2020-2021最新モデルのパナソニック有機ELビエラ「HZ2000」。
パナソニック有機ELビエラのラインナップは3種類で、この「HZ2000」が筆頭のフラッグシップ機である。
2020-2021モデルは新型コロナウイルスの影響で、パナソニックビエラシリーズの販売が大幅に遅れ、HZ2000は最後までその姿を表さなかった。
今期の有機ELビエラ、フラッグシップ機はモデルチェンジが行われない?そう思っていた人も少なくなかっただろう。
そんな意に反し、何の前ぶれもなく2020年9月末にプレスリリース。そして半月後に発売と、常識では考えられないスピードで店頭に並び始めたのだ。
通常なら、プレスリリースが行われるのは新製品の発売から短くても1ヶ月、大半は3ヶ月以上前にはアナウンスされている。
・想定以上に前モデルGZ2000の在庫処分に手間取ったのか?
・予想に反して生産体制が早く整ったのか?
GZ2000はマーケティングの見誤り?(生産能力問題?)で、需要に対し一時供給が追い付かなかったことが記憶に新しい。
目玉である最終アッセンブリを自社工場で行う有機ELパネルについても、結局はパネル基盤の調達先の都合や工場稼働状況に左右される。
正直、ものづくりの内実を知る人ほど、”ドタバタ”と発表された「有機ELビエラハイエンド機HZ2000」は大丈夫か?っと思ってしまう。
そんな最新のパナソニックビエラ有機ELテレビ「フラッグシップ機 HZ2000」の評価をここから開始。
他社に類を見ない新たな試みで人気を博したGZ2000から、部品コスト、生産コスト共に大きく改善されたことは言うまでも無い。
その裏付けは、月間生産台数計画を見れば容易に想像できる。
サイズ/モデル | GZ2000 | HZ2000 | 倍率 |
---|---|---|---|
65型(インチ) | 450台/月 | 3,000台/月 | 6.7倍 |
55型(インチ) | 1,000台/月 | 4,000台/月 | 4.0倍 |
他社と比較しても「異質」と言える技術内容を網羅しつつ、小規模なマイナーチェンジに留め、大量生産による市場価格の低下に繋がれば購入者にとっては喜ばしいことである。
期待通りの進化、価格改善、これらが本当に実現されているのか?
4回にわたって全貌を解き明かして行きます。
第1回目はパナソニックビエラ有機ELテレビHZ2000の「セールスポイント」をじっくりと徹底評価。
価格よりも機能を重視
こだわり派
価格がいくら高くても、こだわりの機能には絶対に妥協をしないのだ。
機能と価格のバランスを重視
リーズナブル派
自分の生活にマッチした買い物に拘り、価格に見合わない製品は絶対に購入しないわ。
機能そこそこで価格を重視
コスト重視派
価格が安ければ多少機能が劣っても構わない。一般家庭でハイスペックは不要だね。
では、各人の趣向を踏まえてこの製品を評価して行きましょう♪
4K有機ELテレビパナソニックビエラ HZ2000とは
項目 | 内容 |
---|---|
モデル | 2020夏(20'10月) |
シリーズ | ビエラHZ2000 |
分類 | 4K有機ELテレビ |
サイズ展開 | 65v/55v |
「HZ2000」は、2020-2021モデルパナソニック有機ELビエラの最新機種として発売された。
前述の通り、有機ELビエラの中ではフラッグシップ機の位置づけで、こだわりの高画質技術と音響システムは、他社のフラッグシップ機を含めても頭一つ抜けている。
もちろん、前モデルGZ2000では価格も頭一つ抜けており、生産能力が改善されたHZ2000が他社並みの価格になるかも今期の注目点であろう。
4K有機ELテレビパナソニックビエラHZ2000のセールスポイント
- 自社設計・組立のDynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ
- 大出力のテレビ一体型イネーブルドスピーカー&ドルビーアトモス搭載
- 進化する高画質技術
自社設計・組立のDynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ
前モデルのGZ2000から始まった「自社組立」の有機ELパネル。これは本当に衝撃的でした。外部調達では物足りない部分を自社で解決することにしたんですね。
自社工場で組立するだけでパネル性能って良くなるものなの?専門業者に任せた方が良くない?
