有機EL(OLED)のデメリットを知っても、欲しい人は買います。
ちょっと古いですが、Panasonicの革新的機種「GZ2000シリーズ」は発売当時想定を上回る売上で、公式サイトにはお詫びのコメントまで出ました。
2019年7月19日に発売されたPanasonic最高峰のテレビですが、「月産台数」はいくつなのか?
発売リリース時の発表では次の通り。
- TH-65GZ2000 450台/月
- TH-55GZ2000 1,000台/月
4~5億円/月の売上予測程度でしょうか?
実物を見れば分かりますが、綺麗な筐体でとても良いテレビです。
但し、IPS液晶テレビが2台買える凄まじい価格でしたが…。
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当時、生産ラインがどの程度のバックオーダーを抱えているかは分かりません。
バックオーダーを抱えた原因…
ラインキャパ(能力)が低いのは組立側の問題なのか?
パネルを独自で「ほにゃらら」するという売りの部分なのか?
はたまたLGからの購買予測(LGの生産キャパ)に見誤りがあったのか?
定かではありません。
はっきりしていること。
有機ELのデメリットを考慮しても「買いたい」という人が多かった。
ボーナス時期も重なり、皆さん我慢できない(魅力が勝った)という実情が垣間見れます。
でも、私はまだ買いたいとは思いません。
以前、「有機ELは未だ買いではない」という記事を書きました。
引続き有機ELのデメリットはクリアされたとは言えず、記事を書いてから考えは一切変わっていないのです。
今後もクリアされるかは益々怪しくなって来たというのが本音です。
■人間は自分に都合の良い解釈を求める
某掲示板では、買いたい人が気持ちを押して欲しいのか?
自分の都合に合う「賛同」を求める質問が散見され、どこから出たのか分からないような10万時間のパネル寿命という大幅スペックアップを妄信する傾向があるようです。
本当に超高速化した耐久試験を行った結果だとしても、バラつきが大きい有機ELに当てはまるのかが疑問。
それよりも、日本企業でさえデータ改ざんを平気で行う昨今(はっきり言ってどこでも行っているかも?)。
どれだけのバラつき幅(σ)で検証し、そして正確なデータなのかも疑問。
何より、パネルは壊れなくても、輝度まで網羅しての見解か怪しい限りである。
■心配な人は静観しましょう
家電量販店で有機EL(OLED)を視聴すると、どうしてもその美しさに魅了されてしまいますよね。
そして価格を見て現実を知るのです。
最新の有機ELテレビを購入する大半の人は、わざわざデメリットを調べてから購入は行わないでしょう。
そのタイミングで最高だと思えればOKなのです。
技術は日々進化します。でも、有機ELのデメリットを払拭するには、有機ELの研究開発を行うライバル企業が少なからず必要です。
しかし、現状はほぼLGの独壇場で、品質不安定なまま自転車操業を続ける限り、消費者の不安を拭う製品へ進化するには時間がかかりそう。
そんな状況下、既に有機ELに変わる新たな刺客(技術)が登場しています!
■有機ELが今後のスタンダードと考えない
現在はっきりしている有機ELを凌駕する新技術は2つ。その内1つは数年以内に登場する可能性があるので注目です。
「新技術を待ってたらいつまでも買い替え出来ない!」
おっしゃる通りです。
でも、わざわざ高い買い物を行わなくて済むと思えば、情報は大事ですよ♪
普通の家庭で視聴する程度なら、既存のIPS液晶が最も優れていることは皆さん知っているのだから。
有機ELを凌駕する2つの新技術
先ずは新技術の名称。
それぞれの詳細は続いて説明します。
- デュアルセルLCD
- マイクロLED
有機ELのデメリットをおさらい
比較する上で重要な、有機ELのデメリットを再掲します。
有機ELが一般的になって数年、特段進化したものはありません。
敢えて「頑張った!」と言えるのは、Panasonicが独自工場でアッセンブリを試みた(安定化、チューニング)程度です。
- パネルの寿命が短い
- 消費電力が大きい
- パネルが焼き付く
- 昼間のリビングでは見難い
- 値段が高い(投資対効果が低い)
有機ELテレビが綺麗に見える理由
技術の詳細やメリットをお話する前に、先ず知っておきたいのが「何故、有機ELテレビ」に皆が惹かれるのか?
