端子として進化を続けるHDMIですが、前モデルでは「HDMI2.1」対応入力部で「eARC」という、ARCに対し伝送帯域を拡張した仕様への対応が各社の流れでした。
マニア向けでちょっと分かり難く誤解しやすい「ARC」の使用方法について、代表的な例で簡単に説明しましょう。
最近のテレビや映像ソースは、ドルビーアトモスを中心とした立体サラウンド音質が標準となりつつあります。
映画好きの人はテレビのスピーカー機能では物足りず、より臨場感を味わえるサウンドバーなどを追加設置することも多くなりました。
そこで、テレビが対応する「ドルビーアトモス」を外部のサウンドバーで再生するには「ARC」機能が必要となるのです。
但し、ここで注意すべき問題が再生する「ドルビーアトモス」の種類で、誤解と混乱を招く大きな要因がここ。
- Dolby Atomos-Dolby TrueHD
- Dolby Atomos-Dolby Digital Plus
通常の「ARC」で対応可能なのが下の「Dolby Atomos-Dolby Digital Plus」で、「eARC」を必要とするのは上の「Dolby Atomos-Dolby TrueHD」となります。
要はデータ量の差で、いわゆるロスレスの大容量データについては「eARC」対応が必要となる点を知っておけばOK。
ちょっと前置きが長くなりましたが、そんな「HDMI2.1」に今期はこの「eARC」の他に以下が対応可能となりました。
- 4K/120fps
- ALLM(自動低遅延モード切替)
- VRR(可変リフレッシュレート)
ゲーム機の進化で「eARC」が必要な高音質となり、更に上記の3つに対応することで次世代ゲームが楽しめる仕様となりました。
最新のゲームがストレス無くプレイできることがX9500Hとの違いです。
❹サイズバリエーションの刷新
前モデルX9500Hは「75/65/55/49型」の4バリエーションで、49型のみ細かい仕様が相違していました。
今期の4K液晶ブラビアX95Jのバリエーションは「85/75/65型」の3つに絞られ、超大型のサイズ展開へ変貌しましたが、65型のみ氐反射パネル「エックス アンチ リフレクション」の採用が見送られています。
同じシリーズなら同じ仕様としてサイズ展開を図って欲しいものですね。
サイズ展開を見る限り、完全に購買層を絞り込んだ感じで、明らかにX9500Hとはコンセプトが違います。
55型以下を探すなら、同じ認知特性プロセッサー「XR」搭載の下位モデル「X90J」が選択肢となりますが、音質面を筆頭に微妙な機能差があるので慎重に比較すべきでしょう。
今期のソニー4K液晶ブラビアのラインナップは、前モデルX9500Hと立ち位置を比較した場合、「X95J」と「X90J」の中間というイメージだと思います。
❺デザインと設置性に優れた卓上スタンド
以前のソニーブラビアと言えば、デザイン優先なのか?卓上スタンドの位置が広く、最低でもテレビと同じ幅のテレビ台を準備する必要がありました。
しかし前モデルのX9500Hから、省スペースと幅広の2パターンが選べる消費者に優しい卓上スタンドへ嬉しい進化を果たしました。
そして今期の4Kブラビア「X95J」では、更にサウンドバーを下へ置いた場合を想定した置き方も加わり、3パターンの卓上スタンドスタイルを楽しめるところがX9500Hと違います。
チューナー数の刷新といい、ここ1〜2年の消費者を考えたソニーブラビアの改善は素晴らしいですね。
もしかしてこのブログを見てるのかな?(そんなはずは無いか〜)
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X95JとX9500Hの違いまとめ
本記事ではソニー4K液晶ブラビアの液晶フラッグシップモデルX95Jと、前モデルのプレミアム液晶モデルX9500Hとの違いと進化ポイントについて書きました。
ソニー4K液晶ブラビアの新旧最高モデルを比較しましたが、今期のブランディングは前期と若干違うため、本来なら1つ下のモデルである「X90J」が比較対象としては妥当かもしれません。
今期の「X95J」は液晶のフラッグシップという新しいワンランク上の設定で、その次に位置するプレミアム液晶は「X90J」。前期の「X9500H」も同じ位置付けだからです。
とは言え、本文内にも書きましたが、今期最も大きい進化点である【認知特性プロセッサー「XR」】以外の細かい機能差を考えると、「X95J」と「X90J」の中間が前期の「X9500H」というイメージだと分かりやすいかもしれません。
この記事執筆時の価格は、発売直後の65型「X90J」が297千円で、発売前の65型「X95J」は352千円。
同じサイズでの差額は5万円程度と、機能差よりも金額差の方が大きいと感じました。
今期のソニーブラビアは間違いなく「モデルチェンジ」レベルの変更であり、当面は高値が続くと想定されます。
しかし、プアーなチューナー数の問題も解決されたので、完成度から考えたら価格安定時は今期最も注目の機種になるでしょう。
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2021-2022モデル・ソニーブラビア
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