当然調達先にも打診したのでしょうね。有機ELパネル本体は作れないので、中途半端な状態で納入してもらう必要もありますし、結構大きな改善だったでしょう。
また、設備投資や新たな組立スキームも必要となるので、パナソニックも多少なりのリスクを抱えての英断だと思われます。
目的は高コントラスト化の実現。即ち大幅な輝度アップを図ることなのだ。輝度をアップさせれば熱も多く発生するため、放熱対策に必要な特別素材の「貼付けシート」と「放熱プレート」を使用したのだ。
その通りです。この特別素材と特別素材を活かすための細かい部品や組立技術がHZ2000の肝となるのです。
大量生産が基本のパネルメーカーに頼むと割高になったのかもね。何れにしても、生産台数的には大幅に生産性が向上したのが今回のHZ2000になるわけだ。
そうか、そして技術の横展開を液晶ビエラHX950に行ったのね。あっちもやっぱり「放熱問題」だったもんね。
いくらパネルが良くても、映像チューニングが出鱈目だと意味がありません。
そこで、下図のような測定カメラを使用したチューニング調整工程をラインに追加しました。正確且つタクトタイムを上げる重要な改善の一つでしょう。
HZ2000専用の「Dot ContrastパネルコントローラーPro」
色情報を解析し、高コントラスで忠実な色表現を実現する制御技術として、有機ELビエラでは「Dot Contrastパネルコントローラー」を採用しています。でも、HZ2000は少し違うのです。
「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」だからじゃない?
その通りですね。普通の有機ELテレビとは輝度やコントラストが大きく違うため、最適な調整を施した「Dot ContrastパネルコントローラーPro」を唯一採用しています。
当たり前なのだ。ハード的にレベルが高くても、それを制御するシステムのレベルが低くては何の意味も無いのだ。トラックに軽自動車のエンジンを載せることと同じなのだ。
その他にも高画質技術は沢山ありますが、先ずはパネル(ディスプレイ)に関する特異次項をまとめました。セールスポイントとしての評価をお願いします。
評価:5.0
前モデルGZ2000のコントラスト性能は、他社のハイエンド機では足元にも及ばなかったのだ。HZ2000は更にチューニングしているので満点以外は考えられないのだ。
評価:4.0
高評価の高画質化方針は全く変わっていないし、更なる品質の安定、生産性向上などが伺えて好感が持てるわ。
評価:3.5
いや、前から凄いとは思っているよ。ビエラのフラッグシップ機は。でもね、電気代が高い有機ELで輝度を上げればどうなるか分かるでしょ?余裕のある家庭用だね。
ハードディスクを強化して裏録に備えましょう♪
2.大出力のイネーブルドスピーカー&ドルビーアトモス
HZ2000も当然「イネーブルドスピーカー」が搭載されています。前モデルからほぼ変化の無いスピーカー構成ですが、140Wの出力はダントツのトップですね。もちろん、ドルビーアトモス搭載は当たり前♪
Space Tune Auto
「イネーブルドスピーカー」ってイマイチ体感出来ないわ。高いお金を払って、家では無用の長物じゃ要らないかも。
CMでは上部の音をマイクで拾ってますが、本来なら天井に反射させて立体感を出したいはずですね。設置場所も様々で効果に不安が残るのも当然ですが、上手にチューニング出来る仕掛けがちゃんとありますよ。
専門家からも高い評価を受けたのだ。
「Space Tune Auto」と言う、リモコンのマイクで音響環境を計測する機能を搭載。設置環境や視聴ポジションに合わせて自動で音質補正できちゃいます。
イネーブルドスピーカーとドルビーアトモス
イネーブルドスピーカーの効果に対する不安が少しだけ払拭されたら、ドルビーアトモスと融合することで得られるその効果について解説しましょう。
最近は何でもかんでもドルビーアトモスが標準搭載されているが、ちょっとおさらいした方が良いと思うのだ。その方がイネーブルドスピーカーの価値も分かり易いのだ。
そうですね、では先ずドルビーアトモスという技術について以下を確認下さい。
- 立体音響方式のひとつで、映画館などで感じる立体感のある音を再現
- 例えば空から来る音のイメージ(雨やヘリコプターなど)を再現出来ちゃいます
- そんなことから別名「イマーシブサウンド(没入型)」とも言われます
映画館とかでは、音響設備の「〇.〇ch」っていうので表されるのよね。そうそう、下の表について以前教えてもらったわ。
- 「4.1ch」=4はスピーカーの本数で1はサブウーハーの本数
- ドルビーアトモスでは更にもう一つ追加し「4.1.2ch」という標記になる
- 「4.1.2ch」の2は天井のスピーカー数を表す
肝心の天井スピーカーが無い…。って前も行ったけど、ここが大きなポイントだね。確かドルビーアトモスの再現方法は3つ。
- 厳密には通常のスピーカー配置に加え「天井」にもスピーカーも配置
- 天井に設置出来ない場合はイネーブルドスピーカーで代替えする
- イネーブルドスピーカーが無いTVは音声処理技術でドルビーアトモスを再現
上へ行くほど完璧な内容で、一般的なテレビの大半は一番下の「疑似再現」です。HZ2000はイネーブルドスピーカー搭載の「3ウェイ3.2ch+2ch」という設定で、テレビとしては最高水準の再現力を発揮します。
高品質な音の再現力
忘れてならないのが、高次元の音場を再生するための隠れた技術です。パナソニックと言えば、やはり伝統ある「Technics」によるサウンドチューニングですね。
昔はみんな憧れたのだ。
さらにTechnicsのフルデジタルアンプ「JENO Engine」など、オーディオグレードのパーツで薄型テレビを超えた音質に調整している点も注目です。
ひっそりと、HDMIも「eARC」へ進化したのだ。シアタバーの設置で映画館並みのシアタールームも作れそうなのだ。
HZ2000はまさに化け物級の有機ELテレビですね。では、大出力のイネーブルドスピーカー&ドルビーアトモスの評価をお願いします。
パナソニック純正シアターバーで音質強化!