デモ機には最適な映像を流している
恐らく、既に多くの人が気づいているもう一つの有機ELテレビのデメリット。
地デジ放送のレベルは普通の液晶テレビと変わらない(もしくは見難い)ということ。
家電量販店で展示されている有機ELテレビの多くは、その性能を最も美しく表現できるデモ映像を流しています。
あたかも引き込まれるようなもの凄い映像を表現。
そして、その時に気づくことがあるはずです。
そう、「黒」い場面が多いということ。
重要なのはコントラスト
「黒」の表現というのは、従来の液晶テレビが苦手とするものです。
液晶テレビは、どうしても「真っ黒」という表現が苦手。
有機ELテレビが映し出す「黒」がより深く、美しく感じてしまうのは、この弱点がクリアされているのがカラクリ。
映像の奥深さ、いわゆるメリハリは、「黒」がより黒く、「白」がより白いというコントラストの深さで決定することを知っておきましょう。
これを数値で表すと、以下のようになります。
パネル方式 | 白の明るさ | 黒の明るさ |
有機ELパネル | 1,000,000 | 1 |
VAパネル | 5,000 | 1 |
IPSパネル | 2,000 | 1 |
簡単に言えば、黒を「1」とした場合、白は何倍の明るさを表現出来るかということです。
有機ELのその表現力は、VAパネルの何と200倍!それだけ違えば、曖昧な人間の目でもより美しく見える訳ですね。
そして、その優位性を満遍なく発揮するのが「デモ映像」。
とは言え、一般家庭で光が差し込む部屋では「黒」は逆に反射板となりかねません。
有機ELテレビは、更に映像を美しく見せるためにグレアパネル(ピカピカした表面)を使用。
これが更にメリットをデメリット(反射)へ誘います。
有機ELは何で「黒」が深くなるのか?
絵作りは光の加減で発色します。
その際に、有機ELは必要な部分のみ光を放ち、不要な部分は光らせないという技術を使うため、「黒」は真っ黒に近くなります。
一般(現在)のLCD技術
通常の液晶テレビはLED電球を背面で発行させ、偏光板によって光を遮りながら映像を作ります。
当然、物理的に光を全て遮ることは不可能で、俗に言う「黒浮き」するような画像となり、最終的には「コントラスト」の弱い絵作りになってしまうのです。
要は光の垂れ流し状態。
一方で、有機ELは前述の通り必要な部分だけ発光させるので、当然光らない場所は黒くなります。
デュアルセルLCDの優位性
では、「デュアルセルLCD」という技術を解説します。
小難しい理論を書いても仕方ないので、シンプルに何が違うのかを簡単に説明。
デュアルセルLCDとは?
「デュアルセル」と言う言葉でピンときた人も多いでしょう。
そうです、デュアル(2重)なのです(笑)。
2枚重ね
デュアルセルとは、液晶パネルを2枚重ねて「コントラスト向上」を図ろうとする技術です。
シンプル過ぎる?
そう、シンプルだからこそ、これまで培った液晶技術が活き、一気に有機ELのデメリットを払拭出来るという期待感が満載なのです。
何でコントラストが向上するのか?
メインセルとサブセルの組合せによって、単純に光量調整を行い易くしたわけですね。
黒が欲しい場合は消えたセルに偏光板をかぶせれば良く、逆に明るさは従来の液晶技術が2重となるため、強い輝度を表現できるというシンプルな技術。
パネルの寿命は液晶並み?
技術的には従来の液晶と何ら変わらないので、パネル寿命は同等と考えられます。
その結果、有機ELのデメリットをクリアー。
但し、これはメーカーのレベルや個体差があるので、あくまでも一般論と考えて下さい。
消費電力は大丈夫?
消費電力については難しい課題です。
単純に考えればバックライトが2倍必要となる訳で、その分消費電力は上がると考えられます。
パネルの焼き付けは?
パネルの焼き付けについては、従来の液晶方式同様なので有機ELほどの問題は発生しないと考えられます。
また、開発各社もこの点は意識しており、焼き付けは無いと断言している情報が多い。
昼間のリビングでも綺麗に映る?
光量は圧倒的に高くなるため明るい場所での使用は有利に働きます。
また、そのメリットを活かし、光の反射が少ないノングレアのパネルを採用出来るため、この点は液晶の良い点が発揮されます。
値段は安くなるのか?
新技術に関し、コストは大きな問題。
単純に考えれば、発光パネルが2倍になり、それを制御するシステムも高性能となるため「今現在」と比較すれば当然アップは間違いありません。
しかし、液晶が更に大量生産され、システムについても高度なCPUを要求されるレベルでは無ければ、価格は通常通り、発売1年後には同程度に落ち着くことが予想できます。
即ち、いつまでも安定性の無い有機ELは、高価なままで、何れ淘汰される可能性がある。
マイクロLEDの優位性
次は、「マイクロLED」という技術を解説します。
ここも、小難しい理論を書いても仕方ないので、シンプルに何が違うのかを簡単に説明。
マイクロLEDとは?