評価:5.0
横綱級の仕上がりなのだ。スピーカー構成はほぼ変化は無いが、きっとやりようが無いのだ。
評価:4.0
パナソニックのイネーブルドスピーカー技術は今後も目が離せないわ。
評価:4.0
凄く興味があって欲しいけど、僕にはとても買えないんだろうな。
大型テレビの画面って直ぐに汚れます。
更に音質を良くするならサブウーファーで低音強化!
3.進化する高画質技術
「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」が一番のセールスポイントであるHZ2000ですが、それを支える高画質技術も売りの一つです。
広色域を支える「ヘキサクロマドライブ プラス」
パナソニックの高画質エンジンですが、液晶と有機ELでは差別化され「ヘキサクロマドライブ プラス」は有機ELビエラ専用のエンジンです。
他社は液晶も有機ELも共通の場合が多いのに、パナソニックは何で別なのかな?
「特性」の違いを考慮しているようです。各社それぞれの考え方はありますが、有機EL専用で開発すべきとパナソニックは考えたのでしょう。
高コントラス化技術
先ず紹介したいのが「AI HDRリマスター」です。前モデルから有する技術ですが、AIを利用しているため、認知科学の観点からも精度は今期の方が格段に上がっているでしょう。
最近はどこも「AI」を全面に出すね。
「AI」はデータ量とその評価がカギなのだ。東芝レグザのクラウドAI技術を筆頭に、各社の高画質化競争は始まったばかりなのだ。
フル装備のHDR規格
これだけ多くのHDR規格に対応するのはパナソニックだけです。今期は更に「Dolby Vision IQ」まで対応しました。
視聴環境に左右されず、最適なDolby Vision映像の視聴が可能になる技術だったよね。使う人は限られそうだ。
デジタル写真の画質調整
これは既に色々なテレビで行えますが、デジタル一眼などで撮影した高画質の写真を大画面の4K有機ELテレビで調整することも可能です。
普通はパソコンで行うけど、大きな画面で、しかも有機ELなら高コントラストな臨場感のある写真に仕上がりそうだわ。家族みんなでやれば楽しいかもね。
テレビもデジタル製品として日々進化していますね。では、進化する高画質技術について評価をお願い致します。
評価:4.0
この辺りは有機ELビエラ共通なのだ。でも、内容的には満足なのだ。
評価:3.0
相変わらずHDRの許容範囲が広いわね。
評価:3.0
高画質技術なんだから、HZ2000用の特別技術も欲しかったね。
その他.転倒防止スタンド&スイーベル(首ふり)機能
番外ですが、重要な追加機能です。
パナソニックの転倒防止スタンドについては、4K液晶テレビGX855でも採用されていた技術で、小さなお子さんが居る世帯では重宝するでしょう。
HZ2000、HZ1800、HZ1000と、今期モデルチェンジのパナソニック有機ELビエラはこの機能が目玉の一つなのね。デザイン性は微妙になったけど…。でも、卓上スタンドがHZ2000は四角なのね。他は丸いけど。
確かにデザイン性は好みが分かれますが、ぜひ安全性を優先して下さい。また、スイーベルと言う首ふり機能も付くので広いリビングでは使いやすいですよ。
HZ2000の卓上スタンドは四角だし、これは良いね。
卓上スタンドが転倒防止で吸着してるから首振り出来るのね。なんか古臭い感じだけど、使いやすさは間違い無くアップするわ。デザインは好みよ。
パナソニックのHPやカタログは下手くそなのだ。どのテレビもデザインがダサいのだが、上位機種は実物を見るとちゃんと高級感もあって魅力的なのだ。機能は良いので、実物を見て判断すべきなのだ。
首振りがあれば録画用の外付けハードディスクやゲーム機も楽に配線できますよ。でも、録画用外付けハードディスクはHZ2000に適合した信頼のある製品を選びましょう。
ビエラは使用可能な容量(TB)の上限や、適合機種が他社のテレビよりも柔軟性に欠けるの適合するハードディスクを探すのが少し大変。
そこで、面倒が無いよう「HDD パナソニックビエラにおすすめのテレビ録画用外付けハードディスク」でおすすめのHDD情報をまとめています。
パナソニックビエラ用のHDDをお探しの方は是非参考にして下さい。
適合が明確な安心のハードディスクを選びましょう。
その他:サイズバリエーションの確認
HZ2000は前モデルのGZ2000同様に「65型(インチ)」と「55型(インチ)」のツーサイズバリエーションです。
今回も、一番人気のある王道のサイズ展開にこだわったのね。
55型も65型も人気のあるサイズなので、テレビを設置する際のテレビ台やテレビスタンドの選択には困らないでしょう。
視聴環境作り(置き場所)は以下を参考に進めて下さい♪
「テレビ台」の選び方のコツはここから
「テレビスタンド」の選び方に迷ったらここ!
HZ2000に最適なおすすめのテレビスタンドも探せます♪
4K有機ELテレビパナソニックビエラ HZ2000の受賞歴
Panasonic 有機EL VIERA HZ2000は発売タイミングが遅かったため、2020年度「夏」の評価は行われなかったが、2020年度「冬」にAV機器を専門家が評価する「VGP」「Hivi」より高い評価を受けました。
音元出版「PHILE WEB」主催のAVアワード≫VGP
1987年にスタートした国内最大級を誇るオーディオビジュアル機器の総合アワードです。プロが選んだベストセラー間違いなしのアイテムだけが、受賞の栄誉を勝ち獲ることができます。
ONGEN PUBLISHING CO.,LTD
AV専門誌「HiVi」によるアワード≫HiVi
登場したばかりのモデルを含め、現在市場に流通しているAV製品をジャンル、価格帯別に分類して真のお買い得モデル=「ベストバイ」製品を選出することが本企画の趣旨である。
Stereo Sound Publishing Inc.
AV=オーディオビジュアル
2020 SUMMER(2020年度「夏」)
発売タイミングの関係で評価外。
2021(2020年度「冬」~2021年度)
VGPの評価
受賞 | 受賞理由 |
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批評家大賞 | 「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」による圧倒的な高画質と三次元立体音響を進化させた、フラグシップ4K有機ELテレビシリーズに対して。 |
金賞 | 4K有機ELテレビ(60型以上70型未満)TH-65HZ2000 4K有機ELテレビ(50型以上60型未満)TH-55HZ2000 |
開発賞 | Space Tune Auto(HZ2000/HZ1800/HX950)リモコンマイクを用いて視聴環境にあわせた最適な音場を創出する、大画面テレビの自動音場補正機能の開発に対して。 |
Hiviの評価
受賞 | 受賞理由 |
---|---|
Gold Award | TH-65HZ2000/自社で有機ELパネルを組み立てて、放熱設計を徹底させて輝度のゆとり、白ピークに追従する過渡応答性を改善など。 |
1位 | TH-55HZ2000/ディスプレイ部門Ⅳ(有機EL、60型以下) |
2位 | TH-65HZ2000/ディスプレイ部門Ⅴ(有機EL、61型以上) |
4K有機ELテレビ HZ2000の「セールスポイント」総合評価
では、これまで確認した有機ELビエラ HZ2000のセールスポイントについて総合評価を行ってもらいましょう。
評価:4.7
前モデルGZ2000から大きな変化点は無いが、生産性や品質がアップしたことが伺える製品に仕上がっているのだ。
評価:3.7
評価:3.5
派手な進化は無いけど、これだけの内容だから市場価格が他社のフラッグシップ機並みになれば別の意味で大きな進化だと思う。
生産台数の目論見からも想像出来る通り、この内容で価格が下がれば他社にとっては脅威になることは間違い無し。それだけ完成度の高いテレビと言えますね。引続き設置スペースなどの「視聴環境」について評価を行いましょう。以下のリンクから移動して下さい。
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