マイクロなんですよ。
そう、液晶テレビの奥には沢山のLED電球があって、そのLED電球を小さくして、必要な個所だけ光らせようぜ!というのがこの技術です。
既に皆さんはこの技術を目の当たりにしている?
既に多くの人が知っている2枚の写真。
これらの映像は鮮明で、そしてとても見やすく、今までの大画面イメージを払拭する出来栄えに驚いた人も少なくありません。
これらの技術は正に「マイクロLED」と同じ技術が採用されています。
じゃあ、直ぐにテレビに応用すれば良いのでは?
実はこの技術、デッカイ画面を作るのには適していますが、家庭用テレビのように小さい画面を作るのはちょっと苦手なんです。
昔の電光掲示板を思い出して下さい。遠目からでも丸い電球の寄せ集めであることが分りますよね?
LED電球は更に小さく、そして発色性に富んでいるため、この様な超大画面であれば、遠目には家庭のテレビ同様の鮮明さを実現してくれます。
逆を正せば、既存の液晶テレビに採用されているLED電球の大きさは大き過ぎるため、50型程度の普及型テレビの大きさで実現させるには、LEDのマイクロ化が必要なのです。
だから「マイクロLED」技術。
既に100インチオーバーの試作品は完成しているようですが、小型のLEDを量産化し、コストをミニマイズさせるのはこれからの課題です。
パネルの寿命は液晶並み?
当然、同じ技術なので液晶並みの寿命は期待できます。
しかも、光らせっぱなしではなく、独自に点灯を繰り返しますから、既存のLED並みの性能で小型化されれば、更なる長寿命も期待できます。
消費電力は大丈夫?
小エネ性能はまさにLEDの得意技。
これもパネル寿命同様に、LEDの負荷を考えれば更なる省エネも期待出来ます。
もちろん、制御するCPUに大きく影響されることは言うまでもありませんが。
パネルの焼き付けは?
LED同様なので、有機ELのような心配は皆無。
昼間のリビングでも綺麗に映る?
自立発光のLEDを映像化する技術であるため、偏光板による調整は不要。
即ち、LEDの性能並みに明るく出来るメリットがあるため、偏光板が無い分(ダイレクト発光)、現状の液晶テレビ以上の光量を確保出来ます。
その証拠は既に前述の大型モニターが物語っていますよね。
最も明るい太陽光の中でも鮮明な映像を表現できるので、この先、プロジェクターなどは不要になることは間違いありません。
値段は安くなるのか?
デュアルセル同様、新技術に関してはコストと品質安定が大きな課題です。
有機ELのように1社独占であれば期待感は薄いですが、これらの技術は、中国、台湾と多くの会社が研究開発を行っています。
特に有利に働くのが、決して新し技術ではなく、既存のLED技術を昇華する内容であること。
新技術に関しては、新たな設備投資が大きく、新規参入を増やせないというデメリットが大きいです。
しかし、LEDの小型化に際し、同じ原理が働かなければ、現状の価格並みで、有機ELよりも高性能なテレビを購入する日は近いでしょう。
テレビの買い替えは買いたい時?
ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。
テレビが壊れたら買い替えが必要ですし、10年過ぎれば新しい物が欲しくなるのも道理です。
でも、無理して、淘汰される可能性がある割高のテレビを買うのは富裕族やマニアだけで十分。
液晶テレビが発売され、その後暫く目立った技術革新が無いままだったので、有機ELテレビへの期待度は大きかった。
しかし、蓋を空けてみれば、単にテレビの価格を押し上げただけに過ぎなかった。
消費者の冷ややかな視線を無視して、メーカーはフラッグシップ機としての地位を与えています。
一部の海外メーカーは、有機ELテレビは5年後には淘汰されると豪語。
現状の生産体制やパネルメーカーの姿勢では、妙に納得出来る発言だと感心させられました。
私見で甚だ恐縮ですが、家庭のリビング程度で視聴するテレビなら、現状、IPSパネル以上のものは無いと考えます。
更に5年後には「マイクロLED」が市場を席捲するならば尚更です。
正直、有機ELテレビのデメリットが払拭されれば購入したいと考えていました。
しかし、私の購入サイクルだと、「マイクロLED」が視野に入る。
地デジや4K放送を見るには特に不満のない、普通のIPSパネルテレビをリーズナブルに購入して良かったと、今は胸を撫で下ろしています。
寿命の短い有機ELテレビを倍の値段で購入してたら、次の技術革新までもう一回買い替えが必要になったかも知れませんね。
参考になれば幸いです。
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